築50年のマンションって売却できる?築古物件売買の注意点を踏まえて早期成約を目指そう

築50年のマンションって売却できる?築古物件売買の注意点を踏まえて早期成約を目指そう

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「親から相続した築50年のマンションを手放したい」「子どもが独立したタイミングで引越しを検討している。昔に購入したマイホームを手放したい」など、築古マンションの売却を検討している所有者にはいろいろな事情が存在します。ただ、事情の如何にかかわらずすべてのオーナーが押さえておくべきポイントは、「築50年のマンションは簡単には売却できない」ということ。どうしても築浅物件に比べると「資産」としての魅力が劣るため、一般の不動産市場では「売れにくい」物件に位置付けられてしまいます。

とはいえ、「マンション100年時代」という言葉からも明らかなように、築50年のマンションは構造的に問題なく居住できる物件が少なくありません。さらに、中古マンションの人気が高まっている近年の動向も踏まえると、築50年のマンションは「売りにくいが売れないわけではない」といえるでしょう。

そこで今回は、築50年のマンション売却を成功に導くコツ4つの処分方法について解説します。あわせて、築古物件売却時の注意点も紹介するので、最後までご一読ください。

目次

築50年のマンションが売却しにくい理由は7つ

築50年のマンションの処分方法を検討するには、築浅物件にはない特有の「売れにくい理由」があることを押さえるのがファーストステップです。自分の不動産が売却市場において次の7点の課題を抱えていることを踏まえたうえで、マンションの特性に応じた処分方法を見つけましょう。

  1. 建物自体の資産価値が大幅下落している可能性が高い
  2. 現行の耐震基準を充たしていない可能性がある
  3. 「買主が住宅ローン控除を受けにくい」という売却市場におけるビハインドがある
  4. 時代遅れなデザイン・仕様などが原因で購入希望者を集めにくい
  5. 割高な維持費が不動産市場で受けが悪い
  6. 管理組合の機能不全でマンションの老朽化が進行している
  7. 築古マンションの将来性は不明瞭なことが多い

1:築年数が古過ぎるので建物自体の資産価値が大幅下落しているから

築50年のマンション売却が難しい理由として、「築年数が原因で資産価値が大幅下落しているために一般の不動産市場で高値売却を目指しにくい」という事情が挙げられます。

「現在所有中の不動産を高い値段で売りたい」と希望する売主は少なくありませんが、築50年のマンションを新築・築浅・築30年のものと同程度で成約するのは現実的ではありません。

マンションの資産価値を決めるのは「建物」と「土地」

そもそも、「マンションを売却する」ことは、次の3つの財産を処分するということだと押さえる必要があります。

  1. 専有部分の区分所有権
  2. 共用部分の共有持分権
  3. 敷地権(=土地の共有持分権)

まず、敷地権は「土地の資産価値」によって金額が決まるものなので、経年劣化により金額が下がるということはありません。

これに対して、専有部分の区分所有権・共用部分の共有持分権の価格は「建物の資産価値」によって市場における価値が決まるものなので、築年数が経過して物件自体が古くなるにつれて資産価値が年々低下するものです。

「建物」自体の価値は築30年~築40年で0円になる

「建物自体の資産価値は築30年~築40年で0円になる」というのが一般的な不動産市場での考え方。建物自体の物理的な寿命とは関係なく、耐用年数は短期間に定められています。つまり、築50年のマンションに対して値段をつけるときには、「ほとんど土地だけの値段」で不動産市場に売りに出すのが適正価格の指針となるということです。

そして、築50年のマンションの資産価値の下落率は、おおよそ新築時の6割~7割といわれています。

したがって、新築購入時の3割~4割の売却希望価格で売りに出せば、不当な価格設定だとはみなされずに売却活動を円滑に進めやるくなるでしょう(逆に、これ以上の売り出し価格を設定しても購入者層からは見向きもされない可能性が高くなります)。

参照:首都圏不動産流通市場の動向(2021年) – 公益財団法人東日本不動産流通機構

洸太郎
洸太郎

「築50年の資産価値は新築時の約3割程度に下落する」というのはあくまでも一般論。実際の値付け時には、マンションの所在地・管理状況・修繕レベル等が総合的に考慮されるため、場合によってはさらに高額での成約を実現できるでしょう。また、特に近年では中古マンション需要の高まりによって取引価格が全体的に上昇しているという傾向も見られるため、築50年のマンションでも従来以上の値段で取引されるケースも少なくありません。したがって、築50年のマンションを不動産市場で売却する際のポイントは、資産価値を適正に見積もって自らの顧客層に説得的なアピールをしてくれる不動産仲介業者に依頼をすることだと考えられます。

2:耐震基準に問題がある可能性が高いから

自然災害の多い日本では、マンション購入時に物件の強度・頑丈さなどの安全性が重視されることが多いです。ただ、築50年のマンションは旧耐震基準時代に建設されたものであり、新耐震基準を充たしていない可能性があるため、中古マンション売却市場で敬遠されるリスクを避けられません。

旧耐震基準
1950年~1981年5月まで適用されていた耐震性能基準のこと。「震度5強程度の地震が発生しても建物が倒壊しない」という観点から建造物の構造要件が設定されている。
新耐震基準
1981年6月以降の建築基準法における耐震基準のこと。「震度5強程度の地震では家屋はほとんど損傷しない」「震度6強・震度7の大規模地震でも家屋は倒壊・崩壊しない(ただし、多少の損傷は発生する)」という観点で、許容応力度計算・保有水平耐力計算が追加で求められている。特に、阪神淡路大震災を踏まえて2000年には木造住宅に対してさらに厳格な基準が追加されるなど(接合部の金具取付・偏りなく耐力壁を設置する等)、時代に応じて今後も厳しい基準が定められていくことが予想される。

つまり、旧耐震基準のマンションでは震度6・震度7の地震に対する耐震性が考慮されていないため、大規模地震が頻発する日本では安全性に不安が残るということです。耐震性をまったく気にせずに高額のマンションを購入するという人は不動産市場ではそう多くはないでしょう。

なお、旧耐震基準時代に建設されたマンションでも、改修工事を実施して新耐震基準を充たしていたり、耐震診断を経て耐震性を証明できたりする場合があります。このような事情があれば築50年のマンションでも安全面で遜色ないことをアピールできるので、マンション売却前にホームインスペクション等を実施するのがおすすめです。

洸太郎
洸太郎

旧耐震基準・新耐震基準を判断するポイントは「建築確認申請の承認日」です。マンションの完成日・登記日ではないのでご注意ください。

3:住宅ローン控除・フラット35の適用対象外になる可能性が高いから

築50年のマンションを購入しても住宅ローン控除・フラット35の適用外になる可能性が高いです。

つまり、買主側にとって築50年のマンションは経済的な理由で購入しにくいということになります。

住宅ローン控除
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、住宅の取得・耐震改修工事等のために住宅ローンを組んだ場合に、残債の1%について所得税・住民税の控除対象になるという優遇措置のこと。マンションなどの耐火建築物が住宅ローン控除を受けるためには、原則として「築年数25年以内」という要件を充たさなければいけない。
フラット35
フラット35とは、住宅金融支援機構・民間の金融機関が共同して提供する長期固定金利型の住宅ローンのこと。保証料不要・35年の長期ローンを組める点で不動産購入者にメリットが大きい金融商品だが、住宅の確認申請承認日が1981年6月1日以降の新耐震基準」を充たしていることが求められる。

たとえば、住宅ローン控除を受けられない物件は購入者が税制上不利になるので進んで購入しようとは思わないはずです。また、フラット35の対象外になると毎月のローン返済額が高額になる可能性があるため、収入面に不安のある購入者はマーケットから外れてしまうでしょう。

ただし、築50年のマンションでも耐震基準適合証明書・住宅性能評価書を取得できればフラット35の適用対象となりますし、瑕疵担保保険を付ければ住宅ローン控除を受けられます

購入者側が有利な住宅ローンを組めるような物件状況であれば競合物件よりも優位な立場に立つことができるので、安全性アピールだけではなく住宅ローン控除等の対象になるためにもホームインスペクションは不可欠だといえるでしょう。

参照:No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除) – 国税庁

4:設備やデザインなどが時代遅れだから

マンションの設備・デザインはその時代のブームや最新技術を反映したものになっていることが多いので、「今」を基準にすると築50年のマンション設備・デザインなどは時代遅れなものが多い傾向にあります。「高いお金を出して不動産を購入するなら最新型の様相のものが良い」と考える購入希望者が多いため、築50年のマンションは敬遠されるリスクが高いでしょう。

たとえば、市場からネガティブな評価を下されるのは次のようなポイントです。

  • エントランスがオートロック式ではなく誰でも敷地内に入れてしまう
  • 駐輪場・駐車場などに監視カメラが設置されていない
  • ゴミ捨て場が24時間体制ではないなど不便
  • エレベーターがない・スキップ方式
  • 間取りが現代のライフスタイルに合わない

ここから分かるように、築50年のマンションのデザイン面・設備面での課題は、専有部分だけではなく、マンション全体にも関わっている点に注意しなければいけません。つまり、安易に居室内をリノベーションしたところで、築50年のマンションの時代遅れ感は払拭されないということです。

したがって、築50年のマンションを売却するときには、「闇雲に大規模リフォームを実施して居宅をきれいにすること」だけにこだわるのではなく、「現状のままでも購入したい」「自分の手で自由にリノベーションをしたい」という特別なニーズをもつ購入希望者をターゲットにして売却活動を進めるのが効果的だといえるでしょう。

5:修繕積立金が割高だから

マンションの修繕積立金は築年数が増えるほど高額になる傾向にあります。つまり、築50年のマンションを購入してもランニングコストが高くなるので購入希望者から嫌われる可能性が高くなるということです。

ただし、マンションの維持費には修繕積立金以外にも「管理費」という項目が発生する点に注意しなければいけません。そして、管理費は築浅物件の方が割高になるため、むしろ修繕積立金・管理費を合計した金額は築年数が長いほど安くなるという傾向が見て取れます。

たとえば、2020年調査の築年数ごとの中古マンション管理費・修繕積立金(首都圏)の平均値は次の通りです。

建築年(築年数) 管理費/月額 修繕積立金/月額 維持費総額/月額
1970年(築50年) 8,411円 10,934円 19,345円
1980年(築40年) 9,581円 11,328円 20,908円
1990年(築30年) 12,457円 11,015円 23,472円
2000年(築20年) 12,293円 13,346円 25,639円
2010年(築10年) 15,197円 11,795円 26,992円
2019年(築1年) 17,634円 6,702円 24,336円

参照:首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2020年度) – REINS TOWER

確かに、「築古物件ほど修繕積立金が高い」というのは事実です。将来的にマンション全体の大規模修繕工事を実施しなければいけない以上、それに備えて現実的な積立金が発生するのは仕方がないことでしょう。

しかし、マンション購入者が毎月負担しなければいけない維持費は修繕積立金だけではありませんし、ここで紹介したデータが示すように、管理費を合算すれば維持費全体は築50年物件の方が安くで済む可能性が高いということを見落とすべきではありません。

したがって、築50年マンションの売却活動を進めるときには、「築古物件ほどランニングコストが高くなる」という購入希望者の誤解を解くために、市場相場との比較において築50年物件が特別に維持費が高いわけではないということを説得する作業が不可欠だと考えられます。

洸太郎
洸太郎

不動産の購入希望者のなかには、「毎月発生する賃料を避けたい」という動機からマイホーム購入を検討する人が少なくありません。ここには、「毎月の固定支出をできるだけ削減したい」という志向が見てとれます。そのような購入者層にとっては、「管理費・積立金」はいわば賃貸物件の賃料と感覚的に重なるもの。「マンションを購入しても月々維持費が発生するのは仕方がないこと」「築50年マンションは全体で見ればランニングコストは低額で収まること」を丁寧に解説して、購入希望者の抵抗感を払拭しましょう。

6:管理組合が機能せずにマンションの劣化が加速しているおそれがあるから

築年数が古いマンションほど管理組合が機能不全におちいっているケースが多く、購入を躊躇する要因になります。

管理組合は、マンションを分譲して区分所有者になった人全員で構成する組織のことです。共用部分の維持・管理方法やマンションの使用ルールなどを定めたり、適宜運用を見直すなどの役割を果たしています。

ただ、築年数が古いマンションほど、相続などが原因で入居者実態が掴めなくなったり、賃貸に出しているオーナーが管理組合への参加に消極的になったりするなどの事情が発生するため、管理組合が充分に機能しなくなるケースが少なくありません。

すると、修繕積立金が回収されずに建物の劣化が進行する・日々の清掃が行き届かず汚損が激しくなる・入居者ルールが浸透せずに治安が悪化するなどの状態が放置されてしまいます(いわゆる「限界マンション」化)。

もちろん、築50年マンションでも管理組合が適切に運営されているケースも少なくありませんが、管理実態が形骸化した状態になると不動産市場ではネガティブに評価されるのも当然でしょう。

7:築50年のマンションは今後どうなるか先行きが怪しいから

「マンションは建設から100年経過しても物理的には居住可能」といわれますが、その道中では外壁改修工事や、水道管・排水管などの配管設備を定期的にメンテナンスすることが求められます。当然ながらその分の費用は入居者が負担しなければいけません(特に、建て替え工事を実施する場合には、建て直し費用だけではなく引越代・仮住まいの賃料なども発生します)。

そして、築50年のマンションは、直近に大規模修繕工事等が実施されていない限り、近い将来何かしらの改修計画が立てられているのが一般的です。また、場合によっては臨時的・緊急的に修繕工事が実施されることもあるでしょう(管理組合に決定権があるため、区分所有者1人の意見では如何ともしがたいという事情があります)。つまり、築50年のマンションを購入したとしても、経年劣化や将来計画次第ではすぐに別途金銭負担を強いられる可能性があるということです。

多くの人が「安定した住まいを得る」目的でマンションを購入したいのに、先行きが不安な物件を進んで購入しようとは思わないでしょう。

なお、築古マンションの修繕工事計画は、売主側が売却時期を決める際にも注意をするべきポイントです。この点については後述するのでご参照ください。

築50年のマンションを売却する方法は4つ

ここまで紹介したように、築50年のマンションは潜在的に「一般の不動産市場では売りにくい」という事情を抱えています。

そこで、「築50年のマンションでも高額で売却したい」「使い道のない築古物件を早期に手放したい」などの売主サイドの希望を叶えるためには、次の4つの処分方法をご検討ください。

  1. 不動産仲介業者に築50年のマンションについて売却依頼をする
  2. 築50年のマンションを収益物件化してから売却する
  3. 築50年のマンションをリフォームしてから売却する
  4. 不動産買取業者に築50年のマンションの引き取りを依頼する

売りにくい築古物件を処分するときには、不動産の性質に応じてこれら4つの処分方法を同時並行的に検討するのがポイントです。それでは、各処分方法について、それぞれ具体的に見ていきましょう。

1:不動産仲介業者に依頼する

築50年マンションの1つ目の処分方法は、「不動産仲介業者に売却依頼をする」というものです。

不動産仲介業者とは、不動産の売却・賃貸時に、売主と買主、貸主と借主の間に入って契約締結に向けて活動する業者のこと。成約時に一定の仲介手数料を得ることで収益を上げています。

売主個人だけでは、不動産取引の専門性の高さが壁になりますし、戦略的に築古物件の売却活動を進めにくいはずです。築50年のマンションを売却する際に不動産仲介業者に依頼をすれば、営業活動・内覧時の立ち合い・売却手続きなどにおいて丁寧なサポートを受けられるでしょう。

「仲介契約」の種類に注意しよう

築50年のマンション売却を不動産仲介業者に依頼するときには、業者との間で締結する「仲介契約(媒介契約)」の種類に注意しなければいけません。

なぜなら、仲介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類の契約類型が存在するため、売主サイドの事情・希望に合致したものを選ばなければ売却活動が円滑に進まないおそれが生じるからです。

なお、各契約類型の詳細については以下のリンク先で詳しく解説しています。あわせてご一読ください。

不動産売却の媒介契約の3つの種類はどれを選ぶべき?「専属」「専任」「一般」それぞれの特徴を徹底解説

不動産売却の媒介契約の3つの種類はどれを選ぶべき?「専属」「専任」「一般」それぞれの特徴を徹底解説

2021年7月30日
①専属専任媒介契約

専属専任媒介契約とは、不動産仲介業者1社だけにすべての売却活動を依頼する契約類型のことです。専属専任媒介契約を締結した業者以外とは取引できず、また、売主自身が直接取引をすることも禁じられています。

築50年のマンション売却を専属専任媒介契約で進めるメリット
・「営業努力=販売利益」の構図になっているので業者が販売活動に力を入れてくれる
・1週間に1回以上、販売状況について報告を受けられる
・「物件所在エリアが人気」などの事情がなくても、売れにくい築古物件固有の事情を踏まえて営業戦略を練ってくれる
築50年のマンション売却を専属専任媒介契約で進めるデメリット
・築50年のマンション売却実績が豊富でノウハウに熟知した業者を選ばないと、売却活動が進まない
・いわゆる「囲い込み」の状態になると物件が塩漬けになる
・1社だけの集客力に成約可能性が左右されるので、マーケットの範囲は物理的に狭くなる
②専任媒介契約

専任媒介契約とは、専属専任媒介契約と同じように不動産仲介業者1社だけに売却活動を任せる契約類型ですが、売主自身が直接取引をすることは妨げられないという特徴があります。

築50年のマンション売却を専任媒介契約で進めるメリット
・不動産仲介業者が営業・広告活動に力を入れてくれる可能性が高い
・「過去に不動産の売却経験がある」「仕事柄懇意にしている司法書士がいる」「縁故を頼って買主を見つけたい」など、築50年のマンション売却手続きを自分だけでも進める余地を残したい人におすすめ
・最低でも2週間に1回、販売状況について報告を受けられる
築50年のマンション売却を専任媒介契約で進めるデメリット
・専属専任媒介契約と同じように、ノウハウ豊富な業者を選ばなければスムーズに売却活動が進みにくい
・売主自身だけで売却手続きを進めるだけの力量がないのなら専任媒介契約を選択する妙味がない
③一般媒介契約

一般媒介契約とは、複数の不動産仲介業者へ同時に売却活動を依頼できる契約類型のこと。売主自身による直接取引も妨げられないため、売主側の自由度が高いという特徴が見られます。

築50年のマンション売却を一般媒介契約で進めるメリット
・各不動産仲介業者の顧客層をターゲットにできるので集客可能性を物理的に高めることができる
・業者選びを慎重にする必要がないので、売却活動開始時期を早められる(気楽にスタートできる)
・幅広いニーズをもつ購入希望者層に購入を促すことができる
・レインズに登録されないので近隣住民に売却予定を知られずに済む
築50年のマンション売却を一般媒介契約で進めるデメリット
・不動産業者が営業活動に力を入れてくれないリスクがある
・不動産業者からこまめに報告を受けられない

築50年のマンション売却を依頼する不動産仲介業者選びのポイント

専属専任媒介契約・専任媒介契約を検討している場合には、どの不動産仲介業者を選ぶかによって成約可能性が大きく変わってきます。

次の7つのポイントを押さえて、売主サイドの要望を何でも伝えられる信頼に値する不動産仲介業者を見つけましょう

  1. 利用者の口コミ・行政処分の有無などの「業者の評判」
  2. 不動産業者の「得意分野」(物件属性・エリアなど)
  3. 「売却活動時の付帯サービス」(売却保証・つなぎ融資制度・引越し支援など)
  4. リフォームを想定するなら「提携業者の有無」(工務店など)
  5. 過去の販売実績(特に、築古物件の扱い実績が豊富か)
  6. 営業担当者との相性(机上査定では分からないが訪問査定時にチェックできる)
  7. 業者の規模(大手or中小)

なお、不動産仲介業者選びのポイントについては以下のリンク先でも詳しく解説しています。あわせてご一読ください。

不動産売却を成功させるための業者の選び方!信頼できる不動産会社に出会う8つの方法を紹介

不動産売却を成功させるための業者の選び方!信頼できる不動産会社に出会う8つの方法を紹介

2021年8月5日

不動産一括査定サイトで利用業者の目星をつけよう

不動産取引に慣れていない人にとっては、自分のマンション売却に適した業者選びも簡単ではないはずです。また、ネット・チラシなどで業者の情報を調べようとしても、各社が自分に都合の良いポイントばかりアピールしているため、妙な抵抗感が生まれる人も少なくないでしょう。

このように、不動産仲介業者選びでお困りの場合には、不動産一括査定サイトを活用するのがおすすめ。ネットで無料で利用できますし、各社の情報を横並びにして見比べられるので、自分の物件処分を任せられる業者を見つけやすいはずです。複数社に査定依頼を出せば、物件が安くで買い叩かれるリスクも回避しやすいでしょう。

以下のリンク先でおすすめの不動産一括査定サイトを紹介しているので、この機会にぜひご利用ください。

おすすめ不動産一括査定サイト31選!何を基準に選ぶべきかを解説します

おすすめ不動産一括査定サイト31選!何を基準に選ぶべきかを解説します

2021年12月27日

2:収益物件として売却する

築50年マンションの2つ目の処分方法は、「収益物件化してから売却する」というものです。

ここまで紹介したように、築50年のマンションは「居住用物件としては売れ残りやすい複数要因」を抱えていますが、このようなデメリットポイントは「賃貸物件・投資用物件」という観点ではメリットに転化できる可能性があります。

たとえば、「築50年のマンションは資産価値が大幅に下落している」という点について考えてみましょう。居住用物件として資産価値が下落した財産を手にすることに対して抵抗感を払拭できないという人は少なくないはずです。ただ、これを「投資」という観点に引き直すと、「築50年のマンションは上物価格がすでに下落しきっているため、将来的に資産価値が落ちるリスクは考えにくい」と捉えることができます。つまり、「現在資産価値が高くても将来的に価値が下落する物件」はよほどの収益性が見込めない限り投資用物件としては不向きですが、「すでに資産価値が底値についた物件」であれば収益性向上に尽力しなくても収支がマイナスになりにくいということです。

また、築50年マンションを売却処分する前に賃貸として利用すれば、売主も毎月の賃料を手にすることができるので、不動産が「負の遺産」化するのを回避することもできます。

したがって、築50年のマンションがなかなか成約しないという状況に追い込まれたときには、一度賃貸に出して様子を見てみるというのも有効な手段でしょう。この意味では、不動産仲介業者が売却・賃貸の両方のノウハウをもっているのが望ましいと考えられます。築古物件売却ノウハウ豊富な業者であれば市場動向等を照らして幅広い選択肢を提案してくれるはずです。

なお、不動産を賃貸に出すこと、オーナーチェンジ物件を売却することにはデメリットも存在します。以下のリンク先で詳しく解説しているので、あわせてご参考ください。

【オーナーチェンジ物件を高く売却する3つのコツ】投資用不動産を賢く売る方法を解説

【オーナーチェンジ物件を高く売却する3つのコツ】投資用不動産を賢く売る方法を解説

2022年2月18日

3:リフォーム・ハウスクリーニングを実施して売却する

築50年マンションの3つ目の処分方法は、「リフォーム・ハウスクリーニングを実施してから売却する」というものです。築50年のマンションは居室内の経年劣化が激しいこともあるため、修繕工事で内装などをきれいにすれば購入希望者を募りやすいでしょうし、工事前よりも高値で売却できる可能性も見えてくるでしょう。

たとえば、温水洗浄便座や水回りなどの衛生面が気になる箇所を新品に交換する、キッチン・浴室・トイレなどの汚れが目につきやすい箇所をハウスクリーニング業者に磨き上げてもらうなどの方法が考えられます。築古物件の売却ノウハウのある不動産仲介業者なら、付帯サービスとして清掃サービスを実施してくれたり、提携の工務店とスムーズに連携をとってくれるので、業者選びの際に参考にしてください。

ただし、「リフォームで価格アップが見込めるなら修繕範囲は広い方が良い」というのは間違いです。この点については後述するのでご参照ください。

4:不動産買取業者に依頼する

築50年マンションの4つ目の処分方法は、「不動産買取業者に依頼する」というものです。

不動産買取業者とは、自身が買主になって物件を引き取ってくる業者のこと。不動産仲介業者のように「売主・買主の間を仲介する」のではなく、業者自身が売買契約の当事者になる点に特徴があります。

築50年のマンション売却を不動産買取業者に依頼するのが向いているのは次のようなケースです。

  • マンション管理コストなど、毎月の経済的負担から早期に解放されたい
  • 成約価格にはこだわらない
  • 不動産仲介業者に依頼しても購入希望者が現れなかった

不動産買取業者に売却依頼をすれば、最短即日で仲介手数料の負担なく築50年のマンションを現状のまま引き渡せます。つまり、物件の所有コスト・管理コストに悩まされているオーナーにとってメリットが大きいといえるでしょう。

ただし、一般の不動産市場で売却する場合と比べて、相場の3割~5割成約価格が値引きされる可能性が高いという点に注意が必要です。「少しでも高値で売却したい」という所有者には不向きな手段だということを覚えておきましょう。

なお、仲介業者・買取業者の違いやどちらに依頼するべきかについては以下のリンク先で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

不動産の売却は「仲介業者」と「買取業者」どちらが良い?それぞれのメリット・デメリットを解説

不動産の売却は「仲介業者」と「買取業者」どちらが良い?それぞれのメリット・デメリットを解説

2021年7月30日
洸太郎
洸太郎

不動産売却が難しいのは、「少しでも好条件で売却したい」と活動期間を長引かせている間にも所有コストが日々増えつづけるという点です。「どこかに存在するかもしれない条件に見合った購入希望者」と出会うために長期間を費やしても、活動期間中に発生したコストと差し引きすると、結果として即時に買取業者に引き渡した方が良かったということも少なくありません。だからこそ、築50年のマンションを購入しそうなターゲット層へピンポイントで営業をかけられる仲介業者を見つけるのが大切だといえるでしょう。

築50年のマンション売却時の注意点は7つ

マンションの売却活動を進めるときには、物件の特徴に応じて発生する注意点を踏まえる必要があります。なぜなら、築浅・築30年・築40年など、経過年数ごとに不動産市場における捉えられ方が異なるからです。

そこで、次の7つの注意点を踏まえて、築50年のマンション売却を少しでも有利に進めましょう。

  1. リノベーションの範囲は慎重に判断する
  2. かならずホームインスペクションを実施する
  3. 「全部免責」条件で瑕疵担保責任を回避する
  4. 建て替え予定が迫っているなど、売却時期にも留意する
  5. 物件がもつメリットを最大限アピールするためにターゲットを絞る
  6. 1つの処分方法だけにこだわらない
  7. 売却時に発生するコスト・税金にも配慮する

それでは、築50年のマンション売却時に注意すべき7つのポイントについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。なお、築古物件売却時のポイントについては以下のリンク先でも解説しているので、あわせてご一読ください。

築古物件を売却する時の注意点は?ポイントをおさえて高値で売却を目指そう

築古物件を売却する時の注意点は?ポイントをおさえて高値で売却を目指そう

2021年8月18日

1:大規模リノベーションは実施しない

一般的に、所有マンションの売却を少しでも有利にするために「売却前にリフォーム・リノベーションを実施する」という方法が提唱されますが、築50年のマンション売却時にはリフォーム範囲は慎重に判断しなければいけません。なぜなら、修繕工事を実施する範囲が広いほど投下コストが増えてしまいますし、その費用を売価に反映できるとも限らないからです。

そもそも、築50年のような築古物件の購入を検討している購入者層は、「きれいな最新の物件に住みたい」と考えているのではなく、「古い物件を購入して自由にDIYしたい」「安くで購入できる築古物件を購入したい」などと考える人がメインのはず。大規模リノベーションは築浅~築30年程度のマンション売却には有効ですが、築50年のマンション売却では市場ニーズとズレた的外れの対応でしかありません

したがって、売却前にリノベーション等を実施するとしても最小限の範囲にとどめるのがポイントです。築古物件の売却に慣れた不動産仲介業者のアドバイスを参考にしてください。また、修繕依頼などが面倒だと感じるのなら、そのままの状態で物件を引き渡せる不動産買取業者への依頼も視野に入れましょう

2:ホームインスペクションを実施する

ホームインスペクション(建物状況調査・住宅診断・住宅検査)とは、建物の現状・設備不良・不具合・被害状況を調査することです。

築50年のマンションは目に見えた劣化だけではなく、建物の構造自体にも問題が生じていることもあるでしょう。建築士や住宅検査専門業者が実施する公的な証明になるため、ホームインスペクション実施済みの物件であれば購入希望者に安心感を与えることができます

なお、2018年4月1日の宅地建物取引業法改正によって、不動産業者が買主・売主双方にホームインスペクションの説明・斡旋が義務化されました。不動産仲介業者に依頼をして売却活動をする際には事前調査の必要性についても丁寧に解説してもらえるのでお問い合わせください。

参照:既存住宅状況調査方法基準の解説 – 国土交通省

3:瑕疵担保責任に留意する

築50年のマンションを売却するときには、売主側が負担する契約不適合責任(瑕疵担保責任)にも注意が必要です。

契約不適合責任(瑕疵担保責任)とは、売買契約締結後に目的物に「瑕疵」の存在が発覚した場合に、売主が損害賠償責任・補修責任を追及されたり、契約を解除されるリスクのこと。特に、築50年のマンションは何かしらの問題を抱えていることが多いため、瑕疵担保責任について特別な配慮をせずに契約を締結してしまうと、事後的に買主から責任追及されるおそれがあります

そこで、後から契約不適合責任を追及されるのを防ぐためには、次の2つの方法が効果的です。

  1. ホームインスペクションで物件の状態について売主・買主間で共通認識を作っておく
  2. 売買契約書に「全部免責」条項を入れて、契約不適合責任の追及可能性をゼロにしておく

築浅物件では全部免責条項を入れることによって売価が下がることは避けられませんが、築50年のような築古マンションであれば値引きされることなく全部免責条項を盛り込むことも難しくはありません。不動産仲介業者に依頼をすれば全部免責条項についても交渉内容に盛り込んでくれますし、買取業者なら瑕疵状態を問わず物件を引き取ってくれるので売主側が不安を感じる必要もないでしょう。

なお、契約不適合責任については以下のリンク先でも詳しく紹介しているので、あわせてご一読ください。

欠陥住宅でも売ることは可能?事例ごとの注意点や売却方法を解説します

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2021年11月24日

4:建て替え予定が確実なら売却時期のタイミングをずらす

マンションごとに大規模修繕計画が定められているため、売却予定時期と建て替え・修繕の時期が重なっている場合には、売却活動のタイミングをずらすのも選択肢のひとつでしょう。

なぜなら、大規模修繕後であればマンション自体の資産価値が回復することになるので、売価に反映しやすくなるからです。

また、大規模改修直後であれば向こう数年~数十年は大きな工事が実施されない可能性が高くなるため、購入希望者にとってもマンションの将来性を見積もりやすくなります

したがって、築50年のマンション売却時には、全体の修繕計画を考慮して柔軟に売却活動時期を検討しましょう。

5:築古のデメリットを克服できるメリットを全面的に打ち出す

築50年のマンションを売却するときに注意するべきポイントは、「築古物件のデメリットをゼロにしよう」と考えないこと。なぜなら、そもそも戸建て住宅とは異なり、マンションは区分所有者だけの努力で課題をすべて解決できるものではないからです。

むしろ、「築古物件としてのデメリットは(一定程度軽減できたとしても)多少は存在するが、それを上回るメリットが存在すること」を全面的に打ち出すべきでしょう。そのために大切なことは、「築50年のマンションでも購入したい」と考えている購入希望者の”購入動機”をピンポイントで狙っていくのが効果的です。

たとえば、築50年のマンションを購入しようとしている人には次のような特徴があります。所有物件の特徴を踏まえたうえで、市場におけるターゲット層を明確化すれば集客を図りやすいでしょう。

  • 立地条件・地域の雰囲気重視でマンションを探している
  • 近々改修工事が入るなら現在の耐震性は気にしない
  • 管理組合が機能していない方が近隣住民との関わりがなくて楽
  • 自分の好みに応じて自由にリフォームを楽しみたい
  • 使用感が気にならない人(外国人など)
  • マンションの条件よりも売却価格だけを重視している

新築・築浅物件とは異なり、築50年のマンションはそもそもの市場が狭いということを理解しましょう。その前提を理解したうえでターゲット明確化などの戦略を正しく組めば、確実に物件を求めている人の目に留まるはずです。

そのためには、築古物件の売却ノウハウを有しており、中古不動産市場に顧客層を抱えている不動産仲介業者のサポートは不可欠だといえます。一括査定サイトなどを利用して、信頼できる業者に売却活動を任せましょう。

6:幅広い売却方法を同時に検討する

築50年マンションの売却活動を進めるときには、複数の処分方法を同時に検討する柔軟さがポイントです。

たとえば、不動産仲介業者経由で一般の買主を募ることだけにこだわってしまうと、いつまでも物件を手放すことができずに築年数条件がどんどん悪化することになります。この場合には、仲介業者の買取保証サービスを利用したり、買取業者に依頼をして即時に引き取ってもらうということも視野に入れるべきでしょう。

また、新居の購入資金を集める必要があるのなら、仲介業者のつなぎ融資制度を利用するのも間違いではありませんが、買取業者に引き渡してまとまったお金をすぐに手にするのも選択肢のひとつです。いつまでも購入先が決まらない状況で新しくローンを組むことに抵抗感がある人も少なくないでしょうし、過去を清算しきってしまった方が新天地の生活もストレスなく送れるでしょう。

さらに、引越しが迫っている状況で購入希望者がなかなか現れないのなら、賃貸物件として収益化したり、転売予定の投資家をターゲットにしたりするのも有効な手段です。住んでいない物件でも所有権を有する以上は管理組合に出席することを求められることもあるので、新天地での生活に支障が生じてしまうからです。

そもそも、築50年のマンションは簡単には売却できません。だからこそ、1つだけの処分方法にこだわってみすみすスケジュール感を失ってしまうのではなく、同時に複数の処分方法を検討してリスクヘッジしておくのが賢明だと考えられます。

7:売却時に発生する経費・税金にも注意しよう

築50年のマンションを売却するときには、発生する経費・税金にも注意が必要です。コスト面を見落として成約価格ばかりに注目してしまうと、不動産売却への満足感が薄れてしまう可能性があります。

代表的は費用は次の通りです。かならず事前に仲介業者から丁寧な説明を受けましょう。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別税)
  • 消費税(投資目的の場合)
  • 仲介手数料

なお、マンションのような高額資産を売却した場合には、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」「特定の居住用財産の買換えの特例」「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」など、利用できる税制上の優遇措置が存在します。確定申告の際に申請が必要となるので、税理士などの専門家まで別途ご相談ください。

築50年のマンションが売れ残ったときは不動産買取業者に相談しよう

築50年のマンション売却は、闇雲に一般の不動産市場全体にセールスをかけるのではなく、ターゲットを絞って効率的に営業活動を進めるのが成功の鍵となります。

「売れにくい」といわれる築古物件ですが、現在では中古マンション市場の人気が再燃しているため、適切なアプローチをとれば満足のいく成約を実現できるでしょう。

ただ、不動産売却は「運」にも左右されるもの。エリア条件・タイミングなどの事情から、どうしても購入希望者が見つからないということも少なくありません。

したがって、築古物件の処分時には、常に不動産買取業者への依頼も選択肢に入れておくのがポイントです。仲介業者の営業活動について進捗が見られない場合には、臨機応変に処分方法を再検討しましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

30代、フリーランスライター・翻訳家。マイホーム購入のタイミングで不動産に興味をもつ。現在は関西の山奥で田舎暮らしを満喫しながら、めぼしい中古物件をリサーチする毎日。不動産関連の知識を深めながら、国内外問わず良い物件との出会いを待ち望んでいます。