※本ページにはプロモーションが含まれています。
住まない田舎の実家はできるだけ早期に売却処分などを検討した方が良いです。なぜなら、使い道のない不動産を所有し続けることにはデメリットしかないからです。たとえば、ボロボロになった家屋に起因するトラブルの所有者責任を問われかねませんし、処分のタイミングが遅れるほどたたみ方の選択肢も限られてしまうでしょう。
とはいえ、田舎の家は「築年数が古い」「物件自体に瑕疵がある」などの不人気要素を抱えている可能性が高いので、「売却を希望してもなかなか売れない」というリスクから目を背けることができません。
そこで、今回は、親から相続するなどして取得した田舎の実家をスムーズに売却する方法を解説します。あわせて、どうしても売却できないときの代替手段や、少しでも好条件での成約を実現するコツなども紹介するので、さいごまでご一読ください。
目次
- 1 田舎の実家を売却する方法4つ
- 2 田舎の実家を所有し続ける危険性5つ
- 3 田舎の実家を売却しにくい理由3つ
- 4 売却できない田舎の実家の処分方法6つ
- 5 住まない実家は早期売却がおすすめ!不動産業者に適切な処分方法を相談しよう
田舎の実家を売却する方法4つ
使い道のない田舎の実家の処分方法でお困りなら、まずは迷わずに「売却」を検討してください。
買主に売り渡すことによって所有者としての数々の責任や経済的な負担から解放されますし、成約価格分の利益を受け取ることもできるでしょう。
そして、田舎の実家を売却する方法として、以下4つの選択肢が挙げられます。
- 不動産仲介業者に依頼をして購入希望者を募る
- 空き家バンクに登録して移住希望者向けに物件を売り出す
- 隣接する不動産オーナーに買取を打診する
- 不動産買取業者にそのままの状態で引き取ってもらう
いずれの売却方法にもメリット・デメリットが存在するので、田舎の実家の状況やオーナーサイドの希望に叶う売却方法を選択しましょう。
1.不動産仲介業者に依頼する
「田舎の実家を少しでも高値で売却したい」と希望するなら不動産仲介業者への依頼がおすすめです。
不動産仲介業者とは、不動産売買において売主・買主の間を仲介して諸手続きを円滑に進める役割を担う業者のことです。田舎の実家を売却するときに不動産仲介業者を頼れば、一般の不動産市場から購入希望者を募ってくれるので、売主サイドの売り出し条件に近い形での成約を目指しやすいでしょう。
不動産仲介業者は田舎の実家の売却手続き全般を担当してくれる
田舎の実家を売却するときに不動産仲介業者に依頼をすれば、以下のような流れに沿って複雑な不動産売買手続きを円滑に進めてくれます。
- 不動産仲介業者との間で田舎の実家売却について媒介契約を締結する
- 田舎の実家の物件価値を査定してもらって適正な売り出し価格を算出する
- 営業活動・広告活動を通じて購入希望者を募る
- 内覧希望の購入希望者への対応
- 売主・買主間での条件折衝を取り持つ
- 売買契約書の作成、契約の締結、物件の引渡しをサポート
不動産の売却手続きは所有者個人だけで進めても問題ありませんが、実際のところ、一定の資産価値を有する不動産を売り出すのは簡単ではありません。特に、遠方の不動産を自分だけで売却するとなると、価格の設定、登記手続き、営業活動などに相当の労力を奪われます。
不動産売買の実績豊富な仲介業者に依頼をすれば煩わしい諸手続きはほとんど担当してくれるので、田舎の実家を手放すまでにかかる売主側の負担を大幅に軽減できるでしょう。
田舎の実家を売却するなら地方の不動産事情に詳しい仲介業者を選ぶのがおすすめ
不動産仲介業者は売主側の希望条件を満たす購入希望者を募ってくれるものですが、不動産仲介業者ごとに得意ジャンルが異なる点に注意しなければいけません。たとえば、大都市圏に所在するマンションの仲介に力を入れている業者に田舎の実家の売却依頼を出しても成果を期待しにくいのは明らかでしょう。
そこで、田舎の実家を仲介業者経由で売却したいのなら、ご当地エリアの不動産市場動向に詳しく、築古物件や訳あり物件の取扱いにも慣れた不動産仲介業者を選ぶのがおすすめです。
不動産一括査定サイトを利用すれば、所有する田舎の実家に対して高値の査定額を出してくれる業者だけではなく、各仲介業者が力を入れているジャンルや営業手法などを見比べることもできるので、所有物件の売却活動を任せるに足りる不動産仲介業者を選び出しましょう。
不動産仲介業者に田舎の実家の売却依頼を出すなら媒介契約の種類にも注意しよう
不動産仲介業者経由で田舎の実家売却を希望するなら、仲介業者との間で締結する仲介契約(媒介契約)の種類に注意しましょう。
なぜなら、仲介契約は以下3種類に区別されており、所有不動産によって相性の良い仲介契約が異なるからです。
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
- 一般媒介契約
専属専任媒介契約は田舎の実家売却を1社に完全依存する方式
専属専任媒介契約とは、不動産の販売活動を依頼できる不動産仲介業者が1社のみに限定され、売主個人で直接取引をする(自己発見取引)も禁止されている契約類型のことです。田舎の実家売却の行く末が1社の営業努力に左右されるため、慎重に不動産仲介業者を選ばなければいけません。
田舎の実家を売却する際に専属専任媒介契約を締結すれば次のメリットを得られます。
- 不動産仲介業者が営業活動・広告活動に力を入れてくれる
- 短期間(3カ月以内)で購入希望者が見つかる可能性が高い
- 1週間に1回以上のペースで販売状況の報告を受けられる
したがって、「短期決戦でできるだけ有利な条件で田舎の実家を売却したい」という人に専属専任媒介契約はおすすめだと考えられます。
専任媒介契約は田舎の実家売却を所有者自身でも実施できる方式
選任媒介契約とは、不動産の販売活動を依頼できる仲介業者は1社のみに限定されるものの、売主個人で直接取引をすることは妨げられない契約類型のことです。いわば、専属専任媒介契約から自己発見取引禁止の特約が排除されたものと言えるでしょう。
田舎の実家を売却する際に専任媒介契約を締結すれば次のメリットを得られます。
- 不動産仲介業者の営業活動・広告活動に期待できる
- 縁故や知人関係との間での売却交渉の余地を残せる
- 2週間に1回以上のペースで販売状況の報告を受けられる
たとえば、親戚や旧知の人間関係を頼って田舎の実家の引き受け手を探したいなら、直接取引の可能性を残すために専任媒介契約を締結しておくべきです。これに対して、田舎の実家の売却先に心当たりがないという状況なら、わざわざ専任媒介契約を締結する実益は乏しいでしょう。
したがって、「不動産仲介業者の営業活動に期待したいが、同時に、売主自身で田舎の実家の引き取り先を見つけたい」という人に専任媒介契約はおすすめだと考えられます。
一般媒介契約は田舎の実家売却を複数の不動産仲介業者に並行依頼できる方式
一般媒介契約とは、複数の不動産仲介業者に同時に仲介を依頼できる契約類型のことです。当然ながら、売主個人で直接取引することも認められているので、売却活動の自由度が高い契約類型と言えるでしょう。
田舎の実家を売却する際に一般媒介契約を締結すれば次のメリットを得られます。
- 複数の仲介業者が抱える顧客層すべてを販促ターゲットに含められる
- 指定流通機構(レインズ)への登録義務がないので親戚や近所の人に売却活動を隠しやすい
- 貴重な資産売却を1社に委ねるのが不安な人にとってリスクヘッジになる
ただし、一般媒介契約は各不動産仲介業者の営業努力を期待しにくい契約類型であるため、「田舎の物件自体にかなりの魅力がなければ成約が実現しにくい」というデメリットが生じる点に注意しなければいけません。というのも、どれだけ営業努力を重ねても他社に仲介手数料を奪われるリスクを避けられないため、各仲介業者が営業活動に注力してくれない可能性が高いからです。
したがって、「不動産としての魅力が高い田舎の実家の売却を検討している」「できるだけ多くの見込み客にアプローチをしたい」という人に一般媒介契約はおすすめだと考えられます。
2.空き家バンクに登録する
「田舎の実家の早期売却までは考えていないが、良縁があれば引き渡しても良い」と考えているなら、空き家バンクに登録するのも選択肢のひとつです。
空き家バンクとは、主に各自治体が運営する不動産情報提供サービスのことで、所管エリアに所在する物件の売主と購入希望者とのマッチングを目的としています。
田舎の実家について空き家バンクに登録するメリットは以下の通りです。
- 田舎への移住志向が強い購入希望者とマッチングできるので成約確率が高い
- 地方移住がトレンドになっている現在、空き家バンクの知名度が高まっているので宣伝広告効果を期待しやすい
- 空き家バンクと提携した独自の補助金制度が多いので、「お得に不動産を購入したい」という人と繋がりやすい
ただし、空き家バンクというプラットフォームを利用して田舎の実家を売却する場合、原則として売主自身が購入希望者と諸交渉を実施しなければいけません。たとえば、司法書士などに契約書作成・登記手続きを依頼する必要も生じます。
とはいえ、空き家バンクに登録さえしておけば、特別な営業努力をしなくても田舎の実家を売りに出している状態になるので、使い道のない不動産の管理負担からの解放に向けて一歩前進したと言えるでしょう。
したがって、「不動産仲介業者を探すのが面倒だが、田舎の実家を買ってくれる人を探したい」という人に空き家バンクはおすすめだと考えられます。
なお、国土交通省が「全国地方公共団体空き家・空き地情報サイトリンク集」で全国各地の空き家バンクを整理しているので、田舎の実家が所在するエリアの空き家バンクをご活用ください。
3.隣接する不動産所有者と売却交渉する
「田舎の実家を早期に好条件で手放したい」と希望するなら隣接する不動産オーナーに買取打診をしてみましょう。
なぜなら、以下のように、自分の所有する物件と隣接する不動産を取得することにはメリットしかないので、売主にとって意外と好条件での成約が実現しやすいからです。
- 隣地に変な人が引越してくるリスクを回避できる
- 隣接する不動産を有効活用して収益化を目指せる
- 所有する土地が広くなるので坪面積以上に不動産価値が上昇する
- 広さに余裕がある方が住環境が快適になる
- 解決を先延ばしにしていた境界線トラブルを解決できる
- 旧知の隣人から土地を購入できるという安心感を得られる
ただし、あまりに売主側の事情だけを押し付けると、売却交渉が難航するどころか、隣地の不動産オーナーとの人間関係がこじれる危険性があります。また、売却後の活用方法によっては、解体費用や残留物の処分費用などについても丁寧な交渉が必要です。
隣地を取得するメリットばかりをアピールするのではなく、円満なコミュニケーションを意識して早期成約を目指しましょう。
4.不動産買取業者に依頼する
売却しにくい理由を抱えた田舎の実家の場合、どれだけ信用できる不動産仲介業者に依頼をしても購入希望者が現れないことが少なくありません。また、そもそも不動産売却はタイミング・運が左右するものなので、どれだけ好条件の物件でも買い手との出会いに恵まれない可能性もあるでしょう。
そこで、「田舎の実家がいつまでも売れなくて困っている」「田舎の実家を所有し続ける負担に耐えられない」なら不動産買取業者に田舎の実家を引き取ってもらうのがおすすめです。
不動産買取業者は田舎の実家を今すぐに引き受けてくれる
不動産仲介業者は一般不動産市場から購入希望者を見つけて田舎の実家の売買契約締結に向けて動いてくれるものですが、不動産の購入希望者が現れない限りは所有物件の売買契約が成立しないというデメリットを避けられません。
これに対して、不動産買取業者は業者自身が売買契約の当事者になってくれるので、不動産買取業者に依頼をした時点で田舎の実家を手放すことが確約されます。どの不動産買取業者に依頼するかにもよりますが、最短即日ですべての手続きが完了し、田舎の実家を現金化できるケースもあります。
したがって、田舎の実家の売却条件にはこだわらず、「とにかく最速で田舎の実家を売却処分したい」という人に不動産買取業者はおすすめと言えるでしょう。
不動産買取業者は田舎の実家をそのままの状態で引き取ってくれる
不動産仲介業者経由で田舎の実家を売りに出すときには、少しでも購買層への印象を良くするために、物件の定期的なクリーニングやリフォーム工事などを実施する必要があります。
これに対して、不動産買取業者は田舎の実家がどのような状態であったとしてもそのままの状態で引き取ってくれるので、「成約可能性を高めるために清掃する」という手間は一切不要です。さらに、隣接地との境界トラブルを抱えている、建物自体に瑕疵が存在している、共有持分権関係で法的リスクが存在する、ゴミ屋敷などの”いわくつき”の状態でさえ、訳あり物件を専門に取り扱っている不動産業者なら買い取ってくれます。
したがって、「これから手放す田舎の実家に手を施すのは面倒だ」という人に不動産買取業者はおすすめだと言えるでしょう。
不動産買取業者に依頼すると田舎の実家の高値売却は期待しにくい
不動産買取業者に依頼する最大のメリットとして「面倒な不動産の処分を簡単に済ませられる」という点を挙げることができますが、その代償として、「不動産買取業者の査定額は仲介業者経由で売却したときの数割程度にディスカウントされる」というデメリットに注意が必要です。不動産買取業者が再販処理を代行してくれる以上、仲介業者経由での売却に匹敵するほどの高値成約を期待するのは野暮でしょう。
したがって、「時間がかかっても良いから少しでも高値で田舎の実家を売却したい」と希望するなら不動産仲介業者へ、「田舎の実家を手放すまでのスピード感を最重要視したい」と考えるなら不動産買取業者へご相談ください。

不動産仲介業者のなかには、指定期限までに購入希望者が現れなかった場合にあらかじめ決めた金額で買い取ってくれるという「買取保証」サービスを付けてくれる業者も存在します。「仲介経由での高値成約を目指しつつ、一定期間で売れないときには買取にシフトする」という柔軟な売却活動を視野に入れるなら、付帯サービスが充実した不動産仲介業者を選ぶのがおすすめです。
田舎の実家を所有し続ける危険性5つ
「不動産という資産を所有し続けるデメリットが分からない」という人は、使い道のない田舎の実家を処分しないとどうなるかを理解する必要があります。
そもそも、田舎の実家に限らず、居住予定などがない不要な不動産はできるだけ早期に手放すべきです。なぜなら、その性質上、不動産を所有を続けるだけで以下5つのリスクに晒され続けるからです。
- 不動産の処分方法の選択肢数はどんどん限られていく
- 不動産は所有するだけでコストが発生する
- 不動産の所有権を有するだけで法的責任を追及される
- 特定空き家に指定されると諸条件で不利を強いられる
- 無駄な不動産は所有するだけでストレス要因になる
たとえば、「親から引き継いだ大切な資産だから手放したくない」という数値化できない感情が理由なら危険性に目をつぶってでも所有を続けるのは間違いではないでしょう。
しかし、「将来資産価値が上がったときに高値で売却したい」と淡い期待を抱いたり、「不動産仲介業者に依頼をするのは面倒だから売却処分は後回しで良い」と現実逃避をしたりするのは、将来の自分や子ども世代に迷惑をかけるだけなのでおすすめできません。
使い道のない田舎の実家に孕む危険性を充分理解したうえで、できるだけ早期に不動産業者に処分方法を相談しましょう。
1.田舎の実家は手放すのが遅れるほど処分条件が悪くなる
マンションや一戸建て住宅すべてに共通する性質として、「築年数が増えるにつれて建物の資産価値は減少する」というものが挙げられます。資産価値が減少すれば好条件での成約は難しくなりますし、そもそも、「どれだけ条件を下げても売れない」ということにもなりかねません。
つまり、できるだけ恵まれた条件から田舎の実家の売却方法を選択したいのなら「今」が最良の時期だということです。売却処分時期が遅れるほど選択肢は狭まる一方ですし、現段階での売却処分を諦めると子ども・孫世代が負担を強いられることになります。
2.田舎の実家は住まなくても維持費が発生する
使わないゲームソフトを自宅に置いていてもコストは一切発生しませんが、田舎の実家は使わずに放置するだけでも維持費が発生する”金食い虫”になる点に注意が必要です。
たとえば、一般的な不動産の維持費として次のようなものが挙げられます。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 修繕費用(屋根・外壁・フローリング・給排水設備・シロアリ駆除など)
- 各種保険(火災保険・地震保険)
- 公共料金の使用料金
- メンテナンスのための交通費 など
田舎の実家の状態や立地条件次第ですが、田舎の実家は住まなくても1年間で数十万円のコストを消費する可能性があります。
したがって、無駄な経済的負担を可能な限り節約したいなら、田舎の実家を早々に売却処分するべきでしょう。
3.所有者というだけで田舎の実家に対する法的責任が発生する
田舎の実家の名義人・管理人である限り、「所有者」としての法的責任から逃れることはできません。
たとえば、田舎の実家の老朽化が進んだにもかかわらず所有者が放置し続けて建物が倒壊し、近隣住民に損害を与えてしまった場合には、民事上の損害賠償責任を負います(故意・過失の有無を問わない”無過失責任”)。また、田舎の建物の放置状況次第では刑事責任も問われかねません。
つまり、田舎の実家の名義人である以上は、どれだけ遠方に居住して不動産とは無関係の生活を送っていたとしても、毎日所有者責任追及リスクに晒されるということです。田舎の実家に関連して発生する事故等の態様にもよりますが、たった一度のトラブルで数百万円~数千万円の損害賠償責任が生じることも少なくないので、回避できる責任に対しては早々にリスクヘッジをするべきでしょう。
4.田舎の実家を放置し続けると特定空き家に指定されるリスクがある
田舎の実家の管理状態が悪化すると、行政から「特定空き家」に指定されるリスクが高まります。
特定空き家とは、空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)に規定されるハイリスク不動産のことで、以下の状態にあると判断されるもののことです。
- 公衆衛生上の有害リスクが高い(アスベストやゴミが飛散している状態など)
- 倒壊リスクが高い(外壁や屋根の劣化が激しい状態など)
- 周辺住民の生活環境を阻害している(不審者や野生動物が侵入している状態など)
- 景観計画との不一致(外壁の落書きや割れた窓ガラスが放置されている状態など)
特定空き家に指定されると、自治体から指導・勧告が行われて所有者自身で特定空き家状態を是正しなければいけません。行政からの指導・勧告に違反すると50万円以下の過料が科される危険性があるだけではなく、行政代執行にかかった解体費用等を負担する必要も生じます。さらに、特定空き家に指定されると固定資産税の優遇措置を受けられなくなるので、固定資産税が6倍・都市計画税が3倍に増税されてしまいます。
区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
更地 | 課税標準の1.4% | 課税標準の0.3% |
小規模住宅用地(200平米まで) | 課税標準 × 1/6 | 課税標準 × 1/3 |
一般住宅用地(200平米超の部分) | 課税標準 × 1/3 | 課税標準 × 2/3 |
つまり、特定空き家への指定を回避するには定期的なメンテナンスが不可欠ですし、田舎の実家の所有者である限りは、管理する労力や費用負担を免れられないということです。特定空き家の責任を問われる危険性を回避するには、できるだけ早期に不動産を売却処分するべきでしょう。
参照:「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)- 国土交通省HP
5.使い道のない田舎の実家は所有するだけでストレスになる
使う予定がない田舎の実家はストレス要因にしかならないので早期売却をおすすめします。
たとえば、毎年発生する固定資産税や定期的なメンテナンス費用を捻出するためにお金を用意しなければいけないとなると、所有者自身の生活費が圧迫されて精神的な余裕がなくなるでしょう。また、田舎の実家の様子をチェックするために訪問したときに隣近所や町内会から嫌味や苦情を申し立てられると不快感を抱かざるを得ません。さらに、田舎の実家と距離を置いているほど「いつ何かのトラブルに巻き込まれるか分からない」という不安感が搔き立てられるものです。
このように、ストレス要因にしかならない田舎の実家は、所有者の日常生活の平穏をも脅かしかねないものです。できるだけ早期に所有権を手放して、田舎の実家の呪縛からの解放を目指しましょう。
田舎の実家を売却しにくい理由3つ
不動産の売却が成功するか否かは”時の運”が左右するものの、一般的に、以下3点の理由から、田舎の実家は売却が難しいと言われています。
- 不人気エリアに所在しているため購買意欲がわかない
- 物件の築年数が古くて資産価値が低い
- 土地・建物に何かしらの瑕疵が存在するため不動産市場から忌避される
田舎の実家がこれら①②③の要素を抱えている場合、仲介業者経由で一般不動産市場から購入希望者を見つけるのは難しくなります。この場合には、不動産買取業者・訳あり物件買取業者を頼って田舎の実家の即時処分を目指すか、売却以外の処分方法を模索するべきでしょう。
これに対して、田舎の実家が①②③の因子を有さない場合には、不動産仲介業者に依頼をして高値成約を目指すのも不可能ではありません。物件所在エリアの不動産市場に詳しい仲介業者に相談すれば成約可能性を吟味してくれるので、まずは信頼できる不動産業者までお問い合わせください。
1.立地条件が恵まれていない
田舎の実家が抱える1つ目の問題点は「立地条件」です。立地条件が悪い土地・建物に対する需要は少ないので、一般不動産市場で購入希望者を見つけるのは簡単ではありません。
もちろん、ライフワークバランスを重視する傾向が強まった現在、昔に比べると田舎への移住者は増加傾向です。その意味では、田舎の実家も多少は売却しやすくなったと言っても過言ではないでしょう。
とはいえ、大都市圏の物件や公共交通機関へのアクセスが良い不動産と比較すると、以下のような事情を抱える田舎の実家に対する需要は相対的にかなり少ないのが実情です。
- 小学校や塾が近くにないのでファミリー世帯の需要が低い
- 自動車を所有していないと生活用品の買い物も難しい
- チェーン店や商業施設が存在しないので刺激のある暮らしを送りにくい
- 豪雪地帯など気候面での課題を抱えている
したがって、所在エリアの観点で欠点を抱える田舎の実家を売却したいなら、売り出し価格を下げるなどの販売戦略が不可欠だと考えられます。地域の不動産市場に詳しい仲介業者に依頼をして、どのような条件なら成約を目指しやすいかを相談しましょう。
2.築古物件で買い手が見つかりにくい
田舎の実家が抱える2つ目の問題点は「築年数」です。築古物件は資産価値が低いので、一般不動産市場における需要は非常に少ないでしょう。
不動産の購入者は「物件それ自体の資産価値と売り出し価格のバランス」をチェックするものです。そして、建物の法定耐用年数は以下のような運用が採られているため、都心部のような特殊な事情が存在しない限り、田舎の築古物件はほとんど資産価値がゼロに近い状態だと評価されます。
軽量鉄骨造 | 19年 |
---|---|
木造 | 22年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
47年 |
もちろん、建物自体の資産価値がゼロでも一般不動産市場で売却を目指すのは不可能ではありませんが、高額での成約を目指すならリフォーム工事を実施するなどの付加価値をつけるなどの工夫が必要です(そして、リフォーム工事をするには高額の工事費用の負担が発生するので、費用倒れになるリスクがある点に注意しなければいけません)。
したがって、田舎の実家が築古物件に該当する場合には、リフォーム工事の要否を含めて不動産仲介業者に相談すると同時に、解体して土地だけで売却する方法や“古家付き土地”として土地だけの価格で売却する道を模索するべきでしょう。
3.訳あり物件で売却希望者が集まりにくい
田舎の実家が抱える3つ目の問題点は「不動産が抱える瑕疵」です。古くから建っている田舎の物件は時の経過とともにさまざまなトラブル要因を抱えている可能性が高いので、不動産市場から敬遠される危険性があります。
「訳あり物件」として田舎の実家が売却しにくくなるのは次のような事情を抱えている場合です。
- 共有関係が複雑で売却手続きが複雑
- 再建築不可物件などの法規制上の制限にかかる
- 建物や土地が瑕疵を抱えているため安全性に問題がある
- 境界線が不明瞭で隣接地オーナーとの権利衝突が懸念される
たとえば、すでに田舎の実家が複数人の共有名義状態にある場合、不動産全体を売却するには原則として共有名義人全員の売却諸条件に対する合意が必要です。しかし、共有名義人全員の意思を都度確認しながら手続きを進めるのは面倒ですし、共有名義人のうちひとりでも所在不明の人が存在すると、不動産売却までにさまざまな法制度(不在者財産管理人制度・失踪宣告制度など)のハードルを越えるなければいけません。このような面倒な不動産を購入したいと考える人は現れにくいでしょう。
また、再建築不可物件に該当すると田舎の実家を解体した後に建物を新築できませんし、シロアリ被害などの隠れた瑕疵を抱える物件は安全性の面で問題があります。さらに、古い不動産は隣家との境界線が曖昧なものが多いため、境界確定の手間がかかるだけではなく、場合によっては隣家との法的トラブルに発展しかねません。
もちろん、時間をかけて法的瑕疵・物理的瑕疵・権利の瑕疵などの事情を所有者側で克服して、”健全な不動産”として一般不動産市場での高値成約を目指すのは間違いではないでしょう。ただし、そのためには多額の費用と時間・労力を避けられないため、結果的に高値成約が実現したとしても投下コストを回収できない点に注意が必要です。
したがって、田舎の実家が何かしらのトラブル要因を抱えている場合には、「所有権をできるだけ早期に手放すこと」を最重要視して訳あり物件買取業者に依頼するべきだと考えられます。買取価格はかなり低額になる可能性が高いですが、将来的に巻き込まれかねないトラブルを事前に回避できるという大きなメリットを得られる点を優先しましょう。
売却できない田舎の実家の処分方法6つ
ココまで紹介したように、田舎の実家が売れないと多くの危険性に晒される反面、物件の性質上、どうしても簡単には売却しにくいのが実情です。
とはいえ、「売りたいのに売れないのだからどうしようもない」と諦めて、所有を続ける危険性がそのまま現実化するのを待つだけで良いわけありません。
そこで、田舎の実家が売れなくて困っているのなら、以下のような「売却以外の処分方法」を検討するべきです。
- 相続放棄で権利関係から離脱する
- 解体工事を実施して土地だけで売却する
- 無償譲渡で引き取り手を探す
- 賃貸などの収益物件化を目指す
- セカンドハウス・別荘として前向きに利用する
- 2023年スタートの相続土地国庫帰属制度を利用する
1.田舎の実家を相続放棄する
「田舎の実家を売却処分するのが面倒だ」「仲介業者に依頼しても田舎の実家の買主が見つからない」とお困りなら、相続放棄をして田舎の実家をめぐる権利関係から離脱する手段が考えられます。
相続放棄とは、「相続人が、被相続人の権利義務を一切承継しないこと(もしくは、その意思表示自体のこと)」です(民法第915条)。本来ならば被相続人の死亡によって田舎の実家の所有権が法定相続人に承継されるところ、相続放棄制度を利用すれば最初から相続人でなかったことになるので、田舎の実家の処分方法に悩まされることはなくなります。さらに、子どもや孫など、放棄者の直系卑属に代襲相続が起きることもありません。
田舎の実家を相続放棄する方法・流れ
田舎の実家について相続放棄するまでの流れは以下の通りです。他者の権利関係にも影響を与え得るものなので、「相続放棄をします」と宣言するだけでは足りません。
- 相続人が自分のために相続の開始があったことを知る
- 相続財産を調査する
- 相続放棄・単純承認・限定承認のいずれを選択するか判断する
- 相続放棄の必要書類を取り寄せて、相続放棄申述書を作成する
- 家庭裁判所(被相続人の最後の住所を管轄する家裁)に相続放棄申述書等を提出する(郵送可)
- 家庭裁判所から郵送される照会書を確認のうえ、回答書を返送する
- 家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届き、相続放棄手続きが完了する
相続放棄の手続きは他の相続人と無関係に進めることができるので、親・兄弟・親族などとの関係が悪く連絡を取りたくないときに有効です。また、遺産分割協議にも参加しなくて良いので、相続財産をめぐる揉め事に巻き込まれずに済む点もメリットとして挙げられるでしょう。
田舎の実家を相続放棄するときの相続放棄申述書の記載内容
相続放棄をするには、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出する必要があります。相続放棄申述書は裁判所HPからダウンロード可能です。
相続放棄申述書の記載事項は以下の通りです。不備・誤植・漏れがあると受理されずに相続放棄期間を徒過するおそれがあるので、慎重に記入しましょう。
- 申立書を提出する家庭裁判所名
- 相続放棄申述書の作成年月日
- 申述人の特定事項(本籍地・住所・氏名・生年月日・職業・被相続人との関係)
- 申述人が未成年の場合には法定代理人等の特定事項
- 被相続人の特定事項
- 相続の開始を知った日
- 相続放棄の理由(「生活が安定している」「遺産を分散させたくない」など)
- 相続財産の概略(資産・負債)
- 800円分の収入印紙を貼付
田舎の実家を相続放棄するときの必要書類
相続放棄申述書に加えて、田舎の実家の相続放棄手続きで必要になる標準的な申立添付書類は以下の通りです。
必要書類が不足していると不受理扱いになってしまいます。また、遠方に居住しているなどの事情があると間に合わない可能性もあるので、期間に余裕をもって手続きに着手するか、相続問題を扱っている司法書士・弁護士に相談することをおすすめします。
申述人の属性 | 申立添付書類 |
---|---|
全申述人共通 | ・被相続人の住民票除票又は戸籍附票 ・申述人の戸籍謄本(戸籍の全部事項証明書) |
被相続人の配偶者 | ・被相続人の「死亡」の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本 |
第一順位相続人(被相続人の子ども・代襲者) | ・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本 ・被代襲者の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本 |
第二順位相続人(被相続人の父母・祖父母などの直系尊属) | ・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本 ・被相続人の子・代襲相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本(死亡している者についてのみ) ・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本(死亡している者についてのみ) |
第三順位相続人(兄弟姉妹・その代襲者(甥・姪)) | ・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本 ・被相続人の子・代襲相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本(死亡している者についてのみ) ・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本 ・被代襲者の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本 |
田舎の実家を相続放棄できるのは3カ月以内
田舎の実家を相続放棄するときには期間制限に注意しなければいけません。
というのも、相続放棄手続きは無制限に申述できるのではなく、原則として相続の開始を知ってから3カ月以内に家庭裁判所に対して相続放棄申述書を提出しなければいけないからです(民法第915条1項本文)。この期間内に相続放棄の手続きに着手しないと単純承認をしたと扱われるので、田舎の実家の処分責任が全面的にふりかかってしまいます。
ただし、相続財産の調査に時間を要するなど、3カ月以内に相続放棄手続きを履践できない正当な理由がある場合には、利害関係人・検察官による「相続の承認または放棄の期間の伸長の申立て」によって期間を延長してもらえます(民法第915条1項但書)。
田舎の実家だけを相続放棄するのは不可能
相続放棄は「被相続人に属する一切の権利義務」の承継を拒絶する意思表示のことです。「田舎の実家や借金のようなマイナス遺産の相続は放棄するけれども、預貯金や株式などのプラス遺産は相続する」という自分勝手な取扱いはできません。
また、原則として相続放棄の意思表示は撤回・取消しできない点も注意が必要です(民法第919条1項)。相続放棄を申し立てた後にプラス財産の存在が明らかになっても利益を享受できません。
そもそも、相続が開始したタイミングで、相続人には「相続放棄・単純承認・限定承認」の3種類の選択肢が与えられています。単純承認とは被相続人の権利義務を相続分にしたがってそのまま承継すること、限定承認とは被相続人の相続財産の範囲内でのみマイナス財産を引き継ぐことです。
田舎の実家を売却する負担から逃れたいという気持ちは十分理解できるものですが、相続放棄の意思表示を表明すると二度と後戻りできない以上、相続財産の調査・相続放棄の判断は慎重に行うべきでしょう。
相続放棄をしても田舎の実家の管理義務が継続する場合がある
相続放棄をしても、相続人・相続財産管理人が決定してその者が相続財産を管理できる状態になるまでの間は、自己の財産と同じ水準の注意力をもって相続財産を管理しなければいけません(民法第940条1項)。
つまり、家庭裁判所が相続放棄の申述を受理してくれた後も、正式な承継者が現れるまでは田舎の実家の管理責任を問われるということです。
先ほど紹介したように、田舎の実家を放置して何かしらのトラブルが発生すると民事責任・刑事責任のリスクに晒されるので、一定の負担は甘受しつつ、引き継ぎまでの間は丁寧に田舎の実家を管理しましょう。
田舎の実家を相続する予定がないなら親名義の段階で処分方法を検討しよう
田舎の実家は、「不動産」という資産価値を有する財産であるという点に注目すると「プラスの財産」とも捉えられますが、築年数や劣化状況などを総合的に考慮すると実質的には「負の遺産」の側面を有するため、非常に取扱いが難しい資産だと考えられます。つまり、損得両方の性質を有するから相続時に厄介なトラブルに巻き込まれるということです。
そこで、親が健在で現時点において相続が発生していないのなら、将来的なトラブルを回避するために、田舎の実家について相続が発生する前に売却処分を検討するのがおすすめです。
たとえば、親が充分な判断能力を有する状態なら、今の段階で話し合いをして田舎の実家を売却してもらい、親自身は住みやすいエリアに引っ越してもらったり、子ども世帯と同居したりする方法が考えられます。また、親が認知症などを患っているのなら、子どもが代理人になって親名義の田舎の実家を売却することも可能です。
このように、親が健在なうちに田舎の実家を売却しておけば、将来的な処分トラブルに巻き込まれることもありませんし、実家の老朽化が進む前の状態なので比較的有利な条件での成約も目指せます。さらに、何よりも取扱いの難しい不動産が相続財産から除かれるので、相続手続きをスムーズに進めやすいでしょう。
2.田舎の実家を解体して更地として処分方法を模索する
老朽化やシロアリ被害などが原因で田舎の実家を売却するのが難しい場合には、建物を解体して更地として売却するのも選択肢のひとつです。これによって、「新築戸建て用の土地を探している」という購買層を売却活動のターゲットに含めることができます。
ただし、建物を解体して更地として売却する場合には、所有者側が解体費用の負担を強いられるというデメリットを避けられません。以下のように、建物の構造・敷地面積によって解体費用の相場は異なりますし、重機の侵入スペースの有無・廃棄する建材量・整地コスト・アスベスト工事などの付帯費用の有無などで解体費用は変動します。
田舎の実家の構造 | 坪単価あたりの解体費用 |
---|---|
木造 | 3万~5万円/坪 |
鉄骨造 | 4万~6万円/坪 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 6万~8万円/坪 |
更地の売却予定価格と解体費用、田舎の実家を所有し続けるコストを総合的に比較衡量して、解体処分の妥当性を検討しましょう。
なお、解体処分を所有者側で負担するのが面倒であれば、「古家付き土地」として売りに出す方法も考えられます。ただし、解体費用が買主に転嫁される分だけ成約価格がディスカウントされる点にご注意ください。
3.田舎の実家を無償譲渡する
売却処分できない田舎の実家の取扱いで困っているときの対処法として「寄付」が挙げられます。たとえば、物件が所在する自治体、隣接地オーナーなどの個人、NPOなどの公益法人や一般企業などの法人への無償譲渡が考えられます。
ただし、無償とは言えども不動産の寄付を受け付けてくれる第三者が都合良く現れるとは限りませんし、不動産を引き受けた第三者が贈与税などの課税対象になる点も注意が必要です。
そもそも、田舎の実家は売却が難しいものですが、「不動産」という資産価値を有する重要な資産だということを忘れてはいけません。つまり、「仲介業者に依頼しても売却できないから寄付をする」のも間違いではありませんが、それならば多少成約価格は安くても不動産買取業者に引き受け依頼をして現金化した方がメリットが大きいということです。
したがって、田舎の実家の無償譲渡を検討するのは、隣接地のオーナーと旧知の仲であったり管理を引き受けてくれる親族がいたりするなど、金銭的な利害関係を超えて優先するべき特別な事情が存在する場合に限られるでしょう。
4.田舎の実家を利用して収益化を図る
田舎の実家の売却が難しい場合には、土地・建物を活用して収益化を目指すのも賢い方法です。
たとえば、次のような土地活用方法が挙げられます。
- 賃貸物件として家賃収入を狙う(アパート経営・マンション経営を含む)
- 建物を解体して駐車場・トランクルームとして貸し出す
- 太陽光発電設備を誘致する
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を経営する
- 遊休農地があるなら農家に貸し出す(シェア畑など)
いずれの方法も初期投資や運転コストが発生しますが、経営が軌道に乗れば定期的な安定収入を得るチャンスに繋がるものです。
全国展開の不動産仲介業者のなかには使わない土地の収益化サービスも展開している業者もあるので、幅広い活用法を視野に入れて田舎の実家の処分方法を検討しましょう。
5.田舎の実家への移住やセカンドハウス利用を検討する
田舎の実家を別荘として活用したり、思いきって田舎に移住したりする方法も挙げられます。
特に、近年ではテレワークの普及や働き方改革の影響で、都市圏の企業に所属しながら田舎で暮らすことも不可能ではありません。
「通勤圏内にマイホームを建てて生涯を遂げる」のもひとつの生き方ですが、自由なライフワークバランスを目指せる以上、ご自身の希望に沿った生活スタイルを目指すのも選択肢のひとつでしょう。
6.相続土地国庫帰属制度を利用する
令和5年4月27日から相続土地国庫帰属制度がスタートするので、この制度を利用して田舎の実家を手放す方法が考えられます。
相続土地国庫帰属制度とは、2021年に成立した「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」を根拠とする制度で、所有者不明の土地や有効活用ができていない土地を削減する目的から、相続などによって土地の所有権を取得した場合に、法務大臣の承認を受けて負担金を納付すれば、土地の所有権を手放して国庫に帰属させることができるというもののことです。
相続土地国庫帰属制度の要件は以下の通りです。
- ①適法な承認申請手続きを履践していること
- 相続・遺贈によって土地の所有権を取得した人だけが承認申請をすることができます。売買によって不動産を取得した人は対象外です。なお、土地が共有名義状態なら、共有者全員の同意のもと承認申請をしなければいけません。
- ②法務大臣(法務局)による要件審査をクリアすること
- 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律では、以下の申請却下事由・不承認事由を定めています。これらに該当する場合には要件審査をクリアできません(同法第2条3項・第5条1項)。
・建物がある土地
・担保権や使用収益権が設定されている土地
・他人の利用が予定されている土地
・土壌汚染されている土地
・境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
・一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
・土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
・土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
・隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
・その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地 - ③申請者が負担金を納付すること
- 相続土地国庫帰属制度で土地の所有権を手放すには、法務大臣の承認を得られてから30日以内に「10年分の土地管理費用相当額」を納付しなければいけません。立地条件や土地の状態にも左右されますが、田舎の土地であれば10万円~30万円程度になると予想されます。
たとえば、「田舎の実家を解体処分して更地として一定期間売りに出したうえで、購入希望者が現れなかった場合には相続土地国庫帰属制度で所有権を放棄する」という処分方法が考えられるでしょう。
とはいえ、繰り返しになりますが、一般不動産市場で買い手が見つからないような荒廃した田舎の実家でも、不動産買取業者に依頼をすればある程度の現金に換えられるということを忘れてはいけません。訳あり物件買取業者ならどれだけ問題を抱えた田舎の実家でも現状引渡しが可能なので、まずは査定だけでもご相談ください。
住まない実家は早期売却がおすすめ!不動産業者に適切な処分方法を相談しよう
田舎の実家は「負の遺産」になる前に売却処分するのが適切です。管理費用の負担やさまざまな法的リスクを強いられる前に、地域の不動産事情に詳しい仲介業者に相談をして処分方法を模索しましょう。
また、田舎の実家の売却処分に時間をかけたくないのなら、不動産買取業者に引き取り依頼をするのが最適です。使い道のない不動産に起因するストレスを今すぐ解決できます。
いずれにしても、処分方法を決めかねている間にも、時々刻々と田舎の実家の処分条件は悪くなるばかりです。仲介業者・買取業者にかかわらず、専門業者に相談をすれば何かしらの方向性を示してくれるので、まずは田舎の実家の売却に向けて動き出しましょう。
田舎の実家を売却すると、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税・登録免許税・印紙税などの税金が発生します。売価がそのまま利益になるわけではありませんし、確定申告などの手続き負担も課されます。複雑な税制度等を不安に感じるのなら、不動産業者を利用して売却するのがスムーズでしょう。