マンションは不動産です。不動産の売買はスーパーなどでの日常的な商品の売り買いとはまったく異なるもの。価格は高額になるのが一般的ですし、専門性の高い一定の準備・手続きも求められます。「不動産の売却に精通している」という人が少ないのは当然のことです。
だからこそ、これからマンションの売却を検討している人にとって大切なのは、「正しい方法で自分の大切な資産を売ること」「できるだけ高く売る方法を実践して適正価格で売却すること」です。よく調べもせずにネット上にあふれている情報を精査できないままだと、間違った方法で大切な資産を手放すことになりかねません。
そこで今回は、売主の希望を最大限実現するために”マンションを高く売る方法”を紹介します。適切な方法を実践すれば満足のいく形でマンションを売却できるので、ぜひ最後まで参考にしてください。
目次
- 1 マンションは8つのコツを押さえれば高く売れる
- 2 マンションを売る前にチェックしておくべきポイント
- 3 マンションを高く売るために信頼できる業者を選ぼう
マンションは8つのコツを押さえれば高く売れる
マンションを売り出すときには、売主側でも一定の工夫をする必要があります。
なぜなら、「固定資産税を払えないのでどんな値段でもとにかく今すぐ手放したい」という場合は別ですが、“希望通りの適正価格”、もしくは、”できるだけ高い金額”で売却したいと考えたとしても、当然のように売主側の希望が通るわけではないからです。
したがって、マンションを高く売るためには、次の8つのポイントを押さえるのが重要だと考えられます。
- 複数の不動産業者を比較する
- 不動産業者の業態に注目する
- マンション売却に強い不動産業者を選ぶ
- 売り出し価格は強気に設定する
- 既存住宅売買瑕疵保険に加入する
- 内覧時に工夫を凝らす
- 広告に力を入れる
- 売り出し前にリフォームはしない
いずれの方法もマンションの売却価格を左右する大きなポイントです。それぞれのコツについて詳しく見ていきましょう。
マンションを高く売る方法1:複数の不動産業者を比較する
マンションを売却するときには、不動産会社への依頼が欠かせません。そこで、まずはどの業者に依頼するのがもっともメリットが大きいのかを判断するために、複数の不動産業者を比較する作業からはじめましょう。
というのも、各不動産業者によって査定価格や販売までの付帯サービスがまったく異なるため、“相性が悪い”不動産業者を選んでしまうとマンションを高く売れない可能性があるからです。
複数の不動産業者を比較するときには、次のポイントを意識してください。
- 各業者の査定額
- 不動産業者の規模
- 付帯サービスの多さ
- 業者・営業担当者の雰囲気
また、この4つのポイント以外にも不動産業者選びには欠かせないチェックポイントが存在するので、詳しくは以下のリンク先の記事をご参照ください。
できるだけ多くの業者に査定してもらう
マンション売却業務を依頼する業者を見つけるときには、できるだけ多くの業者に査定依頼を出しましょう。
不動産の価額査定には、机上査定と訪問査定の2種類があります。まずは、「HOME4U(ホームフォーユー)」「イエウール」などのインターネットの不動産一括査定サイトを利用して机上査定を行い、そのなかで気になる業者・好条件を提示してくれた業者数社に訪問査定を依頼するのがおすすめの流れです。
最初からマンション売却を依頼する業者を決め打ちしてしまうと、後から業者に対する不満や他の優良業者の存在を知って後悔するようなことになりかねません。
したがって、マンションを高く売る方法の入り口である「どの業者を選ぶのか」という基礎固めをするために、多くの不動産業者の提供サービス・査定内容を比較することからはじめましょう。

もっとも、「査定額が高い」ことと「売主側の利益が最大化されること」は同義ではありません。たとえば査定額が多少低くても営業活動が熱心な業者もあれば、机上査定は好条件でも仲介手数料が他社よりも高額というケースもあるからです。そこで、単純な売価だけではなく、付帯サービス・手数料・税金などを総合的に考慮するためにも、一括査定サイトの利用を手始めに、数多くの業者実態に触れていきましょう。
中小・大手業者ごとに特徴が異なる
マンション売却を任せる業者を選ぶときには、中小の不動産業者と大手業者のどちらに依頼するのかを意識すると、たくさんある不動産会社のなかから自分に合ったところを選別しやすくなります。
なぜなら、マンション売却においては、中小・大手不動産業者それぞれに企業規模に応じた特徴があるからです。
チェック項目 | 中小不動産業者 | 大手不動産業者 |
---|---|---|
会社ブランドへの信頼度 | △ | 〇 |
販売地区 | 地域密着型 | 全国展開型 |
集客力 | △ | ◎ |
社員教育 | △ | 〇 |
1件あたりの力の入れ具合 | ◎ | △ |
大手不動産業者は全国規模の集客力を活かして数多くの買い手希望者を募ることができます。社員教育などにも力が入っているでしょうし、付帯サービスも見どころが多い会社が多いでしょう。その一方で、抱えている案件数が多いため、1件ごとの営業活動などを期待しにくいというデメリットを避けられません。
その一方で、中小の不動産業者は地域密着型で事業を展開していることが多いので、地域ごとの特性を熟知しています。したがって、大手不動産業者に比べると集客力は劣るものの、売主側のニーズを丁寧にくみ取って営業に活かしてくれるというメリットがあります。

大手・中小にかかわらず、業者ごとに特徴は異なるもの。たとえば、会社ブランド力を重視したいという人には大手業者が向いていますが、各社の実態に目を向けた方がマンションが高く売れる可能性は高まります。
付帯サービスが多い方がコストカットにつながる
マンションを高く売るためには、売却が決定するまでの流れ全体を見渡すことも重要。というのも、売主が手にできるのはマンションの売値(ここから仲介手数料を引いたもの)だけですが、支出を抑える配慮をしなければ「せっかく高値で売れたのに費用倒れになってしまった」という後悔をしかねないからです。
そこで押さえておきたいポイントが、不動産業者が提供している付帯サービスについて。各社のサービス内容次第では、売主側の支出を効果的に節約できる場合があります。
たとえば、プロカメラマンの撮影サービス。売主の購買意欲に直接かかわる広告用写真にプロの手が入ります。売主側で発注をすると何万円も費用がかかりますが、無料付帯サービスとして提供してくれる業者は少なくありません。
また、荷物お預かりサービスを利用すれば、内覧時に自宅内の物品を片付けた状態でゲストを迎えることができます。売主側で貸倉庫を用意すると費用・手間がかかるでしょう。
他にも、ホームステージング・ハウスクリーニング・設備保証サービスなどを活用すれば、売却予定のマンションを低コストで高状態にキープできます。不動産業者を選ぶときには、このようなコスト削減面にも留意するのがおすすめです。
業者・営業担当者の雰囲気との相性もポイント
マンションを高く売るためには、取引をする不動産業者・営業担当者との相性も重要。なぜなら、不動産売却を成功させるためには営業・広告活動が重要となりますが、相性の良い業者・営業担当の方が売主側の希望・ニーズを伝えやすいからです。
そもそも、売買の目的物がマンションという高額な不動産であることからいろいろな懸念・不安が生まれるのは当然のことですが、結局は売主・買主・営業担当者という”人同士”の取引。気持ち良く取引ができた方が良いですよね。
そして、マンション売却は、業者に依頼をしてから数カ月~年単位でやり取りがつづくことも。相性の悪い営業担当者とかかわり続けるのは売主側にとってもストレス要因です。
したがって、複数の業者を見比べるなかで、不動産業者・営業担当者の雰囲気を把握して、ご自身との相性の良さそうな営業担当者・売主側が重視する要素をもっている業者を選びましょう。
マンションを高く売る方法2:不動産業者の業態に注目する
マンションを高く売るためには、不動産業者の業態にも注目するのがポイント。なぜなら、言葉のうえでは「不動産業者」とひとくくりにできてしまいますが、”実際に不動産業者がどのような業務を担当するのか”・”不動産業者との間で締結する契約内容”には各社違いがあるからです。
マンション売却を検討している人が押さえておかなければいけないのは次の2点です。
- マンションを高く売るなら買取業者ではなく仲介業者を選ぶ
- 仲介業者との契約内容次第では高値売却のために力を尽くしてもらえる
つまり、①買取業者か仲介業者かを選ぶ、②仲介業者を選ぶなら契約内容に注意をする、という2段階構成でマンションを高く売るための道を探ることになります。
それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
マンションを高く売りたいなら仲介業者を選ぶ
不動産業者は、買取業者・仲介業者の2つに分類できます。
- 買取業者:不動産業者がマンション売却の買主になる
- 仲介業者:不動産業者が買主を探してくれる
買取業者に依頼をすれば、その時点でマンション売却は終了します。わざわざ一般から買主を募る必要はなく、不動産業者からすぐにお金を受け取れる点がメリットです。
もっとも、取引終了までの時間が短いかわりに、買取業者が提示する査定額は仲介業者に依頼する場合と比べて低額になるのが一般的。したがって、「マンションをできるだけ高く売りたい」という売主は買取業者との取引は避けるべきです。
これに対して、仲介業者はマンションの買い手を見つけるために売却業務を仲介してくれる業者のこと。ひろく一般から買主を募る分だけ成約までの期間が長くなるというデメリットがありますが、買取業者に依頼するときよりも高値での売却が期待できるというメリットが得られます。
したがって、マンションを高く売りたいのなら、仲介業者に依頼するのがおすすめです。なお、買取業者・仲介業者については以下のリンク先で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。

マンション売却で忘れてはいけないのが、”買い手がつかない”というリスクです。この点、条件にさえこだわらなければ買取業者はほとんどのケースで買取をしてくれます。どれだけ「高く売りたい」と希望しても、そもそも物件が売れなければ意味がありません。物件の状態・条件などを総合的に考慮して、買取業者・仲介業者のいずれに依頼するのかを決めるべきでしょう。
マンションの属性次第で仲介契約(媒介契約)の内容を決める
高額売却を狙って仲介業者に依頼するとしても、どのような契約内容で媒介業務を依頼するかにも注意してください。なぜなら、仲介業者との契約内容には、大別して次の3種類があるからです。
- 専属専任媒介契約:不動産業者1社とだけ契約。直接取引も不可。
- 専任媒介契約:不動産業者1社とだけ契約。直接取引は可能。
- 一般媒介契約:複数業者と契約可能。直接取引も妨げられない。
このように、どのような媒介契約を締結するかによって、マンション物件の売却選択肢の幅が異なります。
とはいっても、かならずしも「売主に複数の選択肢が認められる一般媒介契約が有利だ」というわけでもありません。どの契約が適切か、どの契約ならマンションを高く売れるかは物件の条件ごとに考える必要があります。
たとえば、築年数古い、立地が悪いなど、一般的に”売れにくい”とされるマンション物件の場合には、専属専任媒介契約・専属媒介契約がおすすめ。なぜなら、専属専任媒介契約では1社だけと契約する以上、当該不動産業者は自社利益を上げるために高いモチベーションで積極的な営業活動を行ってくれるからです。一般媒介契約では競合他社に利益をとられる可能性がある以上、各業者が自主的に売り出しをしてくれない可能性があります。
これに対して、築年数が浅く、立地条件が良いマンション物件なら、不動産業者の積極的な営業活動なくしても簡単に買い手が見つけることが多いです。それならば、わざわざ1社だけに絞って専属専任媒介契約などを締結する必要はなく、一般媒介契約で集客数を増やしてしまう方が適切だと考えられるでしょう。
このように、物件の条件などによって締結すべき契約内容には違いがあります。マンションを高く売ることも大切ですが、同時に、「マンションの買主が見つかる」という大前提も忘れないようにしてください。
なお、媒介契約の特徴については以下のリンク先の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

媒介契約を締結するときには「囲い込み」に注意が必要です。悪質な不動産業者のなかには、仲介手数料を独占するために依頼を受けた物件の売買を自社だけで完遂しようとするところがあります。これでは、本来高値で売れていたはずのチャンスさえ失いかねません。したがって、不動産業者を選ぶときには、かならずネットなどのレビューもご参照ください。
マンションを高く売る方法3:マンション売却に強い不動産業者を選ぶ
マンションを高く売るためには、マンション売却に強い不動産業者を選ぶのがポイントです。
不動産業者といっても扱っているジャンルは業者ごとにさまざま。たとえば、中古戸建物件の売却が得意な業者にマンション売却を依頼したところで、集客面・営業面に期待することはできません。
また、マンション売却には一定のノウハウが必須です。同じマンション内・近隣で同条件の物件が売りに出されているタイミングは避けた方が良いなど、マンション売却ならではのポイントを押さえて販売を行わなければ、希望額通りのままでは買い手が見つからないということにもなりかねないでしょう。
したがって、マンションを高く売るためには、直近のマンション販売実績が豊富な業者を選ぶのがおすすめです。
マンションを高く売る方法4:売り出し価格は強気に設定する
マンションを高く売るためには、売り出し価格を妥協し過ぎないのがポイントです。
マンション売却では、「値段を高く設定し過ぎたために買い手が見つからない」という失敗談がよくあります。確かに、買い手がつかないようなあまりに理不尽な価格設定をするのは不適切です。その一方で、売り出し価格を妥協し過ぎると、買い手がつきやすくはなるものの適正価格での売却ができなくなるため、「本来ならもっと高値で売却できたのに安値で買いたたかれた」というような状態に。
そこで、マンションを売却するときには、査定額から1割程度高く設定するのが目安となります。たとえば、実際の売却交渉のなかでは減額交渉なども行われるため、最終的には”ちょうど良い”価格で売買契約が成立することになるでしょう。
さらに、このような価格設定については、地域のマンション売却に長けた不動産業者に依頼をすれば適切なアドバイスを得られるはず。売主側の利益に直結する部分なので、信頼できる不動産業者選びが重要だと考えられます。
マンションを高く売る方法5:既存住宅売買瑕疵保険に加入する
マンションを高く売るためには、既存住宅売買瑕疵保険に加入してマンションの不動産としての価値を客観的に担保する方法が考えられます。
既存住宅売買瑕疵保険とは、中古の住宅等に対して実施される専門建築士によるインスペクションに合格した物件のみ加入できる保険のこと。万が一売買契約締結後に物件に瑕疵が見つかった場合でも、補修費用等の保険金が支払われる仕組みのものです(株式会社日本住宅保証検査機構など)。これにより、瑕疵担保責任を負担する売主側も売却後の責任から免れられますし、買主側もしっかりと金銭的な補償を受けられるので、取引を安全に進めることができます。
そして、ここで重要なことは、既存住宅売買瑕疵保険に加入できているということは、当該マンション物件の設備面・安全性等に対して客観的な保証が行われているということであり、何かあったときのためのリスクマネジメントにも役立つということです。高額な中古不動産を購入する買主側の安心にもつながります。
物件の広さ・保証期間・保険金額によって違いはありますが、保険料約2万円~4万円、検査料約5万円~10万円程度で加入可能です。
実際、中古マンションの購入を検討している買主のなかには、「かし保険を利用する登録事業者等の検索」を利用して、既存住宅売買瑕疵保険に加入している事業者からマンションを購入したいという人も少なくはありません。
客観的価値が担保されたマンションは高く売れる可能性が高まります。マンションを高く売りたいと希望するのなら、ぜひ保険への加入をご検討ください。

特に大手不動産会社では、既存住宅売買瑕疵保険以外にも、独自サービスとして瑕疵保険を用意しているケースも少なくありません。不動産業者選びの指針の1つとしてもご活用ください。
マンションを高く売る方法6:内覧時に工夫を凝らす
マンションを高く売るたえには、購入希望者の内覧時にも手を抜かないようにしてください。
内覧は買主の購買意欲を高める機会であると同時に、物件を積極的にアピールするチャンスでもあります。次のポイントを押さえて、ゲストが満足するようにこころがけましょう。
- 物件をできるだけ良く見せる
- 購入希望者には丁寧に接する
- 営業担当者にも同席してもらう
それでは、ポイントごとに詳しく見ていきましょう。
物件をできるだけ良く見せる
まずは、物件をできるだけ良く見せることが重要です。購入希望者の多くは、これからこのマンション物件を拠点に生活・事業をつくり上げていくことを想定しているはず。その礎となる場所ですから、できるだけ納得できる内容のものを求めていて当然です。
また、他にも購入を検討している物件があるはずなので、他物件の内覧よりも満足してもらう必要もあります。
したがって、内覧時には次のポイントを押さえて物件の魅力を最大限高めましょう。
- 事前にハウスクリーニングを入れる
- 部屋が広く見えるようにモノを片付けておく
- 部屋の魅力が伝わるようなインテリアを準備する
- 光が入るようにカーテンを全開・全室の電気をつけておく
- 室内のにおいにも留意する(芳香剤などを設置)
- 押し入れの中まで整理整頓
- 水回りは特に丁寧にメンテナンスする
たとえば、部屋が暗く見えたり、物品が片付いていないと、それだけでなんとなくネガティブなイメージを抱かれかねません。これでは、せっかくマンションの条件が良かったとしても、購入希望者の意欲はそがれてしまうでしょう。
不動産業者のなかには、ハウスクリーニングやスタイリッシュなインテリアの貸し出しを無料でサービスしてくれる業者もあります。このようなサービスを上手に活用しながら、ゲストを迎えやすい環境を整えましょう。
購入希望者には丁寧に接する
冒頭でお伝えしたように、マンション売買も「人と人」の取引です。ですから、内覧時には丁寧な対応でゲストを迎えましょう。
具体的には次の通りです。
- 新しいスリッパを用意する
- 良いタイミングでお茶を用意する
- 丁寧な話し言葉、円滑なコミュニケーションを意識する
- マンション物件のデメリットポイントも伝える
- 内覧当日はエントランス・エレベーターのゴミにも注意する
大切なのは、「おもてなし」の精神です。自分が買主だったらどのような形で迎えてもらいたいかを想像しましょう。
ここで特に重要なのが、マンションのデメリットポイントも正直に伝えるということ。中古物件を購入する以上、壁の汚れやフローリングの傷などがあって当然です。新築同様だとアピールすると、逆に不信感を抱かれてしまいます。
また、見落としがちなのが部屋の中ばかり注意してしまって、共用部分にまで配慮が行き届かないパターン。たとえばエントランスの雰囲気が悪いだけで、内覧当日が全体的にネガティブな雰囲気になってしまいかねません。
したがって、マンションを高く売るためには、エントランスから購入希望者をお出迎えするという気持ちで細やかな気配りをもって準備を進めてください。

内覧希望者が多く、そのたびに準備をするのが面倒だという場合には、オープンルームの開催もご検討ください。開催までの準備には時間がかかりますが、内覧をまとめて済ませられるというメリットが得られます。実施方法などについては不動産業者にアドバイスを求めましょう。
営業担当者にも同席してもらう
内覧当日には営業担当者にも同席してもらうのがおすすめ。買主側とのコミュニケーションもとってくれますし、物件にかんする専門性の高い質問にも回答してくれるからです。
せっかく内覧の機会を取りつけたのに、購入希望者からの疑問に答えられないようではとても成約には至りません。売主だけで答えられるように事前準備をするにも手間がかかるでしょう。
したがって、内覧が決まったときには、かならず担当者の立ち合いを希望して充実度の高い内覧を実施してください。
マンションを高く売る方法7:広告に力を入れる
マンションを高く売るためには、広告に力を入れる作業を欠かせません。
現在物件を探している人は、ネット・業者店頭の物件情報やチラシに掲載された写真から物件の絞り込みをします。つまり、ここで買主側の目にとまらなければ、契約は当然のことながら、内覧さえしてもらえないことになります。
したがって、売却予定の物件が希望者の目にとまりやすいように、次のポイントを押さえて広告に工夫を凝らしましょう。
- 白黒写真ではなくカラー写真を掲載する
- 写真の数はできるだけたくさん
- ぼやけていない鮮明で明るい写真を掲載する
- 分かりやすい販売用図面(マイソク)になっているか確認
- 物件のセールスコメントは独自性があるものを
- 学校・駅から近いなどの付加価値もアピールする
現在販売されている各物件において、売主側(業者側)が買主を募るために工夫をして広告を展開しています。つまり、厳しい市場のなかで広告に手を抜いてしまうと、高く売るどころか、誰ひとりとして購入希望者が現れないということにもなりかねません。
したがって、広告では、「自分が売りに出している物件の魅力が最大限伝わるにはどうすれば良いのか」という視点から、購入希望者の興味をひく内容をこころがけましょう。

プロの写真撮影サービスの有無・プロモーションへの力の入れ具合は業者によって異なります。熱心に販促をしてくれる業者ほど高く売れる可能性が高いので、業者選びの際には、販売までの具体的な流れも事前に聞き取っておきましょう。
マンションを高く売る方法8:リフォームは慎重に
「リフォームをして物件の状態を良くしておけば古いマンションでも高く売れる」という考えは間違いではありません。確かに、物件の状態が高いほど高値でも納得を得やすいので、単純売価にこだわるのならリフォームも選択肢の1つでしょう。
もっとも、リフォームをするにはお金がかかるということを忘れてはいけません。つまり、どれだけマンションが高く売れたとしても、その分リフォーム・修繕代金がかかってしまうと、結局費用倒れになる可能性があるということです。
その一方で、売却予定のマンションの劣化があまりに酷い場合や、市場動向を踏まえてリフォームをした方が高く売れる可能性が見込まれるのなら、事前にリフォームを済ませてしまうのも1つの選択肢になるでしょう。
したがって、事前にリフォームをすべきか、リフォーム可能と買主側に伝えるだけにとどめるのかについて、地域のマンション売却動向に詳しい不動産業者に相談するのがおすすめです。

近年の流行を踏まえると、「自分の好きなようにリフォームしたい」と考える買主が多いという特徴も。事前に売主側でリフォームをすると買主側の購入後の選択肢を奪うことにもなりかねないので、リフォーム・修繕に対しては慎重な姿勢であるべきです。
マンションを売る前にチェックしておくべきポイント
ここまで紹介した8つのポイントを押さえればマンションを高く売ることは可能ですが、不動産物件の売却を検討している人は事前に次の5つの注意点も押さえておく必要があります。
なぜなら、「高い値段で売却できればそれだけ売却益が増える」というのは間違いない事実ではありますが、それ以外にも注意点を押さえておかなければ、スムーズなマンション売却を実現できなかったり資金調達に問題が出たりして、想定外の不利益を被るおそれがあるからです。
- 住宅ローンの残債を確認する
- 必要書類を事前に準備しておく
- 税金のことを把握しておく
- 売却期間には余裕をもっておく
- マンションの売り時を逃さない
それでは、それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
住宅ローンの残債を確認する
マンションを売却するときには、かならず事前に住宅ローンの残債を確認しておきましょう。
なぜなら、売却予定のマンションのローンを完済して金融機関名義の抵当権を抹消した状態でなければ物件を売り渡すことはできないからです。
たとえば、マンションの売却益をローン残債に充てるつもりなら、残債額よりも高い売値を設定する必要があります(いわゆる「アンダーローン」)。また、預金も活用する予定なら、売値の下限も事前に判断できるでしょう(いわゆる「オーバーローン)。
住宅ローンの残債額は毎年各金融機関から送付される年末残高証明書や都度発行できる残高証明書を確認すればすぐに分かります。売主側の事情次第では住み替えローンの申請なども必要になるので、できるだけ早い時期に住宅ローン残高を確認のうえ、今後の方針を決定しましょう。

「売り先行」「買い先行」のいずれにするかなど、大きなお金が動く不動産売買では資金調達の必要性から取引の流れも事前に想定しておく必要があります。この点についても不動産業者に依頼すれば丁寧に教えてくれるので、信頼できる業者に任せましょう。
必要書類を事前に準備しておく
「〇〇万円で売ります」「はい、分かりました」だけでは成立しないのがマンション売却の大変なところ。不動産売却をするには一定の必要書類をそろえなければいけないので、事前に手元に集めておくのがおすすめです。
マンション売却に必要な代表的必要書類は次の通りです。
- 登記済権利書・登記識別情報通知書
- 間取り図・測量図
- 固定資産税納税通知書
- 印鑑証明書
- 耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書
- マンションの利用規約
- 身分証明書
- 銀行口座書類・通帳
必要書類のなかには、平日に市役所に行ったり、法務局に申請を要するものもあります。直前になって慌ただしく準備をすると用意忘れのリスクもあるので、マンションの売却を決めたのならできるだけすみやかに手元にそろえましょう。
税金のことを把握しておく
マンションを売却するときには、税金にもご注意ください。なぜなら、マンション売却で得たお金は所得として計上される以上、所得税の対象になるからです。
譲渡所得税とは、”マンションの売却価格”から、”取得費”・”譲渡費用”・”特別控除額”を差し引いた金額である”課税譲渡所得金額”に対して課される税金のこと。
物件の所有期間に応じて次のような税率で算出されます。また、住民税・復興特別所得税についてもあわせてご確認ください。
- 短期譲渡所得税(マンション所有期間が5年以内)
- ・所得税:30%
・住民税:9%
・復興特別所得税:0.63%
・合計:39.63% - 長期譲渡所得税(マンション所有期間が5年以上)
- ・所得税:15%
・住民税:5%
・復興特別所得税:0.315%
・合計:20.315%
ここまでを踏まえると、マンションを売却するだけでかなり高額な税金がとられることに不安を抱く人も少なくはないでしょう。
ただ、マンション売却については、特別控除の制度を活用が可能です。たとえば、マイホームを譲渡した場合の「3,000万円特別控除」や「住宅ローン控除」なら、所得税などの発生を最大限抑えて節税することができます。もっとも、確定申告などの要件が課される点にはご注意ください。
さらに、不動産業者のなかには、弁護士などの専門家の無料相談の機会を用意してくれたり、税金の立て替えサービスが整備されているところも。マンション売却前に、今後のお金のことはしっかりと把握しておきましょう。

税金以外にも避けられない支出として「仲介手数料」が挙げられます。仲介手数料は不動産業者に依頼するうえでかならず必要な経費です。業者ごとに費用体系が異なるので、丁寧に複数業者を比較しましょう。
売却期間には余裕をもっておく
マンションの売却には最低でも3カ月、長ければ年単位で時間がかかります。なぜなら、買主がすぐに見つかるかどうか分からないからです。
したがって、転居などのスケジュールがはっきりとしているのなら、できるだけ早期に売却手続きに踏み出すようにしましょう。
なお、万が一希望するタイミングまでに売却が決まらなかったとしても、不動産業者が買取をしてくれる付帯サービスも用意されています。売却予定時期のリミットが決まっているのなら、このようなサービスを提供している業者を選ぶのもポイントです。
マンションの売り時を逃さない
マンションを売却するときには”売り時”を逃さないこともポイントです。
そもそも、マンションの売却価格は築年数・立地条件・住戸位置・耐震性などの客観的なデータに基づいて算出されますが、景気動向や相場観などの外的要因にも左右されるため、売り出し時期次第で価格が上下するという特徴があります。
つまり、売り時を逃すと「もう少しはやく売り出しておけばもっと高額で売れたのに」と後悔することにもなりかねません。
一般的に、マンションの売り時と言われるのが需要の高まる3月です。また、全国各地の地価変動の動向は「土地情報総合システム(国土交通省)」からもチェックできるので、参考にしてください。
マンションを高く売るために信頼できる業者を選ぼう
マンションは大切な資産です。せっかく売却する以上は、市場価格を反映した適切な価額で売り出しましょう。
その際、高く売る方法をしっかりと実践しなければ、売主の希望売却額に納得してくれる買主を見つけることは難しくなります。
今回ご紹介した8つのポイントを押さえて、満足のいくマンション売却を実現してください。
売主側が忘れてはいけないのは”買主側の目線”。買主側が「できるだけ安くマンションを購入したい」と考えるのは当然ですよね。つまり、売主・買主(もちろん業者も含めて)ではマンション価格について利害が反するのが通常です。だからこそ、売主側として重要なのは、「このマンションの状態ならこの価格設定でも当然だ」と買主側に納得させること。しっかりとポイントを押さえて、売主側の希望額を市場でも通用する状態に底上げしましょう