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「年齢を重ねてバブル期に購入したリゾートマンションを使用する機会がなくなった」「親が所有していた別荘を相続したが管理が面倒なので手放したい」など、リゾートマンションオーナーのなかには早期の売却を希望する人が少なくないでしょう。
まず、リゾートマンション・別荘は売却難易度の高い不動産だということを忘れてはいけません。なぜなら、居住用不動産ほどの需要がないばかりでなく、所有コストが高額になる傾向が強いので購入を敬遠する人が多いからです。
ただし、リモートワークの普及やライフスタイルの多様化などにも注目する必要があります。つまり、これらの社会構造の変化の後押しを受けて、工夫を凝らせばリゾートマンションを高値で売却できる可能性が広がっているということです。
そこで今回は、現代だからこそ通用するリゾートマンションの売却方法・売却活動時の注意点について総合的に解説します。あわせて、売却以外の処分方法やリゾートマンションの有効活用法も紹介するので、最後までご一読ください。
目次
リゾートマンションを高く売却するコツは5つ
リゾートマンションは一般的な居住用目的の不動産とは異なります。
「リゾートマンションという物件が抱える特徴を踏まえた売却戦略を立てる」「リゾートマンションを購入できるターゲット層を狙って売却活動を進める」など、売主側が工夫を凝らさずに居住用不動産と同じ方法で手続きを進めてしまうと満足する結果は得られないでしょう。つまり、いつまでもリゾートマンションを売却できない・売却できたとしても条件面で不満が残るというリスクを避けられないということです。
そこで、リゾートマンションを少しでも高値で売却するためには、次の5つのポイントを押さえることをおすすめします。
- リゾートマンションが流動性の低い物件であることを理解して売却戦略を練る
- リゾートマンション売却に強い不動産仲介業者を見つける
- 隣人との間で売却交渉を進める
- リゾートマンション対応の不動産買取業者に依頼する
- 売却・買取以外の幅広い選択肢を視野に入れる
それでは、リゾートマンションの売却方法・高く売るコツについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。
1:リゾートマンションや別荘が手放しにくい理由を理解して売却戦略を練る
リゾートマンション売却時に最初に押さえておくべきポイントは、リゾートマンションは比較的売却の難易度が高い性質を備えた物件だと理解することです。
リゾートマンションが一般の居住用物件を比べて売却しにくい理由として、次の5つの要因が挙げられます。
- 不動産市場における需要数が少ない
- 特殊な立地条件の物件が多いので居住用には不向き
- 「時代遅れ」のイメージを払拭しにくい
- 維持費・管理費などのコスト面に対する懸念が強い
- 税制上の優遇措置の対象外になるため購買意欲の促進に繋がらない
①リゾートマンションに対する需要の絶対数が少ない
社会の情報化が進み、テレワークなどの働き方が推進し始めたこともあって、「終の棲家を快適な環境で見つけたい」「どこでも仕事ができるようになったので地方・郊外に移住したい」というニーズが高まっています。
つまり、「リゾートマンションは贅沢品だ」「よほどのお金持ちしか手が届かない別世界のものだ」というステレオタイプな価値観が次第に減衰しているため、ひと昔前に比べるとリゾートマンションを売却しやすい環境にはなっているということです。
ただし、それでも一般の居住用物件と比べると、不動産市場におけるリゾートマンションに対する需要の絶対数が少ないということを忘れてはいけません。
やや誇張して表現すると、大都市圏や地方都市などの”生活しやすい”エリアに所在する不動産は戸建て・マンション・中古・新築にかかわらず常に幅広い大多数の顧客層が存在するのに対して、リゾートマンションは「あえて別荘地の不動産を購入したい」という顧客層しか対象にならないためにマーケットの規模が小さいということです。
したがって、リゾートマンションの売却活動を進めるときには、「この土地のリゾートマンションを購入することで具体的にどのようなメリットが生じるのか」という付加価値を積極的にアピールして、居住用不動産・他の地域の別荘地との差別化を図るのがポイントとなります。
②リゾートマンションの立地条件は居住用には不向きなことが多い
リゾートマンションが所在する地域は多くの人が居住するには不向きな立地条件のケースが多いです。
たとえば、居住用不動産を購入する際の検討項目として挙げられるのは、駅やバス停などの公共交通機関の利用しやすさ・学校やスーパーなどへのアクセスなどの”生活インフラ”に直結するポイントのはず。観光地や温泉地・避暑地などに所在することが多いリゾートマンションは一般不動産市場のニーズからはどうしても外れてしまいます。
したがって、リゾートマンションを売却する際には、「不利な立地条件を上回るメリットがあること」を積極的に打ち出して営業活動を進めるべきでしょう。
③「リゾートマンションは時代遅れ」というイメージが強い
「リゾートマンションは1980年代後半のバブル経済成長期の象徴」という印象を抱く人が多い現実にも目を背けるべきではないでしょう。
当時はラグジュアリーで人気が高く常に値上がり志向の資産でしたが、バブルが弾けた後についたネガティブイメージが原因で「手を出すべきではない不動産」「ひと昔前の遺跡じみた存在」という先入観が普及し、結果として論理的な理由なく購入希望者から敬遠される傾向があります。
したがって、リゾートマンション購入希望者が物件の詳細な情報にアクセスしたくなるように動機付けをするのがポイント。多様性が受け入れられる時代だからこそ、設備の豪華さや物件所在エリアで時間を過ごすオリジナリティを積極的にアピールしましょう。
④リゾートマンションは維持するだけでコストが高い
リゾートマンションや別荘には一般向け居住用不動産にはない設備やセキュリティ体制が整備されていることも少なくありません(たとえば、コンシェルジュ常駐・建物内のプールやジム・遊戯室等の豪華な共用部分など)。
そのため、リゾートマンションを所有するだけで維持費・管理費・大規模修繕費用積立金・固定資産などのコストが発生するため、どうしても経済的に余裕のある人しか購入しにくいという事情が生じます。
もっとも、現在では過疎化対策などのために移住支援制度・各種補助金制度などを用意している自治体が多いです。また、バブル期と比較すると物件自体の価格相場が常識的な水準に落ち着いているので、いわゆる「高所得者層のための物件」という位置付けではなくなっています。
したがって、リゾートマンションの維持費等を不安に感じている購入希望者に対しては、移住・定住によって利用できる助成金制度を紹介すると同時に、「想像しているよりも安価で生活できる」という点を説得的にアピールしましょう。
⑤リゾートマンションは税制上の優遇措置を受けにくい
リゾートマンションを購入してその地に定住する目的の購入希望者であれば問題になりませんが、リゾートマンション購入者の大半が別荘として物件を購入することが多いという実情を前提とすると、別荘所有者は税制上の優遇措置を受けられないという点に注意しなければいけません。具体的には、毎年発生する高額の固定資産税・都市計画税(市街化区域内の場合)・不動産取得税が原因で買い手が見つからないリスクがあるということです。
居住用不動産所有者が受けられる税制上の軽減措置は次の通り。別荘オーナーはこの制度を利用することができません。
税目 | 200㎡以下の部分 | 200㎡超の部分 |
---|---|---|
固定資産税 (固定資産税評価額 × 1.4%) |
1/6に減額 | 1/3に減額 |
都市計画税 (固定資産税評価額 × 0.3%) |
1/3に減額 | 2/3に減額 |
参照:固定資産税の住宅用地の特例とはどのようなものですか。 – 金沢市HP
税目 | 特則なし | 特則あり |
---|---|---|
建物の不動産取得税 | 固定資産税評価額 × 4% | 新築:1,200万円控除、税率3% 中古:100万円~1,200万円控除、税率3% |
土地の不動産取得税 | 固定資産税評価額 × 4% | 固定資産税評価額 × 1/2 × 3%(別途控除あり) |
ただし、リゾートマンション購入者が「別荘」としてではなく「セカンドハウス」として活用すれば固定資産税・都市計画税・不動産取得税の軽減措置の対象になります。
「別荘」「セカンドハウス」の区分方法・要件・申請手続き・提出書類は自治体によって異なりますが、概ね次のような棲み分けです(「別荘もセカンドハウスも同じでは?」と考える人も多いですが、税制上の取り扱いがまったく異なるので看過するべきではありません)。
- 別荘:日常生活の用に供しない保養目的が主たる目的の不動産。夏休みだけ使う、など。
- セカンドハウス:毎月1日以上居住の用に供する不動産。週末に居住するため郊外等に取得するもの・遠距離通勤者が平日に居住するために職場の近くに取得するものなど。
参照:地方税法第73条の14
したがって、税金面に不安を抱える購入希望者に対しては、自治体が定めるセカンドハウスの要件等をスムーズに紹介しつつ、節税の可能性を狙える点について丁寧に解説するのがおすすめです(なお、別荘・セカンドハウスのいずれであったとしても住民税の均等割分は負担しなければいけません)。
2:リゾートマンションや別荘売却に強い不動産仲介業者を見つける
リゾートマンション売却が成功するか否かは信頼できる不動産仲介業者を見つけられるか次第といっても過言ではありません。
不動産仲介業者とは、物件のオーナーから依頼を受けて買主を見つける仲介をしてくれる業者のこと。営業活動・広告活動・交渉サポート等を担当してくれるので、素人だけでは難しい不動産売却を成功に導いてくれるでしょう。
- 不動産仲介業者に依頼するメリット
-
- 専門知識が必要な不動産売却活動の全面サポートを受けられる
- 営業活動等に尽力してくれるので成約可能性が高まる
- 業者ごとに得意分野があるので効果的な売却活動を期待できる
- ホームステージングや弁護士・司法書士等への無料相談などの付帯サービスも充実
- 不動産仲介業者に依頼するデメリット
-
- 仲介手数料が発生する
- 業者選びを間違えると成約に繋がらない
- 不動産仲介業者は”仲介役”でしかない
- 購入希望者が見つからないといつまでも物件を手放せない
それでは、リゾートマンションの売却を不動産仲介業者に依頼する際の注意点や手続きの流れ等について具体的に見ていきましょう。
①不動産仲介業者を選ぶときには複数業者を比較する
リゾートマンション売却を依頼する不動産仲介業者を選ぶときには、複数業者を比較する作業が不可欠です。特にリゾートマンションのような特殊物件の売却では、ノウハウのある業者を選ばなければ満足のいく売却活動を進められないため、慎重に業者選びをする必要があります。
たとえば、不動産仲介業者ごとに得意ジャンルは異なるので、リゾートマンション・別荘地の売却に慣れた業者を選ばなければいけません。また、得意な物件エリアにも違いがあるので、売却予定不動産が所在する地域事情に熟知した不動産会社に依頼をするべきでしょう。
このように、各不動産仲介業者ごとに特徴があるので、所有しているリゾートマンションの成約可能性を高める・できるだけ有利な条件で売却するために、複数の不動産仲介業者について調べたうえで物件と相性の良い業者に依頼をしましょう。
リゾートマンション売却時の業者選びのポイントは次の通りです。比較の際にお役立てください。
- 評判(口コミ情報や過去の行政処分の有無など)
- 得意分野(一般居住用物件や訳あり物件、投資用物件や事業用物件など)
- 業者の規模(大手業者か中小の地域密着型業者か)
- 付帯サービスの充実度(ホームインスペクションやインテリア貸し出し、撮影サービスなど)
- 過去の販売実績(特に、自己所有物件との類似不動産について)
- 各社の見積もり・査定結果(机上査定・訪問査定)
- 営業担当者のスキル・相性
なお、不動産仲介業者選びのポイントについては以下のリンク先でも詳しく紹介しています。あわせてご一読ください。
②仲介業者選びは不動産一括査定サイトを活用するとスムーズ
懇意にしている不動産業者が居るという人は多くはないはず。「リゾートマンションを売却したいがどの業者に依頼すれば良いか分からない」というように、複数の不動産仲介業者を比較するにも、不動産仲介業者自体を知らないとお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
そこでおすすめの方法が不動産一括査定サイトを活用するというもの。Webから無料で不動産仲介業者の情報にアクセス可能で、複数業者からの机上査定結果を見比べることができます。
不動産一括査定サイトを利用するメリット・デメリットは次の通りです。
- リゾートマンション売却時に不動産一括査定サイトを利用するメリット
-
- 手間・時間をかけずに別荘地売却のノウハウ豊富な業者を見つけられる
- 無料でネットから利用できる
- 複数業者の特徴や販売価格を比較しやすい
- リゾートマンション売却時に不動産一括査定サイトを利用するデメリット
-
- 悪質な業者に個人情報を渡すと執拗な営業電話がかかってくるリスクがある(口コミなどをチェックすれば回避できる)
- サイトに登録していない不動産業者の情報が分からない(複数の一括査定サイトの併用も検討するべき)
なお、おすすめの不動産一括査定サイト31社を以下のリンク先で紹介しています。不動産業者選びにお困りの方はぜひご参照ください。
③不動産仲介業者と締結する媒介契約の種類を吟味する
リゾートマンション売却を不動産仲介業者に依頼する際には、不動産業者との間で締結する媒介契約(仲介契約)の種類に注意しなければいけません。
実は、媒介契約は次の3種類に区別され、締結する契約内容がリゾートマンションが売れるかどうかを左右する可能性があります。
- 専属専任媒介契約:契約できる不動産業者は1社のみの独占。直接取引も不可。
- 専任媒介契約:契約できる不動産業者は1社だけだが、直接取引は妨げられない。
- 一般媒介契約:複数業者と同時契約が可能で、直接取引も可能。
どの媒介契約を締結するかは、オーナー自身がどのようなかたちで売却活動を進めたいか次第です。
それぞれの媒介契約によって生じる状況は次のようになるので、成約可能性を高められる契約類型を選択しましょう。
- 専属専任媒介契約
-
- リゾートマンション売却手続きをすべて任せられる不動産仲介業者が見つかったオーナーにおすすめ
- 売主自身のコネクションを活かして直接取引の余地を残したいなら専属専任媒介契約は避けるべき
- 依頼した業者が熱心に売り込み活動をしてくれる
- “囲い込み”が行われるとリゾートマンションが塩漬けになるリスクがある
- 専任媒介契約
-
- 売主自身が自分のツテを頼って営業したいなら専任媒介契約にするべき
- 一般媒介契約よりも真摯な営業活動を期待できる
- 契約した1社のみの営業力に成約可能性が左右されるので信頼できる不動産業者が見つからないなら専任媒介契約は避けるべき
- 一般媒介契約
-
- 複数の不動産仲介業者と同時契約できるので多くの顧客層を対象に営業活動できる
- 売主自身にも物件の処分方法に裁量が与えられるので臨機応変に対応しやすい
- 不動産仲介業者からすると「営業努力と仲介手数料の収益」が直結しないリスクがあるので積極的な販促を期待できないリスクあり
後述のように、リゾートマンションを手放すときには「そのまま売却する」以外の選択肢も視野に入れて柔軟な処分方法を検討するべきです。
たとえば、売却以外の選択肢も提案してくれる誠実な不動産仲介業者が見つかるのなら専属専任媒介契約・専任媒介契約を締結してしまうのも間違いではないでしょうし、その一方で、全面的に信頼できる業者とマッチングできないのなら一般媒介契約で保険をかけておくのも正しい方法だということ。つまり、媒介契約の種類を決めるためには、「不動産仲介業者をどれだけ信頼できるか」がポイントになります。
なお、各媒介契約の詳細については以下のリンク先で詳しく解説しています。リゾートマンション売却を不動産業者に依頼する際にご参照ください。
④不動産仲介業者に依頼した場合のリゾートマンション売却の流れ
それでは、リゾートマンション売却を依頼する不動産仲介業者との間の手続きの流れを確認していきましょう。
どの規模の不動産仲介業者に依頼する場合でも、概ね次のようなステップで売却手続きが進められます。
- 一括査定サイトやネット検索などで不動産仲介業者を選別
- 価格査定(3カ月程度の期間で売却できる前提で算出することが多い)
- 媒介契約の締結
- 営業活動・広告活動の実施
- 購入希望者との売却交渉
- 条件がまとまったら売買契約手続き(売主・買主・営業担当者・司法書士・金融機関担当者が同席することが多い)
- リゾートマンションの引渡し・売買代金の清算・抵当権抹消登記手続きなど
- 光熱水費や管理費・フロントの名義変更・管理会社への連絡・各種切り替え手続き
基本的に、不動産売却の活動期間は3カ月を目安に設定することが多いです。3カ月以上物件が売れ残る状態がつづくのなら、不動産業者の変更、他の処分方法を検討するなどの工夫をする必要があります。
また、リゾートマンションの売買契約を締結する際には、売主側でも書類等を集めなければいけません(権利証・登記済証・実印・3カ月以内に発行した印鑑証明書・法人名義なら法人登記簿謄本や閉鎖謄本・運転免許証やパスポートなどの身分証明書・住民票・戸籍の附票・物件やロッカーなどの鍵・駐車票・購入時の売買契約書の写し・重要事項説明書・リーフレット・管理規約・管理組合総会関連の書類・抵当権抹消関連の書類・仲介手数料・印紙代金・登記手続き費用など)。かならず時間に余裕をもって準備をしておきましょう。
⑤リゾートマンション売却手続きにおける注意点
「豪華な物件だから高値で売却できて当然だろう」などと油断をしてはいけません。なぜなら、購入希望者側は「できるだけ安くで不動産を手に入れたい」と考えるため、オーナー側が真摯に売却活動に向き合わなければ競合物件に客を奪われたり、想定よりも低額での成約しか実現しないおそれがあるからです。
したがって、リゾートマンション売却時には、次の6点に注意を払って手続きを進めるべきだと考えられます。
- 注意点1:売り出し中はリゾートマンションを空室にしておく方がスムーズ
- リゾートマンションの売却活動に集中するなら、物件は空室にしていつでも内見希望者が訪問できる環境を整えておくべきでしょう。また、空室の方が部屋が広く見える・生活感を払拭できる・オープンハウスとして販促できるなどのメリットも得られます。
- 注意点2:定期的にハウスクリーニングを実施する
- リゾートマンションの売却期間中は定期的にハウスクリーニングを実施しましょう。居住用不動産よりも物件の設備面の状態が注目されるため、最低でも1カ月に1回は訪問して換気・清掃やメンテナンスに気を配る必要があります。もちろん、不動産仲介業者と提携しているクリーニング業者に依頼しても差し支えありません。
- 注意点3:内覧時には丁寧な対応を意識する
- 購入希望者の内覧に立ち会う場合には丁寧な応接を心がけること。「どのような性格の人が利用していた物件か」は購入者が注目するポイントのひとつです。「誠実なオーナーの所有物件なら大切に使われていただろう」と心証も良くなるでしょう。
- 注意点4:ホームステージングで物件の魅力を積極アピール
- リゾートマンション売却時には空室状態の方が物件の魅力をアピールしやすいですが、物件内の家具等が一切ない状態では逆にイメージがわきにくいおそれも。そこで、物件に合ったインテリアや装飾品をレンタルするのがおすすめです。リゾート地の売却に慣れた業者ならホームステージングサービスを実施していることが多いので、積極的にご活用ください。
- 注意点5:妥協できる最低ラインを設定しておく
- 不動産売却は「運」にも左右されるもの。リゾートマンション自体がどれだけ魅力的でも購入希望者とタイミングが合わなければいつまでも成約できないリスクは避けられません。そこで、売却期間・最低売却価格などをあらかじめ決めておくのがポイント。もちろん、納得できる条件で売却できるまで所有しつづけるのも間違いではありませんが、一定の管理コストが発生しつづける点にご注意ください。
- 注意点6:必要なリフォーム工事は事前に済ませておく
- 老朽化が進んだリゾートマンションを売却するなら最低限必要な修繕工事はあらかじめ実施しておきましょう。壁紙やフローリングの傷み、排水管の老朽化など、物件の問題点が少ない方が不動産市場からの魅力は高まるはずです。ただし、修繕規模が大きくなるほどコストが重くなるので、リフォームの範囲については不動産業者と丁寧に相談するのがおすすめ。
なお、リゾートマンションなどの不動産を高値で売却するための注意点については以下のリンク先でも解説しています。売却活動時にお役立てください。
3:隣人との間で売却交渉を進める
リゾートマンション・別荘の売却で有効な手段のひとつが隣人との売却交渉です。不動産仲介業者に依頼をしても購入希望者が見つからない場合には所有地の隣家オーナーと相談してみましょう。
隣人にとって、隣接した不動産を取得することには次のようなメリットがあります。
- 所有地が拡大するのでより住みやすい住環境を手に入れられる
- 一筆の土地にすることも可能
- 広い土地の方が有効活用の選択肢が増える
- 将来的な転売時にも富裕層に対して有利な交渉を進めやすくなる
隣人との売却交渉なら直接取引も不可能ではないはず。
売買契約締結時に司法書士・弁護士などの専門家に依頼をするとしても節約できる仲介手数料の範囲内で賄うことができますし、不動産仲介手数料がかからない分だけ売価の値引きに反映すれば隣人も安くで不動産を手に入れられるでしょう。

所有コストを負担に感じて「早期に別荘を手放したい」と考えるのなら、隣人に寄付するのも選択肢のひとつ。売却ではないのでオーナー側がお金を手にすることはありませんが、「出費を節約できる」という意味で経済的利益を受けられます。なお、寄付された側に贈与税が発生する点に注意が必要です。
4:リゾートマンションや別荘対応の不動産買取業者に依頼する
リゾートマンション売却を不動産仲介業者に依頼したとしてもかならず物件を手放せるとは限りません。購入希望者が現れない・売却条件が折り合わないなど、いつまでも不動産を手放せないリスクを強いられることもあるでしょう。
後述のように、不動産は所有しつづけるだけで経済的・法的な負担が発生するもの。使い道のない不動産の名義人であることにはデメリットしかありません。
そこで、不動産仲介業者への依頼が功を奏しない場合には、リゾート地の物件に対応した不動産買取業者に依頼するという選択肢を視野に入れることをおすすめします。
不動産買取業者とは、不動産会社自身が買主となって物件を引き取ってくれるもの。あくまでも第三者の立場からリゾートマンションの売却をサポートしてくれる仲介業者とは異なり、買取業者自身が契約当事者となってくれるので次の4点のメリットが得られます。
- リゾートマンションを最短即日で手放せる
- リゾートマンションをすぐにでも現金化できる
- 所有者としての法的責任・経済的負担などから完全に解放される
- リフォームやメンテナンスを実施しなくても現状のまま別荘を引き渡せる
たとえば、親の死亡にともなう相続によって遠方僻地のリゾートマンションを手にしたケースについて。そもそも物件を使用する予定もなければ訪問などの余裕もないという人もいるはず。なかには、「どのような条件でも良いからとにかくリゾートマンションと縁を切ってしまいたい」とさえ考えることもあるでしょう。
このように、売却条件などに一切こだわりがなく「手放すこと」を最優先課題とする売主には不動産買取業者に依頼するのが最適。数カ月以上の時間をかけても成約が約束されないリスクがある不動産仲介業者とは異なり、不動産買取業者なら最短即日でリゾートマンションを手放すことも可能です。
なお、不動産買取のメリット・仲介との違いについては以下のリンク先でも詳しく解説しています。売れ残ったリゾートマンションでお困りのオーナーはぜひご一読ください。
5:リゾートマンションや別荘の処分方法は幅広い選択肢から考慮する
「不動産の売却」というと仲介業者・買取業者に依頼するしか方法が無いように考えがちですが、実は、リゾートマンションや別荘地を処分する場合には”不動産業者を頼る”以外の選択肢が幅広く用意されている点を忘れてはいけません。
特に、郊外の別荘地や人気リゾートエリアに所在する物件に対しては、一般不動産市場における「居住用」以外のニーズも数多く存在します。次で紹介する方法から物件に見合った選択肢をご検討ください。
- 投資用不動産として売却する
- 賃貸用不動産として有効活用する
- 空き家バンクに登録する
- 各自治体のプロジェクトを活用する
- 国・自治体に譲渡する
①リゾートマンションを投資用不動産として売却する
別荘地・温泉地・避暑地・観光地・雪国・南国などに所在するリゾートマンションは、一般の居住用不動産とは異なる付加価値を有する資産です。たとえば、「ウィンタースポーツを満喫するため」「ラグジュアリーな空間で週末だけ非日常感を味わうため」など、顧客層の多様な要望に応えるのが主眼とされた施設だといえるでしょう。
そして、リゾートマンションの購入希望者層のなかには、”「自分の楽しみのために不動産を購入したい」と考える人”だけではなく、”「幅広い顧客への賃貸による収益物件・将来的な転売を目的とした投資用不動産としてリゾートマンションを手に入れたい」と考える人”も少なくはありません。
したがって、リゾートマンションの投資用物件としての可能性を視野に入れて売却活動を進めれば、購入希望者層が増えるため、リゾートマンションを売却できる可能性が高まるでしょう。
- リゾートマンションを投資用不動産として売却するメリット
-
- 投資家マーケットを対象に売却活動を進められる
- 居住用物件としての売却活動と並行すれば成約可能性を高められる
- 物件所在エリアの人気動向次第では高い利回りが期待できるので高値成約を期待できる
- リゾートマンションを投資用不動産として売却するデメリット
-
- 収益物件の高値成約を狙うためには不動産投資のノウハウを熟知した不動産仲介業者のサポートが不可欠
- 物件自体の魅力ではなく収益性の有無が重視されるので相場価格よりも値引きされた成約価格になるリスクもある
- 住宅ローンの対象外・金融機関の審査基準が厳しいなどの事情から成約のハードルが高まる
なお、投資用不動産の売却活動の進め方や高値成約のポイントについては以下のリンク先でも詳しく紹介しています。あわせてご参照ください。
②リゾートマンションを賃貸用不動産として有効活用する
収益不動産として賃料収入目的でリゾートマンションの購入を検討している投資家に売却するのも選択肢のひとつですが、同時に、売却を検討しているご本人自身がリゾートマンションを賃貸用物件として活用する方法も検討してみましょう。
たとえば、オーナー自身がまったくリゾートマンションを利用することなく第三者に対して完全に賃貸すれば、毎月の賃料収入がそのまま手元に入ってきます。「ワンシーズンだけリゾートマンションを利用してみたい」という定期借家方式でも問題ありませんし、期限を定めずに貸し出し用物件として活用するのもありです。
また、いわゆるコンドミニアム(condominium)方式・リロケーション方式・分譲賃貸方式を採用しても良いでしょう。コンドミニアムならオーナー不在時に短期間賃貸に出して賃料収入を得ることができますし、オーナー自身が定期的に居住することも可能です。
現在、沖縄・北海道・軽井沢・箱根などの別荘地ではコンドミニアムが増えています。別荘地・リゾート地での時間の過ごし方がライフスタイル・ワークスタイルの多様化の流れに組み込まれていることからも、リゾートマンションを即時に売却してしまうのではなく、収益物件として活用するという選択肢も検討に値するでしょう。
- リゾートマンションを賃貸用不動産として活用するメリット
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- 定期的に賃料収入が入ってくるので物件を収益化できる
- 定住・永住目的ではない顧客層をターゲットにできる
- 物件のグレードの高さ・耐震性や防音性などのリゾートマンション特有の優位性をアピールして集客しやすい
- 収益性が向上すれば投資用不動産として将来的に高値で売却できる可能性が見出せる
- リゾート地の不動産動向に長けた不動産業者に依頼をすれば最適な収益化方法を検討してくれる
- リゾートマンションを賃貸用不動産として活用するデメリット
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- 損傷箇所の修繕・リフォームや設備の交換費用・ハウスクリーニングなどのコストが発生する
- 近隣の別荘地オーナーと入居者とのトラブル対応に迫られることもある
- 所有者としての法的責任・管理責任が発生する

「別荘」扱いのままでは固定資産税の節税が認められませんが、リゾートマンションを「セカンドハウス」として活用すれば「住宅用地」として固定資産税の優遇措置を受けられます。管理コストにも配慮すると物件の処分方法の選択肢が増えるので、信頼できる不動産業者や税理士・宅地建物取引主任者などにご相談ください。
③リゾートマンションを空き家バンクに登録する
リゾートマンションの処分方法に困ったときには、空き家バンクの利用をご検討ください。
空き家バンクとは、空き家の売却・賃貸などを希望する所有者から申込みを受けた情報を、自治体への定住・移住目的で空き家の利用を希望する人に対して紹介する情報流通システム制度のこと。「不動産を手放したい」というオーナーの希望と、「空き家を減らしたい・住民を増やしたい・地域活性化を図りたい」という自治体の要望を充たすために、自治体が不動産の所有者と利用者をマッチングするサービスです。
各不動産仲介業者が実施している仲介サービスは単純営利目的の事業ですが、空き家バンク制度は官民一体となって地域振興目的で展開されているもの。つまり、比較的公平な観点から当事者間の要望を最優先した形で不要なリゾートマンションの処分方法を決めることができます。
各自治体が運営している空き家バンクについては、「空き家・空き地バンク総合情報ページ(国土交通省HP)」からご検索ください。
- リゾートマンションを空き家バンクに登録するメリット
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- 仲介手数料なしでリゾートマンションを売却できる可能性がある
- 購入希望者と売主の条件をすり合わせやすい
- 不動産業者をはさむ取引よりも好条件を提示しやすいので成約確率を高められる
- 自治体の補助金制度などを併用できるので購入者を募りやすい
- リゾートマンションを空き家バンクに登録するデメリット
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- 購入希望者とオーナー間で直接売却等の交渉を進めなければいけない
- トラブル発生時にオーナー自身が対応しなければいけない
- 不動産仲介業者の営業活動・広告活動支援を受けにくい
④リゾートマンションについて各自治体のプロジェクトを活用する
リゾートマンションを売却する際には、物件が所在する自治体が展開する補助金制度・助成金制度などのプロジェクトを活用するのが効果的です。
たとえば、不動産を賃貸するために物件をリフォームする際に補助金制度を利用できれば、物件をより魅力的にして購入希望者を募りやすくなるでしょう。また、移住者側の購入資金・補修工事費用の一部または全部を助成金制度で賄うことができれば、当該リゾートマンションへの購入意欲が高まるはずです。
たとえば、不動産をポイントにして人口流入を見込む自治体は多様な移住促進支援プロジェクトが次のような内容で実施されています。物件所在エリアで利用できる制度等は売却活動の強みにできるので、自治体まで詳細・要件・サービス内容等をご確認ください。
- 住宅取得支援:固定資産税額を上限に年20万円まで補助
- 賃貸住宅家賃等支援:U・Iターンにより就職する若者を対象に家賃負担分1/2を補助(上限3万円)
- 空き家活用のための家財道具等処分費補助金制度:対象経費の2/3を補助(上限20万円)
- 克雪すまいづくり支援:雪下ろし作業に必要な工事費用の一部補助
- 箱根町民間賃貸住宅家賃補助制度:家賃負担分1/2を24カ月補助(毎月上限3万円)
- 箱根町若者世帯住宅取得補助制度:若者対象に不動産の取得費・設計費の1/10を補助(上限100万円)
- 箱根町空き家リフォーム事業補助制度:空き家バンク登録済み物件のリフォーム工事費用を補助(20万円以上の工事の1/2を上限50万円)
- 愛知県東海市移住支援事業(移住支援金の支給):東京23区からの移住者に「移住支援金」を支給。1世帯100万円、単身なら60万円。
- 静岡県移住・就業支援金制度:東京圏在住の人がU・Iターンする場合に助成。1世帯100万円、単身なら60万円。
- 岐阜県清流の国ぎふ移住支援補助金:岐阜県外からの移住者を対象に助成。1世帯50万円、単身なら30万円。
- リゾートマンションについて各自治体のプロジェクトを活用するメリット
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- リゾートマンションの売却交渉の材料に活用できる
- 要件を充たす購入希望者の経済的な支えになるので成約可能性が高まる
- 空き家バンクと併用すれば自治体制度の枠内で円滑に取引を進められる
- リゾートマンションについて各自治体のプロジェクトを活用するデメリット
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- 自治体ごとに支援内容に差異があるので優遇を受けやすい自治体に購入希望者が偏りやすい
- 補助金制度等の要件判断・申請手続きが煩雑なので購入希望者が敬遠するリスクがある
- 制度利用者側が主体的に情報収集をしなければいけないので手間がかかる
⑤リゾートマンションを国・自治体に譲渡する
どうしてもリゾートマンションの購入希望者や引き取り先が見つからないときには、国や地方公共団体に譲渡・寄付できる場合があります。
ただし、次で紹介するように、所有者が希望したからといって必ず不動産を引き受けてくれるわけではない点には注意が必要です。
- 国・自治体に無償譲渡する
- 各自治体が定める要件や開発エリアに所在する場合には物納できる。ただし、固定資産税は重要な税収であるため、国・自治体としても使い道がない状況なら引き取ってもらえない可能性が高い。
- 相続した土地を国に引き取ってくれる新制度を活用する
- 所有者不明土地問題を解消するために、相続土地国庫帰属法が改正。法務局に申請後、調査により所定の要件充足が認められた場合には国庫帰属となる。なお、虚偽申請や調査妨害に対しては承認取消し・損害賠償責任・刑事罰などのペナルティが発生する点に注意。
リゾートマンション売却時の注意点は4つ
居住用不動産の売却とは異なり、リゾートマンション売却特有の4つの注意点が存在します。
これらを無視すると想定外の不利益を被り、結果として、別荘の売却が失敗に終わるリスクを避けられません。
- 売却時の税制上の取り扱いについて
- 諸経費について
- 現状での売却にこだわり過ぎない
- 所有コストを考慮して売却スケジュールを練る
それでは、リゾートマンション売却時の4つの注意点について、それぞれ具体的に見ていきましょう。
注意点1:リゾートマンションと居住用不動産では売却時の税制上の扱いが異なる
リゾートマンション売却時には居住用不動産との税制上の違いについて注意が必要です。
まず、リゾートマンションを処分して売却益が発生した場合には、譲渡所得税・住民税が発生します。
譲渡所得税・住民税は「課税譲渡所得金額 × 税率」の計算式で求められるもので、課税譲渡所得金額は次の公式によって算出されるものです。
ここでの注意点は、リゾートマンション売却時には「特別控除制度」を利用できない可能性が高いという点。
具体的には、マイホームなどの居住用不動産を売却した際には、「3,000万円の特別控除の特例」「軽減税率の特例」「特定のマイホームを買い換えたときの特例」を利用して節税対策をできますが、リゾートマンションはこれらの控除制度の対象外だということです。
また、リゾートマンションを売却して譲渡損失が生じた場合には、「不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」を利用できません。つまり、マイホームを売却して譲渡損失が生じても給与所得などとの損益通算によって所得税を節税できるのに対して、リゾートマンション売却時の損失額を計上できるのは当期の確定申告のみなので節税効果が働かないということを意味します。
したがって、リゾートマンションを売却する際には、黒字・赤字にかかわらず税制上の優遇措置の対象外になるため、経済的な負担が重くなるということを覚悟しておきましょう。

また、不動産売却時全般の税制面の注意点として、所有期間に応じて譲渡所得税率・住民税率が異なるという点が挙げられます。具体的には、所有期間5年を超える”長期譲渡所得”なら譲渡所得税率15%・住民税率5%で済むところ、所有期間5年以下の”短期譲渡所得”なら譲渡所得税率30%・住民税率9%です。つまり、税負担だけに注目するのなら、リゾートマンションの所有期間が5年を超えたタイミングを狙って売却するのがおすすめだと考えられます。
注意点2:リゾートマンション処分にかかる諸経費に注意する
リゾートマンションを処分する際には、諸々の諸経費についても注意を払う必要があります。
なぜなら、売却によって手にする代金がそのまま利益になるわけではなく、諸費用が代金を上回ると損失が生じることになるからです。
たとえば、不動産仲介業者に依頼をして売却するなら仲介手数料、売買契約締結時に発生する印紙税、登記手続きで発生する移転登記費用、賃貸として活用するなら管理手数料、リフォーム工事を実施するなら修繕費用など、リゾートマンションを処分するためにはオーナー側が負担しなければいけないコスト項目が多数存在します。
したがって、単純に手元に入ってくる金額だけに注目するのではなく、「最終的に手元に残る金額」をチェックしてリゾートマンションの処分方法を決めましょう。
注意点3:リゾートマンションは現状のままの売却にこだわらない
持て余したリゾートマンション・別荘を処分する際には、「現状のままの引渡し」にこだわらないのがポイントです。
たとえば、「リゾートマンションは富裕層の贅沢品」という価値観だけに縛られてしまうのは時代遅れ。現在ではリゾート地に定住する目的で旧別荘を購入する人も増えているため、たとえば経済的中間層でも購入しやすいような内装にリフォームすると購入希望者層を増やすことができるでしょう。
また、相当の築年数で老朽化が進んだ別荘なら解体して更地として売却するのも選択肢のひとつ。購入者側で自由に建物をオーダーできるので土地だけの方が需要が高い可能性もあります(ただし、解体費用が発生する点にはご注意ください)。あるいは、更地なら太陽光発電などの有効活用もしやすいでしょう。
つまり、「リゾートマンション」という固定観念に縛られてしまうと有利な処分方法ができないおそれがあるということです。「リゾート地に所在するという付加価値のある不動産」という側面を一切考慮しないことまでは必要はありませんが、あくまでも「自由に使い道を決められる不動産に過ぎない」ということは胸に刻むべきでしょう。
注意点4:所有コストを考慮したうえでリゾートマンションの売却スケジュールを立てる
リゾートマンション売却時に忘れてはいけないのが、所有コストについて。売却活動が長期化するほど所有者としての負担が発生しつづけるため、お財布事情と相談しながら売却スケジュールを立てて引き際を見極める必要があります。
特に、リゾートマンションの所有コストは高額です。次の項目を合算すると年単位で数十万円~100万円以上のコストが生じるケースもあるでしょう。
- 固定資産税
- 管理人の人件費
- エレベーター・立体駐車場等の共有部分の保守点検費用・運営費用
- エントランス・廊下などの共用部分のメンテナンス費用
- 清掃費・ごみ処分費用
- 損害保険料・火災保険料
- 大規模修繕積立金
リゾートマンションは居住用不動産よりも設備面が充実している反面、これらの維持費は所有者が負担しなければいけません(たとえば、共用部分の壁面構造や調度品なども高価なものが使用されているため、「壁を補修する」だけでも居住用物件の何倍もの費用が発生することもあるでしょう)。
つまり、豪華な設備であることは売却時のアピールポイントになる一方で、リゾートマンションを手放せるまではオーナー自身が支出を強いられるということを意味します。
したがって、売り出し価格での成約にこだわりつづけると売却期間が伸びるだけマイナス計上額が増えてしまうので、収支バランスを精査した売却スケジュールをこなすように心がけてください。

不動産を所有することによって生じる負担は経済的なものだけではありません。たとえば、別荘の倒壊によって第三者に損害を与えた場合には民事上の賠償責任が生じますし、管理責任を果たさなかったとなると刑事上の責任も問われかねないでしょう。また、特定空き家に指定されるほど劣化が進むと行政上の責任も避けられません。このように、所有者である以上は法的責任も伴うため、リゾートマンションを手放したいなら早急に対策を打ち出すべきでしょう。
リゾートマンションを手放したいならノウハウ豊富な不動産業者に相談しよう
2020年以降の新型コロナウイルス感染症の影響による社会構造・ライフスタイルの抜本的な変化をターニングポイントとして、本来手放しにくいとされていたリゾートマンションに対する需要は高まっています。
とはいえ、オーナー側が売却活動において特段の工夫を凝らさなければ購入希望者層にリゾートマンションの魅力を伝えるのは簡単ではありません。
したがって、リゾートマンションの処分に困っているのなら、別荘やセカンドハウスの扱いに慣れた不動産業者のアドバイスが不可欠です。
自治体の支援やノウハウ豊富な不動産業者のサポートを受けながら、リゾートマンションの売却活動を効果的に進めましょう。
「売却の難易度が高いこと」と「売却できないこと」は同義ではありません。むしろ、不動産市場における物件の位置付けを認識することは売却活動の戦略を決める際のポイントになるでしょう。したがって、リゾートマンションのような特殊な不動産の売却を検討する際には、「どのような観点で売却活動を進めれば不動産市場からの関心を集められるか」という視点を大切にしてください。