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「墓地の近くの家でも普通に売れるか不安」「親が亡くなって相続で田んぼを所有することになったが、隣が墓地だと安くで買い叩かれそう」など、所有物件の近隣に墓地が所在することが懸念材料となって売却活動に不安があるという人は少なくないでしょう。
確かに、墓地の近くに住みたくないと感じるのは人として普通の感情です。結果として、不動産市場で土地・建物・戸建て住宅・マンションなど自体の価値が正当に評価されず、まるで訳あり物件かのような扱いを受けるケースも少なくありません。
ただ、墓地の近くの家でも売却することは可能です。また、売却交渉において「近くに墓地があること」のメリットをしっかりとアピールできれば、類似物件と変わらない価格での成約を実現できる場合もあるでしょう。
そこで、今回は、墓地の近くの家を売却する際の注意点・交渉を有利に進める材料について紹介します。あわせて、墓地の近くの家がなかなか売れないときに不動産買取業者に依頼をするメリットについても解説するので、最後までご一読ください。
目次
墓地の近くの家を売却するときの注意点は3つ
墓地の近くの家を売却する際には、いくつかの注意点を踏まえて売却活動をする必要があります。
「墓地の近く、というだけで物件自体には何の問題もないのだから、何も気にせず普通の不動産売却と同じように手続きを進めれば良いのでは?」と考える人もいるでしょう。ただ、一般的に「不動産がどのような環境のなかに位置しているのか」という点は不動産売買で重視されるもの。「墓地の近くに所在している」というポイントは不動産自体が抱える性質である、と真摯に捉えるのが無難でしょう。
したがって、墓地の近くの家を売却する際には、次の3つの注意点を踏まえて手続きを進めることをおすすめします。
- 告知義務を果たすのが無難
- 希望価格での成約にこだわり過ぎない
- 不動産会社に丁寧に事情を伝えておく
それでは、墓地の近くの家を売却するときの注意点について、それぞれ具体的に見ていきましょう。
墓地の近くの家を売却する注意点1:告知義務を果たすのが無難
墓地の近くの家を売却する際の1つ目の注意点は、告知義務についてです。不動産の売却活動をする際には、不動産市場に対して、そして、購入希望者に対して、「当該物件は墓地の近くに所在している」ということを事前に伝えるようにしておきましょう。
不動産売買における告知義務とは、土地・建物の売買契約・賃貸借契約を締結する際には、契約条件を左右するような重要な要素・契約を締結するか否かの判断に影響を及ぼす事情については契約締結前に買い手・借り手に伝えなければいけない、という売主・貸主に課された義務のことです(宅地建物取引業法第47条・民法上の”情報提供義務”の一種)。
これから売買契約・賃貸借契約を締結する予定の物件について適切な情報を得られない、売主・貸主側に情報を隠されてしまったとなると、買主・借主が正しい情報を前提に契約締結の判断・契約条件の交渉をできなくなるでしょう。つまり、告知義務は買主・借主側の意思決定の機会を保護するために設定されているものだと考えられます。
「墓地の近くの家であること」を告知しなければ契約不適合責任を追及される
義務を課されているということは、義務の履行を怠ったときにペナルティが発生すること。不動産売買における告知義務の不履行によって契約締結後に問題が発覚した場合には、売主側が”契約不適合責任(民法改正前の”瑕疵担保責任”に該当)”を追及されることになります(民法第566条)。
たとえば、「墓地の近くの家であることを売主側が明示してくれなかったが、成約後に裏庭に近接した小さい墓地があることが判明した。墓地の近くの物件なんて気味が悪いので、最初から知っていれば契約しなかったのに。」と後からトラブルになったとき、契約不適合責任を免れられません。
告知義務違反が原因で契約不適合責任が問われるとなると、次のような法的措置をとられることになります。
- 履行の追完請求
- 代金減額請求
- 損害賠償請求
- 契約の解除
「墓地の近くの家であることを教えてくれなかったから心が傷ついた。損害賠償してください。」「墓地の近くの家だと分かっていたらこの値段で購入しなかった。減額分を返済してください。」「墓地が見えないように庭に高い壁を作りたい。施工費用を支払ってください。」「墓地の近くの家だと知っていれば契約しなかった。契約を解除します。」というように後から主張されると、告知義務を果たさなかった売主が拒絶するのは難しいでしょう。場合によっては、成約価額以上の損害賠償請求をされることにもなりかねません。
したがって、墓地の近くの家であることについて告知義務を果たすことはリスクヘッジとして有効な手段だと考えられます。
「墓地の近くの家」であることは告知義務に含まれるのか
「不動産売買では売主側は告知義務を遵守しなければいけない」というのは法的ルール。かならず守らなければいけませんし、守らなかった場合には上述のようなペナルティを課されることになります。
ただ、墓地の近くの家を売却する際には、「墓地と近接していること」が告知義務の対象になるのか否かが問題となる点にも留意しなければいけません。なぜなら、どこまでの内容が告知義務に含まれるのか、何を伝えれば告知義務を果たしたと認定されるかについて、法律上の決まりは存在しないからです。
そこで目安となるのが、「重要事項説明」。重要事項説明とは、不動産売買・賃貸などの取引の際には、一定範囲の重要事項について買主・借主側に伝えなければいけないというルールのこと。宅地建物取引業法第35条において重要事項の具体例が列挙されていますが、これと類似する内容(一般的に買主・借主側が「知りたい」と考えるもの)については”重要事項”として説明することが推奨されるというのが不動産業界の共通認識です。
そして、次のような「嫌悪施設=心理的瑕疵要因・環境的瑕疵要因」が売却予定物件の近隣に所在する場合には、重要事項説明として告知義務を果たすべきだと考えられます。
- 嫌悪施設の具体例1:不動産の品格を下げるような施設
- 風俗店・パチンコ店・ラブホテル・暴力団事務所など。治安の悪化を招くような施設は幅広く含まれ得る。
- 嫌悪施設の具体例2:公害発生施設
- 騒音・振動・大気汚染・土壌汚染・悪臭・地盤沈下・粉塵・煤煙などの公害・健康被害を生じさせるような施設。たとえば、工場・ごみ焼却場・下水道処理場・火葬場・鉄道・高速道路・幹線道路・駐車場・飛行場・駅・学校・イベント会場・大きな病院・幼稚園・保育園・小学校・中学校・消防署や警察署(サイレンの音)・航空機のルート上の物件など。
- 嫌悪施設の具体例3:不快感・嫌悪感を与える施設
- 購入者側が不快感などのネガティブな印象を抱く施設のこと。原子力関連施設・廃棄物処理場・下水道処理場・火葬場・軍事基地・刑務所・拘置所・ガソリンスタンド・火薬類貯蔵施設・墓地・葬儀場・精神科病院・危険物取扱施設など。
ここから分かるように、嫌悪施設として告知義務の対象に含まれるか否かは、主観的な判断に影響されるということです。買主の性格・家族構成・購入予定物件と嫌悪施設の物理的距離などによって、告知義務の対象になるケースもあれば含まれないパターンもあります。
たとえば、単身でほとんど日中は外出しているような人にとって、近隣に小学校・中学校が所在することはまったく嫌悪施設性を感じることはないでしょう。学校からの騒音が聞こえてくる時間帯には家に居ないことがほとんどだからです。これに対して、定年退職をしていつも家にいるという老夫婦にとっては、昼間の学校からの音は騒音として不快感の対象になる可能性もあります(もちろん、まったく気にしないという人もいるはず)。
また、たとえば購入予定物件の真隣に広大な墓地が所在しているという場合と、大きな道路を挟んだ斜め向かいに小さな墓地があるという場合を比べてみても、購入者によっては感じ方が変わってくることもあるでしょう。「目視できない範囲でも墓地が近くにあるのは嫌だ」と感じる人もいれば、「墓地が近くでもまったく気にならない」という人もいるはずです。
このように、人によって嫌悪施設と感じるか否かは異なるもの。大切なのは、実際に墓地の近くにある家の購入希望者が、「墓地が近くに所在すること」をどのように判断するかです。
もちろん、気にしない人もいるでしょう。しかし、かなりの抵抗感を抱く可能性もあります。それならば、「購入者が墓地に対してネガティブな印象を抱く万が一の場合に備えて事前に告知義務を果たしておくこと」が売主側のリスク回避策として最適な手段です。
墓地の近くの家を売却する注意点2:希望価格での成約にこだわり過ぎない
墓地の近くの家を売却する際の2つ目の注意点は、希望価格での成約にこだわり過ぎないという点です。
上述のように、墓地の近くに物件が所在しているということは、告知義務の対象になり得るということ。何の欠点も抱えていない物件に比べると、どうしても不動産市場から敬遠される要素があるということです。
つまり、高値成約にこだわり過ぎると、いつまでも購入希望者が現れないということにもなりかねません。実際、墓地の近くの家のように、環境的瑕疵・心理的瑕疵を抱えた物件の市場価格は2割~3割減になるとも言われています。
したがって、購入希望者が現れた場合には無理に売主側の希望を押し付けるのではなく、墓地の近くの家には次のようなデメリットがあるという現実を受け入れたうえで、できるだけ柔軟に交渉を進めるのがおすすめです。
- 鐘の音がうるさい
- お盆・お彼岸などの繁忙期には人の出入りが激しい
- お線香のにおいが漂う
- お供え物目当てのカラス・動物による獣害
- 心霊現象が発生する可能性がある
- 風水・占いでは縁起が悪いとされる
それでは、墓地の近くの家が抱えるデメリットについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。
墓地の近くの家のデメリット1:鐘の音がうるさい
墓地の近くの家の1つ目のデメリットは、鐘の音がうるさいという点です。
特に、墓地が寺院の敷地内にある場合には、お墓参りの人だけではなく参拝者が頻繁に訪れることも。お寺によっては早朝夜間の参拝を禁止しているケースもありますが、いつ騒音被害に遭ってもおかしくありません。
場合によっては、睡眠障害を引き起こすリスクも否定できないでしょう。
墓地の近くの家のデメリット2:お盆・お彼岸などの繁忙期には人の出入りが激しい
墓地の近くの家の2つ目のデメリットは、繁忙期にたくさんの人が出入りするという点です。
人がたくさん訪れるということは、それだけ賑やかになるということ。特に、大規模な霊園の近くでは、騒音被害だけではなく、路上駐車などの迷惑行為を受ける可能性もあります。
普段閑静なエリア・地域でも、お盆・お彼岸のタイミングでは人の話し声・喧騒や道行く人からの視線が気になることもあるでしょう。周囲の人の気配が苦手な方にとっては、墓地の近くの家は敬遠対象にならざるを得ません。
墓地の近くの家のデメリット3:お線香のにおいが漂う
墓地の近くの家の3つ目のデメリットは、お線香のにおいが漂うという点です。
たしかに、自分の家に仏壇を置く人、お線香のにおいは気にならないという人にとってはデメリットではありません。
ただ、最近ではいろいろな種類の線香が販売されているので、いろいろなにおいが漂ってくるのが苦手だという人にとっては、場合によってはノイローゼなどの健康被害のリスクさえ生じかねないでしょう。
墓地の近くの家のデメリット4:お供え物目当てのカラス・動物による獣害
墓地の近くの家の4つ目のデメリットは、獣害のリスクです。
参拝する人の多くは、お供え物を持参するのが一般的。もちろん、管理人が常駐しているお墓なら、こまめにお供え物を下げるなど、適切な管理を行ってくれます。
しかし、墓地の管理体制が不十分な状態だと、カラス・野良猫・野良犬などがお供え物目当てでやってくることに。お供え物を庭で食べたり、糞尿の被害を受けたりする可能性があります。
墓地の近くの家のデメリット5:心霊現象が発生する可能性がある
墓地の近くの家の5つ目のデメリットは、心霊現象が発生する可能性があるという点です。
科学的に証明できる類の事象ではありませんが、墓地近くでは火の玉・ポルターガイスト・金縛りなどの怪奇現象が生じると噂になることも。実際に、墓地の近くで心霊体験をしたという体験談も少なくありません。夜間は真っ暗で人気がないので、「何となく怖そう」という印象をもつ人もいるでしょう。
心霊現象が発生する場合には、いわくつき物件として告知義務の対象になる可能性が高いです。売買手続き中に買主側に伝える必要があるため、成約までには時間がかかることになるでしょう。
墓地の近くの家のデメリット6:風水・占いでは縁起が悪いとされる
墓地の近くの家の6つ目のデメリットは、風水・占いでは縁起が悪いとされる点です。
不動産という大きな買い物をする際には、風水や占いなどで土地・建物の運勢を占ってもらう人は少なくありません。すると、一般的に「死」というイメージと直結する墓地の近くの家は、どうしても「忌避すべき物件」と扱われてしまいます。
運気が下がる・自律神経が乱れる・人間関係が上手くいかなくなる・縁起の悪いことが起こるなどと指摘される物件に対して抵抗感を抱く人は少なくない以上、買主を見つけるのは簡単ではないでしょう。

風水や占いをまったく気にしないという人もいますし、墓地の方位や立地条件などを総合的に考慮した結果、当該物件は風水的にはまったく問題がないと判断される場合もあります。占いという心理的な要因が強く作用する買主側の主張に対して真正面から交渉しても埒が明かないので、売主側としては風水的なデメリットポイントには向きあわず、別のデメリットポイントの克服・物件の長所のアピールに尽力するべきでしょう。
墓地の近くの家を売却する注意点3:不動産会社に対して丁寧に事情を伝えておく
墓地の近くの家を売却する際の3つ目の注意点は、不動産会社に対して丁寧に事情を伝えておくというものです。
不動産を売却するとき、多くの人は不動産仲介業者に依頼をして売却活動を進めるのが一般的。つまり、仲介業者の営業担当者は依頼者のパートナーだということです。効率的に営業活動・売却活動を進めてもらうために、かならず「墓地の近くであること」「居住していて実際に体験したトラブルの内容」などを伝えておきましょう。
また、不動産仲介業者に情報を提供することは、告知義務の観点からも重要であることを見逃してはいけません。
実は、契約不適合責任を課されているのは売主側だけではなく、依頼を受けた不動産仲介業者も同様(宅地建物取引業法第47条)。つまり、事前に適切な情報を買主に伝えることができなければ、不動産仲介業者も契約不適合責任を追及されるリスクがあるということです。
そして、ここでの問題は、「売主側が不動産仲介業者への情報提供を怠った場合・意図的に隠蔽した場合には、売主が不動産仲介業者から法的責任を追及される可能性が生じる」という点。不動産仲介業者が買主との関係で負担した賠償額を、売主に対して直接請求することも否定できません。
結果として売主側が満額の経済的な負担を強いられるかは別問題ですが、不動産仲介業者との法的トラブルに発展すると、その対応のためにかなりの時間・労力を割く必要が生じます。円滑に取引を満了するためにも、かならず不動産仲介業者にはすべての情報を提供するようにしてください。
墓地の近くの家の売却を成功させるポイントは3つ
墓地の近くの家を売却する際にはいくつかの注意点を踏まえて手続きを進めなければいけませんが、それと同時に、売却活動を成功に導くためには、次の3つのポイントを押さえることも忘れてはいけません。
- メリットを上手に交渉材料に使う
- 高値売却を目指すなら時間をかけるのも選択肢のひとつ
- 高値成約にこだわらないなら買取業者に依頼する
「相続をきっかけに所有しただけなのでできるだけ早期に手放したい」「じっくり時間をかけても良いから高値で買い取って欲しい」など、買主側にもいろいろな希望があるでしょう。できるだけ希望を反映させながら、現実的な問題にも柔軟に対応し、上手く折り合いをつけるのがポイントです。
それでは、墓地の近くの家の売却を成功に導くポイントについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。
墓地の近くの家を売却するポイント1:メリットを上手に交渉材料に使う
墓地の近くの家の売却を成功に導く1つ目のポイントは、「墓地の近くに所在する」ことのメリット面を上手に交渉材料に活用するというものです。
物件の近くに墓地があるということは上述のデメリットが存在するものの、同時にいくつものメリットも存在します。つまり、短所をカバーできるだけの長所があることを交渉時に伝えることができれば、お墓が近くにあることが値引き要因にならず、場合によっては相場価格通りの成約が実現する可能性も見出せるでしょう。
墓地が近くにあることの代表的なメリットは次の通りです。
- 閑静で静かな立地条件
- 日当たり・風通しが良好で住みやすい
- 周辺環境が変化しにくい
- 地盤が安定している
それでは、墓地の近くの家のメリットについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。
墓地の近くの家のメリット1:閑静で静かな立地条件
墓地の近くの家の1つ目のメリットは、閑静で静かな立地条件です。
お墓の周辺であるということは、住宅街や商業施設が近くにないということ。つまり、近隣住民の生活音などを気にせずに静かに日々の生活を送れるということです。
また、木々がたくさん植えられて緑が多い墓地なら、四季折々の景色を楽しむこともできるでしょう。
墓地の近くの家のメリット2:日当たり・風通しが良好で住みやすい
墓地の近くの家の2つ目のメリットは、日当たり・風通しが良好で住みやすいという点です。
墓地と隣接しているということは、隣に建物がないということを意味します。つまり、日当たりや風通しが良いため、快適な環境で過ごすことができるでしょう。
たとえば、洗濯物が乾かない・日光が入らないので湿気がこもるなどの弊害を感じにくいので、住宅地では得られにくメリットを手にできるはずです。
墓地の近くの家のメリット3:周辺環境が変化しにくい
墓地の近くの家の3つ目のメリットは、周辺環境が変化しにくいという点です。
たとえば、静かな環境が気に入って購入した不動産の隣にコンビニが出来たり、迷惑行為をはたらく隣人が引越してきたりすると、せっかく購入した不動産での平穏な生活に支障が生じます。
墓地が近くにある場合、いきなり墓地から商業施設などに土地が転用されるということは考えにくいでしょう。つまり、不動産を購入したときのままの周辺環境が長期間維持できるということです。
実は、新築・中古問わず、不動産を購入する際には、周辺環境が将来的にどのように変化していくのかを予測するのも大切なこと。道路や開発予定についてはある程度公表されていますが、私人がどのような方法で土地を活用するかをすべて調査するのは不可能です。
したがって、周辺環境が変化しにくいという蓋然性を得られるのは、物件選びにおいて非常に強力な強みとなります。墓地の近くであることを好材料に転化しやすいので、かならず交渉時にアピールしましょう。
墓地の近くの家のメリット4:地盤が安定している
墓地の近くの家の1つ目のメリットは、地盤が安定しているという点です。
お寺・神社・お墓は、自然災害などが発生しても墓石や建物が簡単には崩落しないように、地盤が安定した場所が選ばれる傾向にあります。また、お寺などが建立される際には、強固な地盤工事が施工されているのが一般的です。
たとえば、物件の近隣で地盤沈下が発生するだけでも、不動産の価値は大幅に下落しますし、場合によっては物件自体の安全性にも甚大なリスクが発生することにもなりかねません。
したがって、安定した地盤で倒壊リスク等を回避できる点も、売却時の交渉材料として有効でしょう。
墓地の近くの家を売却するポイント2:高値売却を目指すなら時間をかけるのも選択肢ひとつ
墓地の近くの家の売却を成功に導く2つ目のポイントは、時間をかけて高値売却を目指すのも間違いではないというものです。
確かに、お墓が近くにあることはデメリットかもしれません。しかし、土地・建物自体に何の瑕疵も存在しないのなら、その価値だけに注目してくれる買主が見つかるまで売却活動をつづけてみましょう。「正当な査定額で売却したい」という希望を実現できるでしょう。
ただし、売却活動が長期化することにはデメリットがあることを忘れてはいけません。具体的には、不動産は所有しているだけで次のコスト・責任が発生するので、条件に適した購入希望者との成約が実現するまでに多大な費用負担を強いられるリスクがあるということです。
- 墓地の近くの家の管理コスト
- 固定資産税・毎月の光熱費基本料金・各種保険料など、毎月・毎年、所有するだけで一定の支払いを強いられる。物件の面積が広いとそれだけ固定資産税が高額になるので注意が必要。
- 所有者としての管理責任
- 売却予定の物件だからこそ管理状況には手を抜けない。居住していない場合でも、メンテナンス・ハウスクリーニング・庭の植木の剪定などの管理費が発生する。特に、墓地の近くは人通りも少ないため、空き家の管理状況が悪くなってしまうと治安の悪化を招き得る。近隣にも迷惑がかかるので良い状態を保つこと。
- 所有者としての法的責任
- 物件が原因でトラブルが発生した場合、民事責任・刑事責任・行政責任が問われ得る。売却益以上の負担を強いられる可能性もあるので、使わない家・マンションは早期に手放した方がリスク回避の意味ではポイントが高い。
売却活動をいつまでつづけるのかは、所有者側の経済事情次第です。たとえば、別の不動産に住み替え予定があり、すみやかに頭金を用意しなければいけない切迫した状況なら、手放す物件の住宅ローンを支払っている場合ではないでしょう。
これに対して、墓地の近くの家の住宅ローンを完済済みで、転居先購入の資金調達にも目途が立っているのなら、早期売却にこだわる必要はないかもしれません。
ただ、墓地の近くの家の査定額は2割~3割程度割り引かれるとはいっても、物件自体が築古でそもそもの査定額が低額な状況なら、2割~3割の下落にこだわる必要がないこともあります。
どの段階で折り合うかは物件の状態次第。依頼をした不動産仲介業者の担当者と丁寧に戦略を立てて、無駄のないように売却活動を進めてください。

「墓に近い」などの欠点を抱えた物件の売却をする際には、信頼できる不動産仲介業者に依頼をするのがポイント。不動産一括査定サイトなどを活用して複数社の候補を見つけた後は、実際に営業担当者と話をして相性・ノウハウをもっているかなどを確かめましょう。また、不動産仲介業者に依頼をする際には、仲介契約(媒介契約)の種類にも注意する必要がありますが、課題を抱えた物件の売却依頼をするなら、一般媒介契約ではなく、専属専任媒介契約・専任媒介契約がおすすめです。なお、媒介契約の種別については以下のリンク先でも詳しく解説しているので、あわせてご一読ください。
売却までに時間がかかりそうなら賃貸物件として収益を図るのもあり
「できるだけ高値で売却したい。しかし、買主が見つかるまでに時間がかかりそうなので、できれば収益化したい。」と考える売主もいるでしょう。確かに、使わない不動産を塩漬け状態にしておくことほどもったいないことはありません。
それならば、賃貸物件として活用する方法をご検討ください。毎月家賃収入を得られるので、少なくとも”負の遺産”状態を回避することはできるでしょう。
ただし、墓地の近くの家を賃貸に出す場合にもいくつかの注意事項があります。次のポイントを意識して賃貸に出すかを決めてください。
- 売買と同じように「墓地が近くにあること」等について告知する
- 墓地の近くであることを踏まえて家賃は強気に設定しない
- 共益費・管理費・敷金・礼金などの条件を下げて賃借人を募る
- オートロックやリノベーションなどで物件自体の魅力をアップする
- 賃貸中の物件売却時には手続きが複雑になるので不動産仲介業者などの知見を頼る
- 賃貸物件の管理コストが発生する
- 入居者が見つからないと家賃収入も期待できない
不動産の賃貸借契約を締結すると、借主の地位が強く守られるので、家主側から願い出て引越しをしてもらうことができなくなります。つまり、「売却までのつなぎ」という感覚で気軽に利用するべきものではないということです。
売却活動に力を入れるのか、賃貸として長く貸し出しても良いのか、長期的な視点でご検討ください。
墓地の近くの家を売却するポイント3:高値成約にこだわらないなら買取業者に依頼する
墓地の近くの家の売却を成功に導く3つ目のポイントは、時間をかけずに売却活動を終わらせたいなら不動産買取業者に依頼をするというものです。
不動産買取業者とは、不動産会社自体が売買契約の相手方になって物件をそのままの状態で引き取ってくれるというもの。不動産市場から買主を見つけてくる仲介役を担う不動産仲介業者に依頼をすると「購入希望者が見つからない」という事態におちいりかねませんが、買取業者に依頼をすれば確実に売却を成功に導くことができます。
相違点 | 不動産仲介業者 | 不動産買取業者 |
---|---|---|
成約可能性 | △(買主が見つかる確証がない) | 〇(かならず売却できる) |
成約までの時間 | 長い | 短い(最短即日) |
売却価格 | 市場価格通り | 市場価格から値引き |
仲介手数料 | あり | なし |
たとえば、今回売却を検討している物件が、「墓地の近くであること」以外にもいくつかの課題を抱えていることもあるはずです。シロアリ被害や雨漏りなどの深刻な問題だけではなく、築古物件だったり、不人気エリアに所在していたりなど、「放っておいても勝手に売れる」という状態ではないのがほとんどでしょう。
もし、不動産仲介業者に依頼をするとなると、集客をするために物件に修繕工事を加えたり、場合によっては解体工事・大規模リフォームを実施しなければいけないこともあるでしょう。工夫を凝らさなければ、購入希望者が集まらないからです。
これに対して、不動産買取業者に依頼をすれば、どのような物件でも売主側で手間暇をかけずにそのままの状態で売却できます。
したがって、売却価格にこだわるのではなく、「できるだけ早期に墓地の近くの家を手放したい」と希望する所有者に不動産買取業者はおすすめです。

不動産を売却すると、譲渡所得税・住民税・登記費用などのコストが発生することになります。仲介業者・買取業者のいずれに売却してもこれらの費用負担から免れることはできません。さらに、仲介業者に依頼をした場合には、これとは別に「仲介手数料」を支払う必要があります。「高値が付くが売却できる確証はなく、仲介手数料もとられる」仲介業者と、「比較的値引きされた金額だが確実に売却できる」買取業者、ご自身にとってどちらがニーズに合っているかを判断しましょう。なお、仲介業者と買取業者の違いについては以下のリンク先でも詳しく解説しています。あわせてご一読ください。
墓地の近くの家を売却するなら不動産買取業者へご相談を
墓地の近くの家を売却する際には、告知義務を果たすなどの注意点を踏まえて売却活動を進めるのがポイント。近くに墓地があることを買主側がどう感じるかはっきりしない以上、誠実に購入希望者に向き合うべきでしょう。
ただ、墓地が近くにあると、どうしても購入希望者が集まりにくいという実情に目を向けざるを得ません。また、せっかく買い手が現れたとしても、無理な値引き交渉を強いられるなど、売主側の希望が通りにくいことも少なくないでしょう。
そこで、墓地の近くの家を売却する際には、不動産買取業者に依頼をするのがおすすめ。いつ終わるか分からない売却活動を今すぐに終わらせることができますし、管理コストや物件をめぐる法的責任からも解放されるからです。
訳あり物件買取業者など、不動産の買取を専門にしている業者は数多く存在します。以下のリンク先でもおすすめの業者を複数社ピックアップしているので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
嫌悪施設以外にも告知義務が課されるケースはかなり存在します。心理的瑕疵要因(殺人事件などが発生した事故物件)・物理的瑕疵要因(シロアリ被害など)を抱える不動産については、かならず告知義務を遵守しなければいけません。「すべてを正直に伝えると不動産を売却できないかもしれない」と危惧する気持ちは当然ですが、後から判明するとかなりのトラブルが発生するだけです。不動産仲介業者などのアドバイスを元に、適切に手続きを進めましょう。