山林を上手に売却する5つの方法を解説!手続きの流れや注意事項をおさえて早期に現金化しよう

山林を上手に売却する5つの方法を解説!手続きの流れや注意事項をおさえて早期に現金化しよう

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「親が所有していた山林の売却先で困っている」「相続人に迷惑がかからないように、自分が生きている間に所有山林を処分したい」など、森林面積の広い日本において山林の売却を検討している方は少なくありません。

ただ、居住用不動産とは異なり、「売りたい」と思ってもすぐに売却できないのが山林の難しいところ。売れ残り期間が長引くほど、「管理コスト・所有者責任が重くのしかかる」という不動産の嫌な側面が過大な負担となるでしょう。

そこで今回は、山林の売却方法を5つ解説します。あわせて、山林売却時の注意点不動産業者の選び方のポイントも紹介するので、最後までご一読ください。

洸太郎
洸太郎

「時間をかけてでも好条件で売却する」「条件が悪くても問題ないので早期に手放す」のどちらの方向性に進むかを判断すれば山林の処分方法に頭を悩まされずに済むでしょう。特に、相続が絡む場面では山林が共同所有関係になることも少なくないので、権利者間で話し合いがもつれる前に処分方法を決めてしまった方がトラブル回避に役立ちます。

目次

山林の売却が難しい理由3つ

山林などの特殊な不動産を売却処分するときには、不動産の特性に応じて適切な売却戦略を練るのがポイントです。

そのためには、「所有物件にはどのような特殊性が存在するのか」「なぜ自分の不動産は一般不動産市場で売却しにくいのか」というように、所有物件が一般の不動産市場からウケが悪い理由やデメリットポイントに対して真正面から向き合うことが必要となります。

山林の売却が難しいといわれる理由は次の3点です。

  1. 山林の購入希望者の絶対数が少ないので売却先を見つけにくい
  2. 所有コストを負担してでも山林を購入したいと感じる買い手が少ない
  3. 山林の売却相場が流動的なので売り時を決めにくい

それでは、山林の売却が難しい3つの原因について、それぞれ具体的に見ていきましょう。

1:購入希望者を見つけるのが難しい

そもそも、山林とは「耕作の方法によらないで竹木の生育する土地」のこと(不動産登記事務取扱手続準則第68条)。人の手が入らずに自然のまま樹木が生育している状態です。

このような山林を購入するのは、林業従事者や何かしらの開発予定目的を有する一般事業会社、転売目的の投資家などに限られます。つまり、不動産市場における多数派である「居住用目的で不動産を探している人」が売却ターゲットから外れるということです。その結果、山林がいつまでも売れ残ったり、購入希望者が見つかっても安値しかつかなかったりするということも少なくありません(なお、後述のように、近年では山林需要が高まりを見せているので、山林の状況・エリア次第では高値売却を目指すのも間違いではないでしょう)。

したがって、山林の売却を検討する場合には、気長に条件に見合った購入希望者が見つかるのを待つか、希望条件を充たさないとしても不動産買取業者に依頼をして今すぐに引き取ってもらうのが賢明だと考えられます。

2:所有するだけで税金が発生する

山林に限らず、不動産は所有するだけで税金などのコストが発生するもの。実際、山林の売却処分を検討しているオーナー自身も、使用目的のない山林を所有するだけで発生している諸コストに辟易としているはずです。

そして、リゾートマンション・別荘地などであれば定期的な利用でコストを払う意義が見出せるものの、一切使い道を見出せない「山林」を所有しても維持費が無駄になるだけなので、一般の不動産市場から敬遠されるのは当然のことでしょう。

たとえば、山林を所有するだけで、次のような金銭的な負担が継続的に発生します。

  • 固定資産税
  • 自然災害に備えたメンテナンス費用
  • 災害等発生時の原状回復費用・被害回復費用
  • (事業展開するなら)造林・育林・伐採・搬出費用

山林の固定資産税はかなり低額に収まる(場合によっては課税対象外になることも)ものの、使い道のない不動産に毎年数万円支払うことを無駄に感じる人は少なくないでしょう。また、山火事や地震による倒木被害などが発生した場合には、所有者の責任のもと被害状況を回復しなければいけませんし、杜撰な管理が原因で周囲に被害を拡大させてしまった場合には別途法的責任を追及されるリスクも発生します。

このようなコスト・責任を負担してでも山林を所有したいと考える購入希望者を一般不動産市場で見つけるのはかなり難しいのが実情です。「不動産仲介業者に依頼をした方が安心できる」と考える山林オーナーは多いですが、各種負担を回避するため、購入希望者が現れない場合に山林が負の遺産になるのを避けるために、「不動産買取業者への依頼」も常に選択肢に入れておきましょう。

3:山林の相場が流動的なので売り時が難しい

「少しでも有利な条件で山林を売却したい」と希望する山林オーナーにとって壁になるのが、「山林の値付けは難しい」という点です。

そもそも、山林を売却するときには、山全体で売るのか、立木と土地を別々で売却するのかをオーナー側で決める必要があります。たとえば、「搬出ルートを確保できるのなら木材を伐採して売却、更地になった土地だけを別で売りに出す」ことによって売却合計額が高くなることもあるでしょう(その分手間はかかりますが)。その一方で、樹木に希少性がなく市場価値が認められないのであれば、立木と土地を別々に売却することに意味はありません。

このように、山林売却では「何を売るのか」という点から判断が求められるのですが、これを決めるためには、山林全体の価値・立木の価値・更地の価値をそれぞれ見積もる必要があります。ただ、樹木の価値は林業市場の動向次第で大きく変動しますし、伐採・搬出・販売などのノウハウのない不動産仲介業者に依頼をしても適正査定を得られないリスクを避けられません。また、境界確定に必要な知識(尾根・沢などの形状把握)がなければ山林の売価を正確に導き出すことも難しいでしょう。

このように、山林は「いつ・誰に」売却依頼をするかによって成約価格が大きく変動するものです。売り時を逃さずに正規の売却ルートに乗せるためにも、山林売却の実績豊富な不動産業者に依頼することを強くおすすめします。

山林の売却方法は5つ

ここまで紹介したように、所有物件の特性に応じた戦略を練らなければ山林は売れにくいままですが、物件ごとの事情に応じて対策をとれば何かしらの方法で処分することは可能です。

山林の処分方法として、次の5つが挙げられます。

  1. オーナー自身が山林の購入希望者を見つけてくる
  2. 森林組合に相談して山林の処分方法を決める
  3. 第三者に対して山林を無償譲渡する
  4. 不動産仲介業者に依頼して山林を一般不動産市場で売却する
  5. 訳あり物件買取業者に依頼して山林を引き取ってもらう

それでは、5つの山林売却方法について、それぞれ具体的に見ていきましょう。

1:自分で購入希望者を見つける

山林の処分方法として、「自分で購入希望者を見つけて直接取引をする」という方法が挙げられます。

不動産を処分することに慣れていない人のなかには、不動産業者に依頼をすること自体に抵抗感を抱いている人が少なくありません。売主個人で購入希望者を見つけて売買手続きを進めれば、当事者同士の柔軟な話し合いだけで山林を手放すことができるでしょう。

ただし、そもそも不動産の売却手続きには専門的な注意点が多数存在しますし、山林売買は購入者が限られているため引き取り手を見つけるのも簡単ではありません。

不動産業者に依頼する煩わしさを敬遠したくなる気持ちは当然なものですが、売却処分時期が遅れるほど所有者の負担が重くなるため、知り合いなどに引き取ってもらえないことが判明した段階ですみやかに不動産仲介業者・買取業者に依頼することを強くおすすめします。

山林売却をネット依頼できるサービスも増えている

「高齢になって林業を辞めた親が所有している山林を今のうちに売却したい」「相続した使い道のない林地を早期に手放したい」というように、山林の処分方法で困っているオーナーは少なくありません。

このような声に応えるために、近年ではインターネットで山林の処分を依頼できるサービスが充実しています。

たとえば、「山林バンク」「山林売買.net」のようなWebサービスを利用すれば気軽に森林売却についての相談をできますし、「ジモティー」の「売ります・あげます」「不動産」カテゴリーでは山林も取扱い対象です。

近年山林へのニーズは高まっている

ひと昔前であれば、山林は「林業従事者の仕事のため」「投資家が転売目的のため」に購入するのが一般的でした。

ただ、現在では、「田舎の一軒家を自分の手でDIYする」「手の入っていない山林を購入して田舎暮らしをスタートする」などのように、暮らし方の多様化が進んでいることによって昔とは違った形で山林に対するニーズが高まっています。

たとえば、「10万円で 買える 山林」という検索ワードが上位に挙がってくるほど、林業・投資とは無縁の人が山林に関心をもつケースが増えているのが実情です(YouTubeでも多様なコンテンツが展開されています)。

そのため、山林の売却先でお困りのオーナーでも、昔よりも購入希望者を見つけやすい時代になっているはずです。後述のように、不動産業者に依頼すれば売却手続き等をすべて任せられるという点でメリットは大きいですが、不動産業者を介在させない処分方法も増えているということを覚えておきましょう。

2:森林組合に山林売買を相談する

売れない山林の処分先で困っている場合には、森林組合への相談をご検討ください。森林組合自体が直接の買主になってくれるわけではありませんが、山林の購入希望者情報などについて具体的なアドバイスを受けられます。

森林組合とは、森林組合法に基づいて運営される協同組合のこと。森林所有者が組合員となり、森林施業の受託・森林施業計画・林業支援・山林保全活動などの事業を展開しています。

下部組織としての各自治体の森林組合、上部組織として都道府県森林組合連合会・全国森林組合連合会(JForest)が設置されているので、山林の所在エリアに対応する森林組合までお問い合わせください。

3:山林を無償譲渡する

使い勝手が悪く、引き取り手が見つからない山林は、「第三者への寄付」という形で無償譲渡する方法が考えられます。

誰に寄付をするかによってそれぞれ注意事項が発生するので、以下をご参照ください。

①自治体への寄付
山林については自治体が引き取ってくれる可能性があるので、一般の不動産市場で購入希望者が見つからない場合には市町村の相談窓口まで問い合わせをしよう。ただし、自治体で引き取ってくれるのは有効活用の可能性がある場合のみ。行政にとって負担がある山林は寄付を受け付けてくれないので注意が必要。
②個人への寄付
隣地の所有者など、引き取る側にメリットがある場合には個人に寄付をするのも有効な手段。ただし、山林を受け取った側は贈与税を支払う必要がある(110万円の基礎控除あり)。また、生前贈与する場合には他の相続人に事前相談しておくのがベター。
③法人への寄付
営利法人・公益法人(社団法人・財団法人)に寄付への寄付も可能。林業関係のNPOなどに相談すると引き受けてくれる場合がある。ただし、法人区分によっては譲渡所得税が発生することもあるので、税理士・司法書士などに相談するのがおすすめ。
④認可地縁団体
自治体・町内会のうち「認可地縁団体」の手続きを踏んでいるものについては不動産の名義人になることができる。地域事情によっては山林を引き受けてくれる場合があるので、森林組合などに相談してみよう(参照:認可地縁団体とは – 舞鶴市)。

4:山林売買に強い不動産仲介業者に依頼する

山林の売却先を探しているのなら「不動産仲介業者」に依頼するのがおすすめです。

不動産仲介業者とは、売主・買主を仲介してくれる専門業者のこと。個人で購入希望者を探すのには限界があるため、不動産市場のプロに任せた方が成約可能性を高められるでしょう。

ただし、不動産仲介業者ならどこに頼んでも良いというわけではありません。ここからは、不動産仲介業者の選び方や契約種別について説明します。

なお、不動産仲介業者に依頼するメリット・デメリットについては以下のリンク先で詳しく解説しているので、あわせてご一読ください。

不動産の売却は「仲介業者」と「買取業者」どちらが良い?それぞれのメリット・デメリットを解説

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2021年7月30日

不動産仲介業者と締結する媒介契約の種類を吟味しよう

不動産仲介業者に山林の売却依頼をするときには、仲介契約(媒介契約)の類型を吟味する必要があります。

仲介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3類型が存在するので、所有する山林の状況に応じて適切なものを選択しましょう。

専属専任媒介契約
契約できる不動産仲介業者は1社のみ、直接取引もできない契約類型。不動産仲介業者が営業活動・広告活動に力を入れてくれる可能性は高いが、いわゆる「囲い込み」リスクがあるため、慎重に業者選びをしなければいけない。
専任媒介契約
契約できる不動産仲介業者は1社のみだが、直接取引は許される契約類型。所有者に不動産売却のノウハウがあるのなら専任媒介契約を締結する実益はあるが、業者に丸投げをするのなら専属専任媒介契約で差し支えない。
一般媒介契約
複数の不動産仲介業者と同時に契約できる類型で、直接取引も可能。依頼先が増えるので多くの顧客層の流入を見込めるが、不動産業者が営業活動に力を入れてくれなくなる可能性が高いため、山林のような引き受けての少ない物件についてはおすすめできない。

たとえば、不動産の築年数が浅く人気エリアに所在しているというように、どの不動産業者に依頼をしてもすぐに買い手がつくような物件であれば「一般媒介契約」が向いていると考えるのが一般的です。なぜなら、条件に見合った人を選ぶためには、できるだけ多数の購入希望者を集めた方が有利だからです。

ただし、山林のような特殊な不動産売却の場合には、売主サイドが積極的にターゲット層に向けて営業活動を実施することが求められます。つまり、「一般媒介契約」のような業者の営業努力が期待できない契約類型では、いつまでも購入希望者が現れないリスクが生じるということです。

したがって、山林のような特殊物件の売却活動を実施する場合には、「専属専任媒介契約・専任媒介契約」のどちらかを選択したうえで、業者が積極的に営業・広告活動を実施してくれるような状況を作り出すべきでしょう。

なお、媒介契約の種類については以下のリンク先で詳しく解説しています。あわせてご一読ください。

不動産売却の媒介契約の3つの種類はどれを選ぶべき?「専属」「専任」「一般」それぞれの特徴を徹底解説

不動産売却の媒介契約の3つの種類はどれを選ぶべき?「専属」「専任」「一般」それぞれの特徴を徹底解説

2021年7月30日

不動産仲介業者への依頼時に必要な書類を確認しよう

不動産仲介業者に山林売却を依頼する場合には、次の必要書類を用意しなければいけません。なぜなら、山林を売却する際には、山道の有無(公道か私道か)・樹木の種類(樹齢・資産価値・生育面積など)・山の傾斜状況など、マンションや戸建て住宅を売却するときとはまったく異なる要素を考慮する必要があるからです。

業者側から関連書類を指定されますが、以下のものについては事前に用意をしておいた方がスムーズに事が運ぶでしょう。

  • 登記事項証明書
  • 固定資産税の課税明細書
  • 公図
  • 地盤図(地質地盤図)
  • 森林簿
①登記事項証明書

登記事項証明書とは、不動産の権利関係に関する情報(権利部)や、不動産の所在・地番・地目・地積(表題部)が記載された公的な証明書のことです。データ化された証明書を発行してもらう場合には「登記事項証明書」と表現しますが、法務局に据え置かれている登記簿を謄写した場合には「登記簿謄本」と表現することもあります。

全部事項証明書・現在事項証明書・一部事項証明書・閉鎖事項証明書の4種類に区別されますが、山林を売却するケースでは、基本的に「全部事項証明書」を用意すれば間違いありません。

登記事項証明書(登記簿謄本)の入手方法は、①窓口申請(全国の法務局で対応可能)・②オンライン申請・③郵送申請、の3種類です。スケジュールに余裕をもってご準備ください。

参照:オンライン申請のご案内 – 法務局

②固定資産税の課税明細書

課税明細書とは、「固定資産税・都市計画税納税通知書」に同封されている不動産の状況を表した書類のことです。毎年4月頃に不動産所有者の手元に郵送されます。

課税明細書を紛失しても再発行はできませんが、名寄帳を確認すれば資産状況を確認可能です。お住まいの自治体の税務課までお問い合わせください。

参照:固定資産税・都市計画税の課税明細書をご覧下さい! – 横浜市
参照:課税明細書を無くしてしまったので、再発行をしてほしいのですが? – 江南市

③公図

公図とは、土地の境界・建物の位置を確定するための地図のこと(不動産登記法第14条第1項)。不動産を俯瞰することによって山林の位置・形状・範囲をチェックできます。

登記事項証明書と同じように、法務局の窓口申請・オンライン申請・郵送申請の3種類の方法で取得できますが、すべての公図がデータ化されているわけではないので、所有山林がデータベース化の対象から外れている場合には管轄法務局まで直接問い合わせをする必要がある点についてご注意ください。

参照:地図(公図)の閲覧について – 東京法務局

④地盤図(地質地盤図)

地盤図(地質地盤図)とは、山林が所在する地層・岩石の構造や物理特性、ボーリング状況などを表した地図のことです。地層の3次元の分布形態を平面図・断面図・立体図でマップ表示しているため、山林所在地の安全性や地学的価値を推察するのに役立ちます。

売却予定地の状況次第では地盤図の提出を求められることもあるので、「国土地盤情報検索サイト」よりご確認ください。

参照:地質地盤図について – 産業技術総合研究所

⑤森林簿

森林簿とは、山林の所在地・所有者・面積・樹木の種類・材積・成長量・保安林の有無などの森林に関する情報を記載した台帳のこと。平成28年5月以降に発足した林地台帳制度に基づき、各自治体に問い合わせれば森林簿の写しを受け取ることができるようになりました。

ただし、各自治体が空中写真・聞き取り調査などの方法で作成しているものなので、課税明細書・登記事項証明書などの記載内容とはズレが生じている場合があります。また、自治体ごとに写しの請求方法が異なるため、山林の管轄自治体まで直接お問い合わせください。

参照:森林簿等(写し)の交付 – 岐阜県

不動産仲介業者に山林売却を依頼する流れを確認しよう

戸建て住宅・マンションなどの”わかりやすい”不動産とは異なり、山林売却を不動産仲介業者に依頼する場合には、以下の各ステップを慎重に進める必要があります。山林売却のノウハウがない仲介業者に依頼をすると安値で買い叩かれるリスクがあるのでご注意ください。

  1. 一括査定サイトを利用して依頼する不動産仲介業者の目星をつける
  2. 複数の候補先に机上査定を依頼する
  3. 条件の良い業者と媒介契約を締結する
  4. 不動産仲介業者の要望に応じて必要書類を提出する
  5. 不動産仲介業者が現地調査(ドローンなどによる空撮等)により土地・立木を訪問査定する
  6. 不動産仲介業者が山林仲介用HPなどで広告・営業をスタート
  7. 購入希望者と交渉のうえ、山林の売買契約を締結する

特に、山林を一般不動産市場で売りに出すためには、適切な測量プロセスを経たうえで購入希望者が現れるような値付けをするべきです。しかし、定期的なメンテナンスを実施していないと、人が簡単には足を踏み入れられないような荒地になっていることも少なくないでしょうし、専門的なノウハウがない業者に依頼をすると実地調査が適正に行われない可能性も否定できません。

したがって、一括査定サイトなどで複数業者を見比べながら、特に「山林の販売実績」に注目して業者選びをするのがおすすめです。ネットで24時間いつでも利用できるおすすめの不動産一括査定サイトについては以下のリンク先で紹介しているので、あわせてご参照ください。

おすすめ不動産一括査定サイト31選!何を基準に選ぶべきかを解説します

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2021年12月27日

5:訳あり物件買取業者に依頼する

「できるだけ早くに山林を手放したい」というように、時間効率性を最重要視する山林オーナーにおすすめの処分方法が「訳あり物件買取業者への依頼」です。

そもそも、不動産仲介業者に山林売却を依頼すれば一般不動産市場で条件に見合った購入希望者を吟味できますが、残念ながら、山林は時間をかけても希望通りに売却できる可能性は高くはありません

売却期間が長引くほど所有コストが高額になりますし、仲介手数料も無視できないほど高額になるケースもあるでしょう。また、万が一山林所有中に火災などの自然災害に見舞われたときには、想像以上の所有者責任を追及されるリスクも生じます。

訳あり物件買取業者は、山林の売買契約の当事者として山林をそのままの状態で引き取ってくれる存在です。仲介業者とは異なり訳あり物件買取業者自身が買主になるので、一般の不動産市場で購入希望者を募る必要もありません。

訳あり物件買取業者に山林売却を依頼するメリット
・最短即日で山林を手放すことができるので管理コスト・所有者責任から今すぐ解放される
・仲介手数料が発生しない
・売れにくい山林について営業活動などを実施しなくて済む
・現状のまま引き渡しても契約不適合責任(瑕疵担保責任)などを一切問われない
・共有名義トラブル、境界確定トラブルなども訳あり物件買取業者が引き受けてくれる
訳あり物件買取業者に山林売却を依頼するデメリット
・仲介業者経由で一般不動産市場で売却するときよりも低額になる可能性が高い

訳あり物件買取業者に依頼する最大のメリットは、最短で山林を手放すことができるというもの。山林がどれだけ荒廃していても、権利関係が複雑で共有持分だけしか売却できない状態でも、そのままの状態で引き渡すことが可能となります。

もちろん、一切の後始末を業者側で引き受けてくれるので相場価格よりも3割~5割程度値引きされた査定額しかつきませんが、「山林をめぐる懸念材料から逃れられる」というお金には換えられないメリットを手にすることができる点を見落とすべきではないでしょう。

以下のリンク先で訳あり物件買取業者を紹介しているので、お住まいのエリアなどを鑑みて依頼しやすい業者までお問い合わせください。

【全国対応】訳あり物件(事故物件)を高く売却したい人におすすめの不動産買取業者15選

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2021年8月1日

山林を売却するときの注意点6つ

山林を売却するときには、「売れにくい」という不動産の特殊性に留意するだけではなく、次の6つの注意点を踏まえる必要があります。居住用物件を売却するときの注意点とは異なるポイントなので、かならずチェックしてください。

  1. 山林売却を不動産仲介業者に依頼すると高額な仲介手数料を取られるリスクがある
  2. 山林売却時に発生する税金にも注意を要する
  3. 山林の売却には許可が必要になるケースがある
  4. 山林の売却相場をチェックして安値で買い叩かれるのを防止する
  5. 山林の権利関係を早期に確定する
  6. 山林は「売れにくい物件」だと理解したうえで柔軟に処分方法を検討する

それでは、山林売却時の6つの注意点について、それぞれ具体的に見ていきましょう。

1:仲介手数料が高額になるリスクがある

山林売却を訳あり物件買取業者に依頼した場合には気にする必要はありませんが、不動産仲介業者に山林売却を依頼する場合には「仲介手数料」に注意する必要があります。なぜなら、山林売却時には宅地建物取引業法の規制が及ばないため、高額な仲介手数料を搾取されるリスクがあるからです。

そもそも、宅地建物取引業法第46条では、宅地・建物の売却時に発生する仲介手数料の上限額について次のようなルールを定めています。

売買価格(消費税別) 仲介手数料上限額
200万円以下 売買価格の5%
200万円超400万円以下 売買価格の4%
400万円超 売買価格の3%

しかし、山林は「宅地・建物」ではないため、不動産仲介業者がこの定め以上の仲介手数料を請求すること自体が合法となります。つまり、悪質な仲介業者に依頼をしてしまうと、他社よりも高額な仲介手数料が原因で手元にお金がほとんど残らないということにもなりかねないということです。

したがって、山林売却を不動産仲介業者経由で売却するときには、かならず媒介契約締結前に契約書を細かくチェックして、居住用物件売却時と遜色ない水準の仲介手数料か否かをご確認ください

2:山林売買時に発生する税金にも注意する

山林を売却して入ってきたお金には税金が発生します。申告・納税を怠ると延滞金・追徴課税・懲役などのペナルティが科されるので注意が必要です。

  • 立木部分(取得から5年経過後):山林所得
  • 立木部分(取得から5年以内):事業所得or雑所得
  • 土地部分:譲渡所得
  • 登録免許税
  • 印紙税

たとえば、5年以上所有している山全体をそのまま売却した場合には、立木部分について山林所得、土地部分に譲渡所得が課されます。また、木材を伐採して土地・樹木を別々に売却した場合も、山林所得・譲渡所得がそれぞれに対して発生するということです。

山林所得
山林所得とは、5年以上所有している山林について、伐採して譲渡・立木のまま譲渡することによって生じる所得のこと。【山林所得 = 総収入金額 - 必要経費 - 特別控除額(最高50万円)】の公式によって求められる。必要経費には「概算経費控除」という特例控除制度が用意されており、伐採または譲渡した年の15年前の12月31日以前から引き続き所有していた場合には、「伐採費などの譲渡費用を差し引いた金額の50パーセントに相当する金額」に「伐採費などの譲渡費用を加えた金額」を必要経費にできるので節税効果を目指すことが可能。分離課税である山林所得の税率については「5分5乗方式(課税山林所得金額 × 1/5 × 税率 × 5)」が採用されている。その他、「森林計画特別控除」などのルールも定められているので、確定申告時に税理士などの専門家に相談するのがおすすめ。
参照:No.1480 山林所得 – 国税庁
譲渡所得
譲渡所得とは、土地・建物・株式・ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生じる所得のこと。【譲渡所得 = 収入金額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額】の公式によって求められる。山林の所有期間によって譲渡所得税率・住民税率が異なり、5年超の長期譲渡所得については譲渡所得税率15%・住民税率5%、5年以内の短期譲渡所得については譲渡所得税率30%・住民税率9%となる(別途、復興特別所得税が加算される)。つまり、山林を取得してから間もないうちに売却すると土地に課される譲渡所得が高額になる点に注意が必要。
参照:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき) – 国税庁

山林売却に力を入れている不動産仲介業者・訳あり物件買取業者であれば税制上の注意点についても丁寧に解説してくれますし、提携している税理士事務所を紹介してくれることもあります。

税金の納付総額は山林を取得したときの事情から遡って導かれるものなので、かならず山林ノウハウの豊富な業者にご相談ください。

洸太郎
洸太郎

相続のタイミングで山林売却を検討している場合、山林と他の遺産総額を合算して基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超えると相続税の申告が必要になります。山林についても相続税評価額を決定する必要があるため、かならず司法書士などの専門家にアドバイスを求めましょう。

3:山林の売却には許可が必要になるケースがある

山林は農地とは異なるので売却時に許可は必要ではありませんが、農地転用規制が及ぶような状況では例外的に都道府県知事の許可が必要です。災害防止・環境保全の観点から現状維持が望ましい場合以外には許可がおりるので過度に心配しなくても問題ありません。

たとえば、休耕地、果樹園・竹林育成地・林業種苗地などの「耕作目的に供されている土地」に該当する場合には許可を得なければいけない可能性が生じるので、念のために不動産業者・自治体の窓口までご相談ください。

参照:林地開発許可制度 – 林野庁

4:山林の売買相場をチェックして安値で買い叩かれるのを防止する

直接取引に限らず、不動産仲介業者・買取業者に依頼する場合にも必要となりますが、山林を手放すときには売却相場を確認するのがファーストステップです。これは、相場より大幅に値引きされた価格で買い叩かれるのを防止すると同時に、見当外れな高額設定で集客に失敗する事態におちいらないようにするためです。

もちろん、山林の相場は時期によって変動しますし、エリア条件・立木の状態などにも左右するものですが、国土交通省が管理する土地総合検索システムのうち、「不動産取引価格情報検索」システムを利用すれば、「いつ・どこの山林が・いくらで」取引されたかをチェックできます。購入希望者との交渉時にお役立てください。

5:山林の権利関係は早期に確認する

山林の権利関係が複雑な共有関係になっている場合、長年山林の測量をしていないために登記簿情報と実情に齟齬が生じている場合などについては、山林売却手続きを進める前にできるだけ早いタイミングで状況を整理することを強くおすすめします。

たとえば、登記簿上に記載されている共有名義人全員の同意が得られなければ山林の売買契約を締結することはできません。共有者間で処分方法について合意を形成する必要がありますし、そのためには、所在不明になっている共有名義人を調査するところからはじめなければいけないこともあるでしょう。

また、登記簿上の情報だけを前提に売却すると、売価が実態とはかけ離れるおそれがあります。安すぎると売主側が損をするだけですし、高過ぎると売却後に購入者との間で法的トラブルに発展しかねません。

山林売却に慣れた不動産仲介業者に依頼をすれば共有問題・境界確定問題について司法書士・測量士などのサポートを受けながら円滑に進めてくれますし、訳あり物件買取業者に依頼をすれば売主側の負担を回避して山林を手放すことも可能です。

6:山林は簡単に売れるものではないと理解する

山林に対する需要が高まっているとはいっても、居住用物件や別荘地などに比べて山林の購入希望者層が少ないのが実情です。ですから、「実績豊富な不動産仲介業者に依頼すれば数カ月で売却できるはずだ」と期待し過ぎるとぬか喜びになりかねないので注意をしなければいけません。

たとえば、信頼できる仲介業者に依頼をしたのに当初想定していたほど集客が見込めない場合には、以下のような処分方法を柔軟に検討しましょう。

  • 所有コストを負担に感じるなら「訳あり物件買取業者に丸投げ」する
  • 境界画定や測量コストを節約したいなら「公募面積で売却」する
  • 樹木に価値があるなら「立木だけで売却」する

たとえば、立木自体に充分な資産価値が見込める状況なら、所有者側で加工をして売却した方が高額収入を見込めることもあるでしょう。確かに、山ごと売ってしまえば所有・管理コストからは解放されますが、製材ビジネスに興味があるのなら収益を上げるチャンスをみすみす手放すべきではありません(もちろん、間伐などの定期的なメンテナンス、搬出経路の確保、ビジネス展開するだけの投資は必要です)。

山林のような特殊不動産の処遇で困っているときには、1つの処分方法にこだわるのは厳禁です。仲介業者経由の売却が成功しないことも想定したうえで、常に幅広い選択肢を視野に入れておきましょう

売れにくい山林の売却でお困りなら訳あり物件買取業者に相談しよう

山林は時間をかけても希望通りに売却できるとは限りません。そもそもの地価が安いため、よほど事業効率性が見込める山林でない限り、「買い手が見つからない」「低廉な価格設定を提示されて交渉がまとまらない」という状況を強いられる可能性が高いです。

つまり、山林を手放したいのなら、不動産仲介業者経由で高値成約を目指すのはリスクが高いということです。塩漬け期間が長期化するほどオーナー側の負担が重くなるので、どこかのタイミングで折り合いをつけるべきでしょう。

したがって、山林の処分方法を検討するときには、不動産仲介業者の話を聞くと同時に、訳あり物件買取業者にもコンタクトをとることを強くおすすめします。中長期的な視点で損得を考えて、山林所有者側にとってもっともメリットが大きいと判断できるポイントで売却処分を決心してください。

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30代、フリーランスライター・翻訳家。マイホーム購入のタイミングで不動産に興味をもつ。現在は関西の山奥で田舎暮らしを満喫しながら、めぼしい中古物件をリサーチする毎日。不動産関連の知識を深めながら、国内外問わず良い物件との出会いを待ち望んでいます。