※本ページにはプロモーションが含まれています。
狭小住宅は駅チカや都心部などの好条件エリアに所在する物件が多いものの、実は不動産市場で売却するのが難しいという性質を備えています。これは、敷地面積の狭さや間取りの特殊性がネックになって、購入希望者が集まりにくいのが原因です。
ところが、転居や相続のタイミングで不必要になった狭小住宅をいつまでも所有し続けると、管理コストやさまざまな法的リスクに晒されかねません。つまり、「売りたいときに売れない」という現実問題をいかに克服するかが狭小住宅オーナーにとって喫緊の課題と言えるでしょう。
そこで、今回は、狭小物件・狭小地を売却する3つの方法について解説します。あわせて、狭小住宅売却時に意識するべきポイントや売り時を逃したときの危険性も紹介するので、さいごまでご一読ください。
目次
- 1 狭小住宅の売却を成功に導くポイント8つ
- 2 狭小住宅の売却方法3つ
- 3 狭小住宅の売却にまつわる注意点3つ
- 4 狭小住宅の売却は難しくて当たり前!実績豊富な不動産業者に処分方法を相談しよう
狭小住宅の売却を成功に導くポイント8つ
狭小住宅の処分を検討しているのなら、以下8つのコツを押さえて売却活動を進めましょう。
- 所有する狭小住宅のウィークポイントを正しく理解する
- リフォーム工事を実施して狭小住宅の魅力を高める
- 解体工事を実施して「狭小地」として売り出す
- 将来的な解体を想定して「古家付き土地」として売却する
- 狭小住宅の売り出し価格を比較的低額に設定する
- 内覧・内見対応などの販促活動に力を入れる
- 狭小住宅の強みを全面に押し出す
- どうしても狭小住宅の買主が見つからないなら売却以外の選択肢も模索する
1.狭小住宅が売れない理由を正しく理解する
狭小住宅に限らず、所有物件を中古不動産として売却するときには、売主自身が物件自体が抱えるネガティブ要素を適切に理解する必要があります。なぜなら、欠点が明確になった方が戦略的な売却活動が可能だからです。
そして、一般的に、狭小住宅は以下6つの”売却しにくい要素”を抱えていると言われています。
- 狭小住宅ならではの敷地面積・特殊な間取りが一般に受け入れられにくい
- 狭小住宅は売却活動のターゲット層を絞りにくい
- 狭小住宅は住宅ローン審査に通りにくいので現金一括でしか購入できない
- 狭小住宅は新築費用が割高でお得感が削がれる
- 狭小住宅は耐震性能に不安がある物件が多い
- 狭小住宅は近隣住民とのトラブルに巻き込まれる危険性が高い
売却希望の不動産にデメリットがあるときには、売主側の負担でデメリットを克服した状態で売りに出すか、デメリットを超えるメリットがある点を全面に押し出して売却活動に力を入れるかの二択です。
所有する狭小住宅の性質に応じた戦略的な売却活動を進めるためにも、物件所在地域の不動産市場に精通した仲介業者に相談することを強くおすすめします。
①狭小住宅は特殊な間取りで住みにくい
そもそも、狭小住宅とは15坪(50㎡)以下の敷地に建てられた建物のことを指すのが一般的です。一戸建て住宅の全国平均敷地面積が約130.2㎡(39.5坪)であるのと比較すると、かなり狭い土地に所在することが分かります(参照:2018年度 フラット35利用者調査 – 住宅金融支援機構)。
つまり、狭小住宅は限られた敷地内や不整形地(変形地)に生活できるように建設されているので、標準的な一戸建て住宅と比べると特殊な間取り・構造になっていることが多いということです。これでは、日常生活を送るうえで以下のようなデメリットを強いられる可能性が高いでしょう。
- 階段の傾斜が急で昇降しにくい
- 玄関・脱衣室・風呂場・トイレ・リビングなどが狭い
- 駐車場・駐輪場のスペースがない
- 部屋数・収納スペースが足りない
- 特に1階の日当たりが悪い
このような不便を強いられる狭小住宅は、せっかく購入しても住んでいる間に後悔やみじめな気持ちが募るばかりです。「数千万円をかけてマイホームを建てるなら、住宅地に所在する整形地を購入して快適な住環境を作りたい」と感じるのは当然でしょう。
したがって、「物件の住みやすさ」が重視される一般の不動産市場で人気を集めるのは難しいので、仲介業者経由で売却をする前に所有者側でリフォーム工事等を実施するか、現状のまま買取業者に引き取りを依頼するのが適切だと考えられます。
②狭小住宅は購入ターゲット層を絞りにくい
中古住宅を売却するときには購入者層を絞って販促活動に力を入れるものですが、狭小住宅は購買層を絞りにくいので売却活動の軸を定めにくいというデメリットを避けられません。
たとえば、都市部近郊で通学・通勤に適したエリアに所在する狭小住宅でも、部屋数が少ないとファミリー世帯からは敬遠されてしまいます。また、公共交通機関へのアクセスが良い狭小住宅でも、階段が使いにくいなどの不便を強いられる状況では老齢世帯の購買意欲を削ぐことになるでしょう。
このように、狭小住宅は現在の不動産市場動向とのミスマッチが課題となる可能性が高いので、円滑な売却活動を期待するなら、狭小住宅の物件取扱い数が多い不動産仲介業者に依頼するのが近道だと考えられます。
③狭小住宅は住宅ローンを組みにくい
購入者側の視点に立つと、狭小住宅は住宅ローン審査の要件を満たしにくいというデメリットが存在します。
そもそも、住宅ローンを組むには、金融機関に対して第一順位抵当権などの担保権を設定する必要があります。しかし、狭小住宅・狭小地には担保価値が存在しないと判断されるため、住宅ローン審査をクリアできません。
実際、住宅ローン商品のなかには敷地面積・延床面積の下限要件が課されていることが多いです(たとえば、フラット35を利用するには、一戸建て住宅なら床面積70㎡以上が要件となります)。
したがって、狭小住宅を売りに出すときには、現金一括で不動産を購入できるだけの経済的余力がある資産家だけをターゲットに絞るか、銀行やノンバンク系金融機関が融資に前向きになるように売主側で狭小住宅の資産価値を高める努力を凝らすべきでしょう。
④狭小住宅は建築コストが割高になりやすい
確かに、狭小住宅は「光熱費や固定資産税などのランニングコストが割安になる点」がメリットとして挙げられます。この点では、「すでに存在する狭小住宅にそのまま居住したい」という購買層の注目を集めることはできるでしょう。
しかし、その一方で、「狭小地を購入して新築住宅を立て直したい」「現存する狭小住宅に大規模リフォーム工事を実施したい」という購買層からは嫌われる傾向にあります。なぜなら、狭小地における新築工事・リフォーム工事の費用は通常よりも割高になる可能性が高いので、わざわざ狭い土地に高額費用を投下する意義を見出しにくいからです。
たとえば、狭小住宅で充分な生活空間を確保するには、建物を縦方向に拡張してスペースを作る必要があります。ところが、3階建て・中2階・地下室付きの住宅を建設するには特別な構造設計を要するばかりではなく、工事の工程数・設置する設備が増えざるを得ません。地盤改良工事の費用もかさむため、結果として、広い土地に新築物件を建てるよりも高額費用が発生することになります。
また、工期中も、隣接家屋に迷惑がかからないように作業を進めなければいけません。狭小住宅の建設工事では「特殊作業工賃」という名目で人件費がかさむことも少なくないので、割高にならざるを得ないでしょう。さらに、狭小住宅に接する道路が狭いと、重機搬入コストも余計に発生してしまいます。
特に、近年ではライフワークバランスを重視する傾向が強くなっているため、「都心に狭小住宅を建てるか、郊外に広い住宅を建てるか」の二択では後者が選ばれがちです。
したがって、効率的な売却活動を実現するには、「どうしてもそのエリアに所有物件が欲しい」という人にフォーカスするために、地域の市場動向に精通した仲介業者を厳選するべきだと考えられます。
⑤狭小住宅は耐震性に不安が残る
住宅用建物に対する安全性が重視される昨今、耐震性能に対する懸念が狭小住宅のデメリットとして挙げられます。
まず、狭小住宅が1981年以前に建築された場合、旧耐震基準下の建物なので、新耐震基準に適合していないことがあります。これでは、東日本大震災相当の大地震に見舞われたときの倒壊リスクが高まるでしょう。
次に、新耐震基準を満たしている狭小住宅でも、構造上の問題で物件強度に不安が残る場合が多いです。たとえば、3階建ての狭小住宅はどうしても壁面強度が弱くなります。
したがって、狭小住宅を売却するときには、基礎の補修・壁や接合部の補強・土台や柱下の改善などの耐震工事を実施したり、耐震基準適合証明書を取得して購入希望者に安全性をアピールしたりするのが効果的でしょう。
⑥狭小住宅は近隣住民とのトラブルリスクが高い
狭小住宅はどうしても隣接地との距離が近いので、さまざまなトラブルに巻き込まれるリスクが存在します。
たとえば、生活音や子どもの泣き声などの騒音トラブル、煙草や料理の臭いトラブル、室内が簡単に見えてしまうプライバシー問題などが挙げられます。近隣とのトラブルリスクが高い狭小住宅を好き好んで購入したいと考える人は少ないでしょう。
したがって、狭小住宅を売却するときには、防音工事や窓・ベランダの位置に工夫を凝らすなどのケアをするべきだと考えらえます。
2.狭小住宅を売却する前にリフォーム工事を実施する
狭小住宅の資産価値を高めて購買層からの注目を集めたいのなら、リフォーム工事・修繕工事を実施して狭小住宅のウィークポイントを改善するのがおすすめです。
たとえば、内壁を取り除いて使いにくい間取り問題を解消する、水回りや排水管工事をして設備面での充実を目指す、外壁工事で安全性を高めるなどの方法が考えられます。
ただし、狭小住宅を売却する場合、リフォーム工事に力を入れ過ぎると費用倒れになるリスクがある点に注意が必要です。たとえば、気合を入れてフルリフォームをすると総額数百万円~1,000万円以上のコストが発生しますが、狭小住宅・狭小地を売却しても投下費用分さえ回収できない可能性が高いです。
したがって、狭小住宅にリフォーム工事等を実施する場合には、費用対効果について慎重に判断する必要があると考えられます。施工後の売却想定額などを含めて信頼できる不動産仲介業者の担当者に相談しましょう。
3.狭小住宅を解体して土地のみで売却する
狭小住宅自体の劣化が激しかったり、築古物件で資産価値がゼロの状態だったりするのなら、建物を解体して土地だけで売却するのも選択肢のひとつです。
狭小地として売却すれば、「新築戸建て用の土地を探している」「飲食店や駐輪場などの事業用の土地を購入したい」などの多様な購買層ニーズにも対応できるでしょう。
ただし、狭小地として売却するには、売主側で狭小住宅の解体費用を負担しなければいけない点に注意が必要です。幸い、狭小住宅は敷地面積が狭いので解体費用はある程度抑えることができますが、最低でも200万円~300万円の支出は避けられません(さらに、工事車両の進入や廃材等の搬出が難しいので、別途追加費用を請求される可能性もあります)。
したがって、解体工事後に狭小地として売却をするのなら、解体前に狭小地のみの売価予定額を見積もっておきましょう。
4.狭小住宅を「古家付き土地」として廉価で売却する
「狭小住宅の資産価値はゼロに近いが、解体工事費用を負担する余裕もない」という状況なら、いわゆる「古家付き土地」として売却するのも選択肢のひとつです。
古家付き土地とは、経済的価値のない古家が建った状態(現況)の土地のことで、購入後の古家の処分方法は買主側が自由に決められます。つまり、売主側は解体費用を負担しなくても大丈夫ですし、さまざまな動機で不動産を探している幅広い顧客層に働きかけることもできるということです。
ただし、古家付き土地として売却する場合、買主側が将来的に負担する解体費用やリフォーム工事費用などを考慮して、ある程度ディスカウントされた売値になることが多いです。
したがって、狭小住宅を古家付き土地として売却するのなら、売り出すまでのコスト負担を節約できる反面、売価としての収入はかなり廉価になると覚悟しておきましょう。
5.狭小住宅の高値成約にこだわらずに売り出し価格を低く設定する
狭小住宅の売却活動をスムーズに完結させたいなら、売り出し価格を低く設定するのがおすすめです。なぜなら、ここまで紹介したように、狭小住宅はそれ自体数々の”売れにくい要素”を備えているため、市場相場やそれ以上の価格設定をすると買主が現れない可能性が高いからです。
したがって、狭小住宅の処分方法を検討するなら、最初から高値成約に夢を見過ぎないのが肝心だと考えられます。以下3点のポイントに留意すれば売却時期の長期化を防げるので、上手に狭小住宅を手放す時期の折り合いをつけましょう。
6.狭小住宅の営業活動・内覧対応に力を入れる
狭小住宅のような売りにくい不動産を売却するには、できるだけ問い合わせの数が増えるように販促活動に力を入れつつ、実際の問い合わせが成約に繋がるように可能な限り丁寧な内覧対応を心掛けるべきでしょう。
販売活動に力を入れる仲介業者なら電話営業や広告宣伝などを主導してくれますが、狭小住宅の所有者自身が協力できることも少なくないので、成約に向けてしっかり力添えしてください。
- 広告掲載用のPR写真は明るくて室内が広く映るものを選ぶ
- 内見時には室内の清掃や明るい照明で狭小住宅の閉塞感を払拭する
- ホームステージングサービスを利用して見栄えを良くする
- 内覧対応時は購入希望者からの質問に丁寧な口調で答える
狭小住宅の売却活動時に起こりがちな失敗例が、「問い合わせは多いのに成約には繋がらない」というものです。あまりに出来の良すぎる宣材写真を掲載していると、購入希望者が内覧時に失望してしまいます。
したがって、宣伝用の写真やPR文章は”嘘のない範囲”で魅力を最大化し、内覧対応時のホームステージングや接客対応に全力投球して購買意欲を高めましょう。
7.物件自体の強みをアピールする
不動産売却時には物件の強みを全面に押し出して集客を目指すのも有効な手段です。
物件性質上デメリット要素を多分に含む狭小住宅・狭小地ですが、以下のような「一般不動産市場で好意的に受け入れられる要素」を兼ね備えていることが多いので、販促活動で積極的にアピールしましょう。
- 駅近や地下鉄などへのアクセス良好
- 周辺に大規模商業施設やスーパーが揃っているので日常生活が便利
- 学校や塾から近いので子育て環境に適している
- 知名度が高いエリアに所在している
- 固定資産税・都市計画税などの維持費が安い
- 賑やかなエリアなので夜でも治安面で安心できる
- 家族団らんの環境を作りやすい
8.狭小住宅が売れないなら売却以外の選択肢も検討する
「仲介業者に依頼しても購入希望者が見つからない」「買取業者に安値で売却するのは嫌だ」という場合には、狭小住宅・狭小地を収益化する方法も臨機応変にご検討ください。
以下のように、15坪程度の狭い土地でもさまざまな活用方法が考えられます。
- 駐車場経営(月極・コインパーキング)
- 駐輪場・バイクパーキング(ロック式・ゲート式など)
- 飲食店の出店用レンタルスペースとして賃貸(キッチンカーなど)
- 自動販売機・コインロッカー・証明写真機などを設置
- コインランドリーやカフェを経営
- 小規模アパートや賃貸物件として転用
- 太陽光発電パネルを設置
- 野立て看板(ロードサイン)を設置
狭小住宅・狭小地も上手に有効活用すれば定期的な収入源になります。初期費用や経営余力などを総合的に考慮して、無理のない範囲で売却以外の道も選択肢に入れましょう。
狭小住宅の売却方法3つ
狭小地や狭小住宅の売却方法は以下3種類です。
- 隣家オーナーに狭小物件を買い取ってもらう
- 不動産仲介業者に依頼をして狭小住宅の高値成約を目指す
- 不動産買取業者に依頼をして狭小住宅を即時に引き取ってもらう
狭小住宅にかかわらず、使い道のない不動産は所有を続けるだけでリスクを伴うものです。
所有する狭小住宅の状況に応じて、できるだけ早期に適切な売却方法をご検討ください。
1.隣接地の所有者に対して狭小住宅の買取交渉する
狭小住宅の売却を検討しているのなら、まずは隣人に買取を打診してみましょう。
後述するように、狭小住宅はどうしても「不動産仲介業者に依頼しても買主が見つかる確証は得られない」「不動産買取業者に相談しても高額買取は期待できない」という課題に直面せざるを得ません。ところが、隣接地オーナーに買取打診を受け入れてもらえれば、「購入者を見つけにくい」「不相当なディスカウントを強いられない」という不利益を回避できるでしょう。
そもそも以下の理由から「隣の土地は借金してでも買え」と言われるため、隣接地の所有者も狭小住宅の買取に前向きな姿勢を見せてくれるはずです。
- 使用状況や経緯を知っているので想定外のトラブルを回避しやすい
- 所有する敷地面積が広くなるので好条件の家屋を建てやすくなる
- 土地の坪単価が上がるので将来的に売却するときに有利な条件を提示しやすくなる
- アパート経営などの収益化の選択肢が広がる
- 不動産の売買手続きがスムーズに進むことが多い
このように、狭小住宅を購入することは隣家住民にとってメリットが大きいので、仲介業者経由で購入希望者を募るよりも高値での成約を期待しやすいでしょう。
したがって、狭小住宅の処分を検討しているのなら、不動産仲介業者に話をもちかけるよりも先んじて隣接地オーナーに話を持ち掛けるべきだと考えられます。
2.不動産仲介業者に狭小住宅の売却相談をする
確かに、狭小住宅はさまざまな課題を抱える不動産ですが、一般の不動産市場で購入者を見つけること自体が禁止されているわけではありません。
そこで、「現在所有中の狭小住宅をできるだけ高値で売却したい」と希望するなら、不動産仲介業者に売却相談を持ち掛けることをおすすめします。
不動産仲介業者とは、不動産売買・賃貸取引において、売主(貸主)と買主(借主)との間に立って、売買契約(賃貸借契約)締結に向けてさまざまな仲介業務を取り計らってくれる専門業者のことです。狭小住宅の販促・広告・営業活動だけではなく、契約条件の調整・契約書の作成・重要事項説明・狭小物件の引渡しに至るまで、狭小住宅の売却活動全般をサポートしてくれます。
不動産仲介業者に狭小住宅売却を依頼するなら媒介契約の種類に注意しよう
狭小住宅の売却を不動産仲介業者に依頼すれば一般の不動産市場から購入希望者を見つけられるので高値成約を目指しやすいです。
その一方で、狭小住宅にはさまざまなデメリットポイントが存在するという点を忘れてはいけません。つまり、狭小住宅は簡単に売却できるものではないので、所有者側が「少しでも住宅物件の成約可能性を高めるための工夫」をしなければいけないということです。その代表例として、仲介契約(媒介契約)の内容が挙げられます。
不動産仲介業者に狭小住宅の売却を依頼するときには、売主と仲介業者の間で「仲介契約(媒介契約)」を締結しなければいけません。以下3種類の媒介契約からいずれを選択するかによって、狭小住宅の成約可能性が変わってきます。
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
- 一般媒介契約
専属専任媒介契約は狭小物件の売却活動を不動産仲介業者1社に委ねる
専属専任媒介契約とは、不動産仲介業者1社に不動産の売却活動を完全依存する契約類型です。
他の不動産仲介業者と並行して狭小住宅の売却依頼を出すことはできませんし、所有者自身で購入希望者を見つけることも禁止されています。この点だけを捉えると、1社だけの営業努力に委ねる専属専任媒介契約は営業活動の範囲が限定されるので、狭小住宅の成約可能性を狭めるようにも思えるかもしれません。
実は、専属専任媒介契約は仲介業者側がもっとも”やる気”を出してくれる契約類型です。なぜなら、依頼を受けた物件の売買契約が成立すれば確実に仲介手数料を受け取ることができるため、営業活動・広告活動などに投じたコストを確実に回収できるからです。
したがって、「不動産仲介業者に狭小住宅の売却活動を精一杯頑張ってもらいたい」「できるだけ好条件で狭小物件を購入してくれる人を見つけて欲しい」と希望するなら、専属専任媒介契約を締結して仲介業者に一任するのが適切だと考えられます。
専任媒介契約は所有者自身で狭小物件の売却先を見つけられる
専任媒介契約とは、依頼できる不動産仲介業者は1社に限定されるものの、不動産所有者自身で購入希望者を募って直接取引することは妨げられない契約類型のことです。「直接取引の可否」という点において専属専任媒介契約とは異なります。
たとえば、親族や隣接地オーナーのように狭小住宅の引き取り先候補として具体的な目星がついている場合や、空き家バンクに登録して売主自身で購入希望者を厳選したい場合などもあるはずです。
したがって、狭小住宅の所有者本人に不動産取引の知見があるのなら専任媒介契約を選択して直接取引の余地を残しておくのも賢い方法でしょう。
一般媒介契約は狭小物件の売却活動を複数の不動産仲介業者に依頼できる
一般媒介契約とは、複数の不動産仲介業者と同時に契約可能で、売主自身による直接取引も禁止されない契約類型のことです。専属専任媒介契約・専任媒介契約とは異なり、複数の仲介業者の営業活動効果を同時に享受できるので、一般不動産市場に対するアプローチ量が多い点が特徴として挙げられます。
ただし、不動産仲介業者側から見たときに、一般媒介契約は”割りに合わない契約”である点に注意が必要です。というのも、どれだけ当該不動産の販促活動に力を入れたとしても他社経由で購入希望者から問い合わせがあるリスクを排除できないため、投下コストを回収できない可能性があるです。つまり、狭小住宅のような売却しにくい不動産は仲介業者の尽力が欠かせないはずですが、一般媒介契約を選択してしまうと仲介業者の積極的な力添えを期待しにくいので、結果として狭小住宅の成約可能性が下がってしまうということです。
したがって、余程の事情がない限りは、狭小住宅の売却で一般媒介契約を選択するのは不適切だと考えられます。所有する狭小住宅の売却活動に向いている仲介業者を厳選したうえで、専属専任媒介契約・専任媒介契約のいずれかを選択してもっとも信頼できる1社の営業努力に賭けるべきでしょう。
狭小住宅の売却依頼をする仲介業者は不動産一括査定サイトで見つけよう
狭小住宅を不動産仲介業者経由で売却するなら専属専任媒介契約・専任媒介契約が適切です。つまり、一般不動産市場から狭小住宅の購入希望者を見つけたいなら、狭小住宅の販促活動を任せる不動産仲介業者選びが運命を分けるということを意味します。
ところが、不動産取引に慣れていない素人には、自分が所有する狭小住宅の売却に向いた仲介業者を見つけるのが簡単ではありません。チラシやネット広告だけを頼りにすると、悪質な不動産業者に騙されて満足のいく取引を実現できないおそれも生じます。
そこで、狭小住宅を適切な条件で売却したいなら、不動産一括査定サイトを利用して相性の良い仲介業者を探すのがおすすめです。不動産一括査定サイトを活用すれば、狭小物件の所在エリアの不動産事情に精通した実績豊富な仲介業者を無料で見つけられます。また、複数業者の机上査定・訪問査定を見比べることもできるので、出来るだけ好条件で売りに出してくれる仲介業者も選別しやすいでしょう。
24時間無料でインターネットから申込み可能なので、以下のリンク先からお好みの不動産一括査定サイトをご利用ください。
【注意!】不動産仲介業者経由で狭小住宅を売却すると仲介手数料が発生する
不動産仲介業者経由で狭小物件を売却すると買取業者に依頼するよりも高値での成約が期待できますが、仲介手数料の負担が発生する点に注意しなければいけません。
仲介手数料とは、不動産売買契約がまとまったときに仲介業者に支払う成功報酬のことです。不動産仲介業者ごとに仲介手数料の金額は異なりますが、宅地建物取引業法第46条及び国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」第2条に基づき、以下の範囲で仲介手数料を算定するという運用が採られています。
狭小住宅の売値・買値 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下 | 成約価格の5%(+ 消費税) |
200万円超400万円以下 | 成約価格の4%(+ 消費税) |
400万円超 | 成約価格の3%(+ 消費税) |
これに対して、不動産買取業者に引き取りを依頼した場合には、仲介手数料の負担は発生しません。
したがって、高値売却が難しい狭小住宅の場合には、時間と労力をかけて不動産仲介業者経由で売りに出しても、不動産買取業者の買値とほとんど変わらない手取り額しか残らない危険性があると考えられます。売却活動に余計なコストを投じたくない人は、事前に買取業者の査定額も確認しておくのが賢いでしょう。
3.訳あり物件買取業者に狭小住宅の引き取りを相談する
「不動産仲介業者に依頼しても狭小住宅の買主が見つからない」「買値・引き取り条件はこだわらないから今すぐに狭小住宅を手放したい」という状況なら、訳あり物件買取業者に相談するのがおすすめです。
訳あり物件買取業者は、不動産業者自身が売買契約の当事者として土地・建物を買い取ってくれます。狭小物件のような敷地面積に問題がある物件だけではなく、シロアリ被害などの”隠れた瑕疵”を抱えている建物・再建築不可物件・共有持分関係が複雑な物件・敷地の境界線が不明確な物件・いわくつき物件・ゴミ屋敷など、どのようなトラブルを抱えた不動産でも現状のまま今すぐに引き取ってくれます。
つまり、デメリット込みで買い取ってもらえる分だけ査定額は低額(市場相場の数割安)になりますが、狭小住宅を所有する負担やストレスから今すぐに解放されるという「現金化できない大きなメリット」を享受できるということです。
狭小住宅はどれだけ工夫を凝らしても恵まれた条件で売却するのは簡単ではありません。それならば、「狭小住宅を所有し続けるリスク回避」を最優先して、最初から訳あり物件買取業者に相談するのも適切な選択でしょう。
狭小住宅の売却にまつわる注意点3つ
「敷地面積の狭さ」という懸念が存在する狭小住宅ですが、不動産という資産価値を有する財産であるのは間違いありません。せっかく貴重な財産を売却するのなら、「処分条件を妥協したくない」と感じるのも当然でしょう。
しかし、狭小住宅の売却条件を高望みすると”売り時”を逃すおそれがありますし、売却時期が遅れると、以下3点のリスクに晒される可能性が生じます。
1.狭小住宅の売却時期が遅れるほど処分の選択肢・処分条件は厳しくなる
余程の特殊事情が存在しない限り、建物は築年数が古くなるほど資産価値が下落します。つまり、狭小住宅を売りに出すのなら「今」がもっとも好条件での成約が期待できる状況ですし、売却時期が後になるほど売却条件は売主にとって不利になるということです。
そもそも、不動産は使途が不明瞭な宙ぶらりんの状態がもっともコストパフォーマンスが悪いです。手放すと決めたのなら早期に売却処分等を検討するべきですし、所有を続けるなら有効活用の道を模索した方が大きなメリットを得られるでしょう。
したがって、実現可能性のない夢のような売却条件に固執して売却時期を逃すのは厳禁だと考えられます。

建物は構造によって法定耐用年数が定められており、軽量鉄骨造住宅なら19年、木造住宅なら22年、重量鉄骨造住宅なら34年、鉄筋コンクリート造なら47年で資産価値はゼロになります。したがって、元々売れにくい要素を有する狭小住宅の場合には、最初から売り出し希望価格をある程度ディスカウントした状態で、現実的に買い手が見つかるラインを攻めるべきでしょう。
2.狭小住宅の売却時期が遅れると管理コスト・所有者責任が重くなる
狭小住宅の売却先が決まらない状態が続くと、所有者はさまざまな負担を強いられます。
まず挙げられるのが、狭小住宅を維持するための費用負担です。仮に狭小住宅に住まないとしても、毎年固定資産税・都市計画税の負担が発生します。さらに、公共料金の基本料金・火災保険などの保険料・定期的なメンテナンス費用(庭木の剪定や壁などの修繕など)も避けられません。不動産の状況次第ですが、狭小住宅を維持するだけで毎年数十万円の余計な出費を強いられるでしょう。
次に、「処分方法が決まらない狭小住宅を所有している」という心理的な負担にも注意が必要です。「いつ売れるか分からない」「購入希望者が現れたらいつでも売却できるように準備しなければ分からない」という不安定な状態は、所有者を億劫な気持ちに追いやるでしょう。
さらに、狭小住宅が原因で事故・事件が発生した場合には、物件の所有者として民事責任・刑事責任を問われる危険性もあります。たとえば、管理が不十分で外壁が倒壊し、近隣住民に何かしらの被害が生じた場合には、数百万円以上の損害賠償責任をも追及され得るでしょう。
これらの負担や不利益から逃れるためには、出来るだけ早いタイミングで狭小住宅の所有権を手放すしかありません。高望みした売買条件を追い求めている間にもさまざまな負担は発生し続けるので、狭小住宅の売却を希望するのなら、「プラスを最大化する」だけではなく「マイナスを最小化する」という視点も忘れないようにしてください。
3.狭小住宅が売れない状態が続くと「特定空き家」に指定されかねない
売却先が見つからない狭小住宅を放置し続けると、「特定空き家」に指定されて行政手続きによる不利益を被る危険性があります。
特定空き家とは「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)」に規定される概念のことです。物件の管理状況が悪化して倒壊リスクが高まったり、ゴミ屋敷状態で周辺住民に迷惑がかかったりしている場合に、所有者には以下のペナルティが科されます。
特定空き家に指定されると①~⑤の負担に晒されるということは、狭小住宅の所有者であり続ける限りは「特定空き家に指定されないための管理努力を強いられる」ということを意味します。これでは、使い道のない狭小住宅への投下コストが日々増加するばかりです。
したがって、居住予定のない狭小住宅は可能な限り早期に売却処分等を検討して所有者責任を問われない状況を作り出すべきでしょう。
参照:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省HP
狭小住宅の売却は難しくて当たり前!実績豊富な不動産業者に処分方法を相談しよう
狭小住宅でも仲介業者経由で売却するのは不可能ではありませんが、不動産の性質上、どうしても好条件での成約は期待しにくいです。高値での売却に固執していると、売り時を逃してトータルで見ると損をすることにもなりかねません。
したがって、狭小住宅の売却先を検討するときには、最初の段階から、訳あり物件買取業者への買取依頼や仲介業者が提供している買取保証サービスを視野に入れるのが現実的だと考えられます。
不動産取引の成功パターンは「高額売却」だけではありません。「早期処分」によって得られるメリットはお金に換算できない恩恵をもたらしてくれるので、狭小住宅を手放すスピード感も重視しましょう。
狭小住宅の売却を不動産仲介業者に依頼した場合、「近隣住民に売りに出していることを知られたくない」というオーダーがない限り、ほとんどの営業担当者は隣接地の所有者に買取打診の話をもちかけます。仲介業者を経由して隣家所有者に売却が決まると仲介手数料分だけ損をするので、基本的には当事者間で話をまとめた方がメリットは大きいでしょう(ただし、司法書士や弁護士に登記手続き関係の依頼をすると別途費用が発生する点にご注意ください)。