ボロボロになった不動産でも売却できる?古い家を売る為の方法を解説します

ボロボロになった不動産でも売却できる?古い家を売る為の方法を解説します

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長年居住した実家・親から相続した田舎の空き家など、ボロボロの不動産を所有している人のなかには、「できるだけ早期に売却したい」「少しでも高値で売却したい」と考えている人も少なくはないでしょう。

ところが、古い家・ボロボロの不動産は、築浅物件などの好条件物件と比較すると市場価値が低いもの。「そもそも買主が見つからないのでは?」「希望売却価格での成約が難しそう」という不安を抱えるのも当然です。

もっとも、どれだけ不動産の状態がボロボロだったとしても、やり方・戦略次第でかならず買主を見つけることができるもの。

年々価値が下落するという建物・マンションのデメリットがあるのは事実ですが、土地は常に一定の資産価値を確保できる財産ですし、リフォーム等の方法を実践すれば上物の市場価値を高められるというメリットがあることを見逃してはいけません。

そこで今回は、ボロボロの不動産をできるだけ好条件で売却するための戦略・コツについて解説します。あわせて、古い家をいつまでも所有しつづけるリスクについても紹介するので、これからの売却活動にお役立てください。

目次

ボロボロの不動産を売却するための7つの方法

ボロボロの不動産を売却したいときに考えるべきことは”戦略”です。現在所有している古い家に適した方法を選択すれば、
かならず売主にとってより有利な条件での成約を目指せるでしょう。

ボロボロの不動産を売却するための方法として考えられるのは次の7つです。

  1. 仲介業者へ依頼
  2. リフォームして売却
  3. 更地にして売却
  4. 古家付き土地として売却
  5. 瑕疵担保保険に加入して売却
  6. 隣人に売却交渉
  7. 買取業者へ依頼

それぞれの方法ごとに、メリット・デメリット・当該売却方法が適した状況があるので、手段ごとに詳しく内容を見ていきましょう。

古い家の売却方法1:仲介業者に依頼をする

古い家の売却方法としてまず考えられるのが「不動産の仲介業者に依頼すること」です。

仲介業者とは、不動産売買の売主と買主を結びつける仲介業を営む不動産業者のこと。物件の購入希望者を募る営業活動だけではなく、成約までの各種手続きもサポートしてくれます。

もっとも、売主側が注意しなければいけないのが、「仲介業者とどのような契約を締結するか」ということ。実は、仲介契約(媒介契約)には”専属専任媒介契約”・”専任媒介契約”・”一般媒介契約”の3種類があり、どの形で契約を締結するかによって仲介業者から得られるサポートの程度などが異なります。

媒介契約の種類・内容については次のリンク先にて詳しく解説しているので、仲介業者選びにお役立てください。

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2021年7月30日
洸太郎
洸太郎

不動産売却は売主が個人だけで行うことも可能です。もっとも、特にボロボロの不動産売却を希望する場合には一定の売却ノウハウが必須、素人の売主だけでは”古い家の戦略的売却”を実現できないリスクを避けられません。どこまでのサポートを求めるかはさておき、古い家の売却を希望するならまずは専門業者に話を聞いてみるのがおすすめです。

仲介業者に古い家の売却依頼をするメリット

ボロボロの不動産売却について仲介業者に依頼をするメリットは次の3つです。

適正価格での売却価格が期待できる
仲介業者は不動産売却のプロ。リアルタイムの相場事情に精通しているので、売却希望の古い家を市場価格よりも安く買い叩かれるリスクを回避できる。
手間・労力を避けられる
契約書などの書類の作成・買主側との交渉など、成約までには売主側にも一定の作業が求められる。この大部分を仲介業者が引き受けてくれるので、売主自身が手間をかけずに売却しやすい。
積極的な広告・営業活動を期待できる
ボロボロの不動産の買い手を見つけるためには積極的な営業活動が不可欠。情報誌・Webサイトなどの多様な広告媒体を使って物件の魅力をアピールしてくれるので、成約に繋がりやすい。

このように、仲介業者に依頼すれば成約実現のために必要なあらゆるサポートを受けられるというメリットを享受できます。

売主側で何も工夫をしなければ買い手がつきにくいボロボロの不動産でも、仲介業者による手厚いフォローがあれば売却の可能性は高まるでしょう。

仲介業者に古い家の売却依頼をするデメリット

ボロボロの不動産売却について仲介業者に依頼をするデメリットは次の4点です。

仲介手数料が発生する
業者に売却を依頼する以上、仲介手数料の負担を避けられない。業者によって仲介手数料額が異なるものの、売却価格の3%~5%のコストがかかる。もっとも、仲介業者のなかには両手取引などによって手数料を無料・減額してくれるケースがあるので、直接問い合わせよう。
売却までに時間を要する
仲介業者が買主を見つけてくれるまでは売却できない以上、成約までには一定の時間を要すると覚悟しなければいけない。つまり、ボロボロの不動産を早期に売却したい人には不向き。
業者選びに失敗すると売却しにくくなる
仲介業者ごとに得意分野・サービス内容が異なる。また、なかには無許可で営業している悪徳業者も一定数存在する。売却希望の古い家の売却にマッチした業者を選ばなければいつまでも所有を強要される。不動産一括サイトなどを利用して、複数の仲介業者から目ぼしいところを見つけよう。
近隣住民に売却予定であることを知られやすい
物件の情報がネットなどに掲載されるし、内覧などのタイミングで人の出入りも盛んになる。その結果、周囲の人たちに売却予定を隠すのが難しい。

特に押さえておくべきポイントは、売却までに一定の時間を要するという点。特に、仲介業者には多くの物件情報が集まるので、物件自体の魅力が相対的に低いボロボロの不動産は他のライバル物件に比べると買主が見つかりにくいのが実情です。

したがって、古い家の売却を仲介業者に依頼する際には、「どれだけ手厚い営業活動をしてくれるのか」「仲介業者に築古物件の売却実績があるのか」などの観点を重視して業者選びに失敗しないようにしてください

なお、不動産業者の選び方のコツについては以下のリンク先にて詳しく解説しています。信頼できるパートナー選びにお役立てください。

不動産売却を成功させるための業者の選び方!信頼できる不動産会社に出会う8つの方法を紹介

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2021年8月5日

仲介業者に古い家の売却依頼をするのがおすすめの状況

以上のメリット・デメリットを考慮すると、ボロボロの不動産売却を仲介業者に依頼するのが適しているのは次のような状況の人だと考えられます。

仲介業者への売却依頼が適している状況
・不動産市場において価値の高い立地条件の物件を所有している
・古い家の売却希望時期に余裕がある
・信頼できる不動産業者を見つけられる

古い家の売却方法2:リフォームして売却する

古い家を売却するなら、ボロボロの状態の物件をリフォームしてから売却する方法が考えられます。

たとえば、築年数が古い物件では、内装がボロボロだったり排水管・水回りの劣化が激しかったりするでしょう。築古物件ならある程度状態が悪くなっているのは仕方のないことですが、あまりにも劣悪な品質条件では購入希望者が集まらないのは当然です。

そこで、汚損箇所などの物件の気になるネガティブポイントを修繕することによって、買主を購入に向けて前向きな気持ちにすることができます。

古い家をリフォームして売却するメリット

ボロボロの不動産をリフォームして売却するメリットは次の2つです。

ボロボロの不動産の状態を改善できる
壁紙・フローリング・水回り・天井など、築年数の影響を受けやすい箇所を修繕できる。経年劣化が激しいポイントが新しくなれば、それだけ買主から魅力を感じてもらえるはず。
同一条件の物件よりも有利になる
売主側で手を加えれば、その分リフォームをしていない同一築年数の物件よりも市場価値が高くなる。買い手がつきやすく、高い価格で成約しやすい。

もちろん、実際に売却を行うにあたってどこまで古い家に手を加えるべきかの判断は簡単ではありません。

売却を依頼する不動産業者に相談すれば、立地条件などの事情を総合的に考慮して「リフォームをすべきかどうか」「どの程度の修繕が好ましいか」について見積もりを出してくれるので、かならずご相談ください。

古い家をリフォームして売却するデメリット

ボロボロの不動産をリフォームして売却するデメリットは次の2つです。

リフォーム工事に費用がかかる
売主側でリフォームする場合、修繕費用は全額の自己負担。フローリングの修繕なら15万円~60万円、バスタブの交換なら14万円~20万円など、決して少なくない経済的負担を避けられない。
修繕費用を販売価格に全額上乗せできるわけではない
修繕費用を売却希望価格に全額上乗せすると売れ残るリスクがある。

参照:リフォームの内容と価格について(国土交通省HP)

このように、リフォームによって高値での売却を期待できる反面、修繕コストの負担が発生するために、どのラインに期待値を見出すかが重要となります。

たとえば、古い家に対して大がかりなリフォーム工事を行った場合について。修繕前よりも高値で売却できる可能性は高まるものの、価額の上昇がコスト補填に足りないと費用倒れになってしまいます。そして、修繕費用を全額売却希望価格に上乗せしてしまうと、あまりに高額になってしまうため、「せっかくリフォームをしたのに買い手が現れない」という事態にもなりかねません。

その一方で、ボロボロの不動産にほとんど手を加えずに売りに出した場合、高額なリフォーム費用の負担は避けられても、市場において魅力的だとは評価されないでしょう。

したがって、古い家をリフォームして売却する場合には、「どこまで手を加えるか」の判断が重要だと考えられます。市場動向に精通した専門業者の判断を仰いてください。

古い家をリフォームするのがおすすめの状況

以上のメリット・デメリットを考慮すると、ボロボロの不動産をリフォームしてから売却するのが適しているのは次のような状況の人だと考えられます。

古い家をリフォームしてから売却するのに適している状況
・現状のままでは買い手がつかないほど物件がボロボロ
・解体するほど劣化・損傷が進んでいない
・相続によって物件を取得した場合など、複数名でリフォーム費用を折半できる
洸太郎
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不動産業者のなかには、リフォーム工事と物件売却を両方引き受けてくれる会社も。見積もりから販売の流れがスムーズになるので、ご興味の方は各社HPなどをご参照ください。

古い家の売却方法3:建物を解体して土地だけで売却する

家屋自体がボロボロになってしまっている状況なら、建物を解体して土地だけで売却するのも選択肢のひとつです。

たとえば、物件の老朽化が進んでいたり、梁がシロアリ被害を受けて倒壊リスクがあったりする状況では、寿命が近づいている建物をそのままの状態で売却するのはかなり厳しいでしょう。とはいえ、修繕するにも大がかりな費用投下が必要なため、将来的に売却することを想定するのなら修繕という選択肢は不適切です。

上物を解体して土地だけで売却すれば、「どうすれば寿命の近い建物を高く売れるだろう?」と頭を悩ませる必要はありません。実勢価格(不動産取引価格情報検索などを参照)からある程度客観的な指標を基準にして成約を目指せるでしょう。

洸太郎
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古い家が建ったままだと全体として売却せざるを得ませんが、土地だけなら分割して買主を募ることもできます。たとえば、土地が広すぎると固定資産税などのコストが発生するので、分割した方がターゲットが広がるはず。もっとも、土地の分割によって市場価値が低下するリスクもあるので、柔軟な判断が求められます。

古い建物を解体して土地だけで売却するメリット

古い建物を解体して土地だけで売却するメリットは次の4つです。

買い手がつきやすくなる
土地だけの売却によって流動性が高くなる。たとえば、マイホームを新築する人の多くは更地を探していることが多い。また、更地なら商業用に活用する道も拓ける。古い家がなくなるだけで買い手の選択肢が飛躍的に広がる。
建物の管理に頭を悩ませる必要がなくなる
買主に建物を引き渡すまでは売主が目的物の管理責任を負う。古い家の管理には手間・コストがかかるので、解体によってこれらの負担から解放される。
倒壊リスクから解放される
ボロボロの不動産のなかには、老朽化が深刻でいつ倒壊するか分からない状況のものも。倒壊すると周辺住民への賠償義務が発生するだけではなく、所有者自身が刑事罰を負う可能性もある。いつ自然災害が起こるとも限らないので、解体によってこれらのリスクを回避できるのは大きなメリット。
市場動向を踏まえて土地を分割して売却できる
建物は分割して売却できないが、土地なら柔軟に分割可能。

ボロボロの古い家は所有をしつづけるだけでリスクしかありません。

解体によってこれらのリスクから解放されるだけでなく、流動性の高い土地の売却活動だけに専念できます。

古い建物を解体して土地だけで売却するデメリット

古い建物を解体して土地だけで売却するデメリットは次の4つです。

解体費用が発生する
高額な解体費用が発生する。構造・広さ・立地条件などによって負担額は変わるが、100万円以上になるのが一般的。
残置物を除去する手間がかかる
建物内にそのままになっている残置物を片付ける必要がある。遺品整理・引越し作業・中古品買取には時間がかかるので、余裕をもって準備を進めよう。
固定資産税・都市計画税が高くなる
「特定空き家」に指定されていない限り、建物があることによって土地の固定資産税は最大1/6、都市計画税は最大1/3に減額されている。解体工事で建物が処分されることによって、税金の負担が重くなる。
解体によって売りにくくなるリスクもある
新築のために更地を探している買主が対象になる反面、リフォーム物件を探している人・自分で物件をDIYしたい人などがターゲットから外れる。特に、昨今のセルフリフォームの流行りを考えると、安易に解体すると逆に買い手が見つからなくなるので、解体前の事前判断がポイント。

解体工事に着手してしまうと、二度と建物を元の状態に戻すことができません。

「せっかく解体したのになかなか土地の買い手が見つからない」という後悔を避けるためにも、建物を解体すべきか否かには慎重な判断が求められます。

古い建物を解体して土地だけで売却するのがおすすめの状況

以上のメリット・デメリットを考慮すると、ボロボロの不動産を解体して土地だけを売却するのが適しているのは次のような状況の人だと考えられます。

古い建物を解体して土地だけを売却するのに適している状況
・倒壊リスクが高い
・経年劣化が深刻で膨大な修繕コストが必要
・土地の立地条件に魅力がある
・早期に売却を実現したい
洸太郎
洸太郎

建物を解体したときには、1カ月以内に建物滅失登記を申請しなければいけません。申請忘れがあると過料が科されるので、すみやかに法務局にて所定の手続きを踏んでください(詳細は法務局HPをご参照ください)。

古い家の売却方法4:古家付き土地として売却する

“古家付き土地”とは、経済的な価値がほとんどない建物が所在する土地のこと。「古い家と土地を売る」のではなく、「古い家が付いている土地を売る」というイメージが分かりやすいでしょう。

どの程度の老朽具合から”古家”とするかについて明確な基準はありません。法定耐用年数を参考にする場合もあれば、不動産の現状を実質的に判断して古家として扱う場合もあり、売り手側の裁量次第です(一般的には「築20年」が目安とされることが多い)。

したがって、売主側が古家付き土地として売却をしたとしても、買主側が購入後にリフォームをして居住することも可能なので、上物の今後の扱いについて買主側に委ねる売却方法だと考えられます。

古家付き土地として売却するメリット

ボロボロの不動産を古家付き土地として売却するメリットは次の4点です。

買主候補のターゲット層が広い
更地にしてマイホームを新築したい人・古家をリフォームして活用したい人のどちらもが対象になるので買い手を見つけやすい。
売主側が解体費用を負担する必要がない
古家付き土地として売却する場合には、古家の解体費用・整地費用などは買主負担になる。現状のまま引き渡せるので、売主側のコスト負担を大幅に軽減できる。
固定資産税・都市計画税が安いまま売却できる
建物を解体すると土地に課される税金が最大6倍になるので売却活動に時間がかかると経済的負担が重くなるが、古家付き土地のままなら税制上の優遇を受けつづけられる。
住宅ローンの融資対象になる
更地にして土地だけを購入する場合、買主は住宅ローンを利用できないことが多い。古家付き土地の状態なら住宅ローンの融資対象になるので、買主の経済的負担にも配慮できる。

ボロボロの不動産を古家付き土地として売却する最大のメリットは、売主側のコスト負担が大幅に軽減できること。上物をリフォームするのなら修繕費用が発生しますし、更地にするのなら解体費用がかかります。

しかし、古家付き土地は現状そのままで所有権移転を目指すもの。わざわざ売主側でボロボロの古い家に手を加える必要はありません。

リノベーションの流行も踏まえると、古家付き土地の需要はますます高まっていると考えられるので、手軽に不動産市場に流通させられる古家付き土地は売主負担を大幅に軽減できる売却方法だと考えられます。。

古家付き土地として売却するデメリット

ボロボロの不動産を古家付き土地として売却するデメリットは次の3点です。

売価が安くなる
古家付き土地では、買主側が解体費用・リフォーム費用を負担することが予定されている。したがって、その分売値が低いのが一般的な市場動向であり、かつ、買主側から強気に交渉されやすい。
契約不適合責任(瑕疵担保責任)を問われるリスクがある
曖昧な契約条件のまま引き渡しをしてしますと、地中残存物などについて売却後に契約不適合責任(瑕疵担保責任)を問われて撤去費用等について賠償請求されるリスクがある。契約内容には留意しよう。
立地条件次第では買い手が見つかりにくい
エリア特性によっては古家付き物件の人気がない場合もある。たとえば、高級住宅街などでは建替え需要が高いため、古家付き土地よりも更地の方が好まれやすい。不動産の所在する地域事情も考慮して売却方法を選択しよう。

古家付き土地として売却する場合の注意点は契約不適合責任(瑕疵担保責任)について。地中の残存物を撤去する費用が発生した場合には損害賠償請求をされるおそれがありますし、埋設物が原因でマイホームを建設できないような状況なら契約を解除されるリスクもあります。

したがって、古家付き物件を売却する際には、契約不適合責任についての免責条項を契約書に盛り込むことを忘れてはいけません。

古家付き土地として売却するのがおすすめの状況

以上のメリット・デメリットを考慮すると、ボロボロの不動産を古家付き土地として売却するのが適しているのは次のような状況の人だと考えられます。

古家付き土地として売却するのに適している状況
・法定耐用年数を過ぎているなど、建物自体にほとんど価値が認められないケース
・解体費用が土地の査定額を超えてしまう
・古民家など、建物自体に文化的な価値が認められる(投資対象になり得るから)
・建築基準法改正や市街化調整区域指定が原因で再建築が不可能なケース
洸太郎
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古家付き土地として売却する際には、解体費用・リフォーム費用・整地費用などを買主側が負担することになるため、金額条件面で厳しい交渉が行われるのが一般的です。買主側からのリクエストに適切に応えるため、売主側でも各種費用について説得的な回答を準備したうえで、買主側の納得を得られるように交渉を進めましょう。

古い家の売却方法5:既存住宅瑕疵担保責任保険に加入する

ボロボロの不動産をスムーズに売却するためには、既存住宅瑕疵担保責任保険に加入するのがおすすめです。

既存住宅瑕疵担保責任保険とは、中古住宅の売却時における売主側の瑕疵担保責任に対する保険のこと。売却後に露見する隠れた瑕疵に対する売主の賠償責任を保険でカバーするというものです。

注目すべきポイントは、どのような物件所有者でも加入できるものではなく、登録事業者(住宅専門の保険会社)による検査に合格した中古住宅だけが加入できるという点。つまり、既存住宅瑕疵担保責任保険に加入していること自体が、中古住宅の品質について一定の評価基準を充たしている証拠となります。

したがって、買主側からすると、築年数等の条件が劣る古い家でも既存住宅瑕疵担保責任保険に加入できていることが安心材料となりますし、売却後のトラブル回避にも役立つことからも購買意欲が高まると考えられるでしょう。

参照:既存住宅売買瑕疵保険について(国土交通省HP)

ボロボロの不動産売却で既存住宅瑕疵担保責任保険に加入するメリット

古い家を売却するときに既存住宅瑕疵担保責任保険に加入しておくメリットは次の2点です。

厳しいインスペクション(建物状況調査)を経ているので買主の信頼を得られる
建築士資格を保有する専門の調査技術者によるインスペクションをクリアしているので、ボロボロの不動産でも一定の信頼を得られる。中古物件市場では、既存住宅瑕疵担保責任保険への加入を指針のひとつに掲げる買主も少なくない。
契約後のトラブルにも保険対応できる
契約後に住宅に瑕疵が見つかった場合にも補修費用・賠償費用等を保険でまかなえる。

住宅瑕疵担保責任保険法人は次の5社です。各社ごとに保険料や保険の内容に違いがあるので、加入前に以下のリンク先から直接お問い合わせください。

  • 株式会社住宅あんしん保証
  • 住宅保証機構
  • 株式会社日本住宅保証検査機構(JIO)
  • 株式会社ハウスジーメン
  • HOUSE PLUS
  • ボロボロの不動産売却で既存住宅瑕疵担保責任保険に加入するデメリット

    古い家の売却時に既存住宅瑕疵担保責任保険に加入するデメリットは次の2点です。

    保険料が必要
    保険法人や保証範囲によって費用は異なるが、一般的には6万円~8万円程度の保険料が必要。
    すべての古い物件が加入できるわけではない
    原則として、既存住宅瑕疵担保責任保険に加入できるのは1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた新耐震基準を充たす物件のみ。これに加えて現場検査にも合格する必要があるので、ボロボロの不動産のなかには加入できない物件もある。
    すべての瑕疵を保証するわけではない
    既存住宅瑕疵担保責任保険でカバーできるのは、原則として構造上主要な箇所及び雨水の侵入防止箇所のみ。オプションで保証範囲を拡大できるが、別途保険料の納付が必要。

    たとえば、雨漏り箇所がある場合などでは、既存住宅瑕疵担保責任保険加入のインスペクションに通るために修復工事が必要です。しかし、そのコストに数十万円以上かかるのであれば、仮に成約したとしても費用倒れになるリスクを避けられません。

    それならば、古家付き土地として売りに出し、購入希望者との間で瑕疵担保責任免責条項を加えた契約を締結するのがスムーズだと考えられます。

    このように、不動産の老朽化次第では、かならずしも既存住宅瑕疵担保責任保険に加入することが成約への近道になるわけではないということを覚えておきましょう。

    ボロボロの不動産売却で既存住宅瑕疵担保責任保険に加入するのがおすすめの状況

    以上のメリット・デメリットを考慮すると、古い家を売却するときに既存住宅瑕疵担保責任保険に加入するのが適しているのは次のような状況の人だと考えられます。

    古い家の売却時に既存住宅瑕疵担保責任保険への加入が適している状況
    ・リノベーション使用を目的とした買主を募りたい
    ・成約後のトラブルを回避したい
    ・できるだけ早期に買い手を見つけたい

    古い家の売却方法6:隣人に交渉する

    ボロボロの不動産を売却する場合、どれだけ熱心に仲介業者が営業・広告活動をしても買主が見つからないことも。どれだけ老朽化が進んでいるとはいっても売買目的物は不動産、かなりの金額のお金が動く以上、どうしても成約に至る買主と出会えるかは運に左右されます。

    そのときに選択肢のひとつとして検討すべき方法は、隣人との交渉です。地域の特性・雰囲気を重々承知した隣人であれば、土地と縁がない一般の第三者よりも前向きに購入を検討してくれる可能性があります。

    洸太郎
    洸太郎

    隣人との間で交渉をするときは、状況次第では”無償譲渡”も視野に入れましょう。もちろん、無償譲渡は売却価格を取得できないというデメリットはありますが、ボロボロの不動産の管理コスト等から解放されるというメリットを得られます。したがって、長期化する売却活動を終わらせたいときには、最終手段として隣人への譲渡も視野にいれておくのがおすすめです。

    古い家の隣人に売却交渉するメリット

    ボロボロの不動産売却について隣人と交渉するメリットは次の2点です。

    買主探しにかかる労力・時間を節約できる
    仲介業者に依頼する場合、数カ月以上(場合によっては何年も)買い手が見つからないということにもなりかねない。最初から隣人にターゲットを絞れるので、成約までの近道になり得る。
    土地の連続した隣人との交渉なら成約率が高い
    隣り合った不動産を購入できることは隣家にとってもメリットが大きい(所有地を広げられる・自宅を増築できる・地価が上昇するなど)。その結果、縁故のない一般の人よりも成約の可能性が高まる。

    このように、隣人に購入意思があるのなら、仲介業者に依頼をして一般から買い手を探すよりも大幅に成約までの時間を短縮できます。

    実は、隣人側からしても「隣の土地は多少高くても買っておくべきもの」といわれるほどの優良物件。占有面積が増える・不整形地を整形地にできることなどによる地価上昇などの恩恵を受けられるだけではなく、近隣トラブルや隣接地でコンビニなどが営業することを避けられるというメリットも得られます。

    したがって、なかなか買い手がつかずに困っている状況なら、選択肢のひとつとして隣人の存在を頭に入れておきましょう。

    ただし、不動産の売却をする以上は最低限の諸手続きを踏まなければいけません。隣人同士の売買でも専門家に間に入ってもらうのがおすすめです。

    古い家の隣人に売却交渉するデメリット

    ボロボロの不動産売却について隣人と交渉するデメリットは次の2点です。

    強気な交渉で大幅な値引きを迫られる可能性がある
    顔を見知った隣人との交渉になると、どうしても強気な値段設定がしにくいという傾向が。相手方が相場を下回る交渉をしてきたとき、状況・関係性次第では断りにくい。
    いい加減な口約束をしてしまうと売却後にトラブルが発生するリスクがある
    特に、古い物件のメリット面ばかりを強調し過ぎると引き渡し後に契約不適合責任を問われ得る。本来ならば細かい条項設定をした売買契約書を作成すべきだが、隣人間だと曖昧なまま手続きを進めてしまい、結果としてトラブルに巻き込まれかねない。

    売却手続きを短縮できるというメリットは、実はデメリットの裏返しでもあります。これまでの隣人との関係性が適切な契約交渉を阻害する可能性があるので、場合によっては不利な条件での契約を強いられることもあるでしょう。

    たとえば、「なかなか買い手が見つからない」「いそぎで売却してしまいたい」など、売主側の切迫した事情を見せてしまうと、足元を見られてしまいます。

    もっとも、隣の土地を購入する買主側のメリットに目を向けたとき、交渉次第では相場よりも高値で売却できる可能性があるのも事実です。

    したがって、隣人にボロボロの不動産を売却するときには、特に売却交渉の進め方が重要と考えられます。客観性を担保しつつ不利な条件を強いられないためにも、かならず専門家などの第三者を間に挟んで慎重に手続きを進めましょう。

    洸太郎
    洸太郎

    仲介業者への依頼と同時に隣人との売却交渉をする場合には、仲介業者との間で締結した契約内容に留意しなければいけません。専属専任媒介契約なら売主が個人で買主を見つけることさえも禁止されるのでご注意ください。

    古い家の隣人に売却交渉するのがおすすめの状況

    以上のメリット・デメリットを考慮すると、古い家の売却を隣人と交渉するのが適しているのは次のような状況の人だと考えられます。

    古い家の売却を隣人と交渉するのがおすすめの状況
    ・早期に売却を実現したい
    ・隣人との関係性が比較的良好(過去に大きなトラブルが発生していないこと)
    ・仲介業者への依頼が長期化して買い手が集まっていない

    古い家の売却方法7:買取業者に依頼をする

    特にボロボロの不動産の場合、仲介業者に依頼をしてもかならず買主が見つかるとは限りません。リフォームをする・古家付き土地として売却するなどの策を凝らしたとしても成約の確約が得られないのは同様です。

    そこで、ボロボロの不動産を確実に売却したいのなら、最終手段として買取業者に依頼する方法が考えられます。

    買取業者とは、自身が物件の買主になってくれる不動産業者のことです。仲介業者に依頼をしても買主が見つかるまでは古い家を所有しつづけなければいけませんが、買取業者ならどのような状況の不動産でもかならず買い取ってくれるので所有リスクから解放されます。

    なお、買取業者については以下のリンク先で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

    不動産の売却は「仲介業者」と「買取業者」どちらが良い?それぞれのメリット・デメリットを解説

    不動産の売却は「仲介業者」と「買取業者」どちらが良い?それぞれのメリット・デメリットを解説

    2021年7月30日

    古い家の売却を買取業者に依頼するメリット

    ボロボロの不動産売却について買取業者に依頼するメリットは次の4点です。

    すぐに売却できる
    不動産買取は業者自身が買主になってくれるもの。「早期・確実」に売却して不動産を現金にできる。
    仲介手数料がかからない
    仲介業者には売価の数%の手数料を支払わなければいけないが、不動産買取には”仲介”という概念が存在しないので、売主から業者に支払う費用は発生しない。
    ボロボロの不動産を現状のまま売却できる
    購入した古い家をどのように扱うかは買取業者が決める。売主側でリフォーム・解体などの手間をかける必要はない。内覧準備や広告活動も省略できる。
    近所の人に知られない
    買取業者と直接交渉して売却するだけなので、売り物件になっていることを近隣住民に知られずに済む。

    買取業者に依頼する最大のメリットは「売却できない」という事態を回避できるということ

    しかも、早期の売却が確約されているので、金策に迫られている所有者にはありがたい存在だと言えるでしょう。

    古い家の売却を買取業者に依頼するデメリット

    ボロボロの不動産売却について買取業者に依頼するデメリットは次の2点です。

    買取価格が低くなる
    即決で買い取ってくれる代償として、成約価格は市場価格の7割~8割程度になるのが一般的。ほとんど交渉の余地もないので、売主側も希望価格では売却しにくい。
    不動産の老朽化次第では買取対象外になることもある
    買取業者ごとに買取可能不動産の範囲が異なるため、不動産の状態次第では取り扱ってくれないリスクもある。特に、マンションではなくボロボロの一軒家の場合には業者選びがポイント。

    不動産買取業者は、依頼者から物件を購入した後、自らリフォーム等の措置を加えて転売することで収益を上げることを目的としています。

    そのため、転売時の想定価格を想定したうえでの買取になるため、市場価格通りでは購入してくれません。仲介業者に依頼して買主を募る場合に比べて2割~3割程度ディスカウントされるのが一般的です。

    したがって、できるだけ高値での売却を希望する売主にとっては、買取業者への依頼はおすすめできません。

    洸太郎
    洸太郎

    仲介業者のなかには、一定期間売れ残った物件を自社で買い取ってくれ”買取保証サービス“を提供してくれるところがあります。これを利用すれば、「まずは市場で高値取引を狙い、成約に至らなかった場合には業者に買い取ってもらう」という二段構えの売却活動を狙うことが可能に。「買取業者に依頼をしなかったらもっと高値で売却できたはずなのに」という後悔を避けられるので、売却期間にある程度余裕がある人はご検討ください。

    古い家の売却を買取業者に依頼するのがおすすめの状況

    以上のメリット・デメリットを考慮すると、古い家の売却を買取業者に依頼するのが適しているのは次のような状況の人だと考えられます。

    古い家の売却を買取業者に依頼するのがおすすめの状況
    ・早期に売却を実現したい
    ・売却価格にはこだわらない
    ・物件の劣化具合が厳しく一般の買い手が見つからないことが想定できる

    ボロボロの不動産を早期に売却すべき理由は3つ

    「不動産には一定の資産価値があるからできるだけ所有しておいた方が得なのでは?」という考えから、不動産がどれだけボロボロになっても所有にこだわる人は少なくありません。

    確かに、不動産の価値がどんどん上昇するような時代においてはできるだけ所有をつづけて売却時期を見定めて利益を出すという手法は成立します。しかし、現在の経済状況等では「放っておいても勝手に資産が増える」という理屈は不動産業界には通用しません。特に、ボロボロの不動産の場合には、所有するだけで負担が発生するため、できるだけ早期に売却処分した方が得策だと考えられます。

    古い家・ボロボロの不動産を早期に処分すべき理由は次の3点です。

    1. 古い家は所有コストがかかる
    2. 古い家はトラブルが発生するリスクが高い
    3. 古い家は住んでいなくても管理責任を問われる

    それでは、各デメリットについてそれぞれ見ていきましょう。

    古い家を所有するだけでコストが発生する

    現在居住していない古い家でも、「住んでいないからお金がかからない」というわけではありません。

    不動産である以上、所有するだけで次のようなコストが発生します。

    • 固定資産税・都市計画税
    • 光熱費(水道代・ガス代・電気代)の基本料金
    • 火災保険・地震保険など
    • メンテナンス費用(外装や配管等の修繕費・草むしり代・庭の剪定費用・除雪費用など)
    • 維持費(マンションの管理費・修繕積立金・町内会費など)

    引用元:【空き家の5つの処分方法】いらなくなった空き家を放置するデメリットと売れない時の対処法も解説

    これらの費用を合算すると、物件の広さなどの条件にも左右されますが、年間数十万円以上のコスト負担が発生します。

    住んでもいないのに毎年これだけの支出を強いられることを避けたいのなら、できるだけ早期に売却に向けて動き出しましょう。

    古い家はトラブルが発生するリスクが高い

    ボロボロの不動産を放置したままだと、次のようなトラブルに巻き込まれるリスクがあります。

    • ゴミの不法投棄の温床になる
    • 放火・不法侵入などの犯罪のターゲットにされる

    居住者の気配のない不動産は地域の治安が悪化する要因にもなりかねません。

    犯罪等に巻き込まれると面倒ですし、近隣住民からの苦情にも悩まされることになるので、トラブル回避のために早期の売却をおすすめします。

    古い家に住んでいなくても管理責任を問われる

    実は、現在居住していなくても管理責任は物件の所有者にあります。

    管理責任があるということは、ボロボロの不動産が原因で何かしら問題が発生した場合に法的責任を負うということです。被害状況次第では、年間の維持費とは比較にならないくらい高額の金銭負担を強いられます。

    ボロボロの不動産所有者が問われ得る法的責任は次の通りです。

    民事上の損害賠償責任

    たとえば、空き家の石垣が崩れて隣家の塀や自動車などを壊してしまったとき、工作物の所有者(占有者)として損害賠償責任を負う。怪我をさせてしまったなら、治療費・入院費だけではなく、休業損害などの負担も強いられる。
    行政代執行に基づく費用負担

    たとえば、空家等対策の推進に関する特別措置法における”特定空き家”に指定されるような状況では、行政代執行によって危険物の除去等の工事が行われることがある。この場合、最終的には工事にかかった費用は所有者負担。
    刑事責任

    たとえば、古い家の倒壊・屋根瓦の落下などによって誰かを怪我させてしまった場合、所有者が過失致傷罪等の刑事責任を問われるリスクがある。

    台風・地震などの災害が多い日本では、いつボロボロの不動産が火種となって想像以上の法的責任を問われるかわからない状況です。

    これらの法的責任が発生すると今後の人生をも左右することになりかねないということを覚えておきましょう。

    特に、処分に困っているボロボロの不動産が次のような状況にあるのなら、できるだけ早期に売却手続きに着手した方が賢明です。

    • 倒壊等著しく保安上危険な状態にある建物
    • 衛生上、著しく有害となる恐れがある状態
    • 適切な管理が行われていないことによって、著しく景観を損なわれている状態
    • その他周辺の生活環境の保全に不適切な状態であること

    引用元:築古物件を売却する時の注意点は?ポイントをおさえて高値で売却を目指そう

    ボロボロの不動産を売却するときの注意点は4つ

    使い道のないボロボロの不動産は早期に売却した方が所有者にメリットが大きいことはここまで述べた通りですが、実際に売却を行う際には、次の3つの注意点を踏まえて売却活動を行うようにしてください。

    1. 売却によって発生する税金について
    2. 家財道具などの残置物の処遇について
    3. 自治体による補助金制度について
    4. 土地の境界確定について

    それでは、各注意点について見ていきましょう。

    古い家でも売却すれば税金が発生する

    不動産を売却するときに気をつけなければいけないのが税金のこと。どれだけ古い家を売却したとしても、次のような税金・手続き費用が発生します。

    印紙税
    不動産売却の場合には、売買契約書に収入印紙を添付しなければいけない。
    登録免許税
    所有権移転登記や相続登記など、不動産売買では物件の登記名義の変更を要するのが通常。登記手続きには固定資産税評価額に応じて登録免許税が課される。
    譲渡所得税・住民税・復興特別所得税
    売却によって譲渡所得が発生した場合、所有期間に応じて(5年以内なら短期譲渡所得・5年以上なら長期譲渡所得)課税される。取得費や経費を差し引いたうえで譲渡所得が発生しない場合には非課税。

    もっとも、居住用住宅を売却した場合における3,000万円までの譲渡所得については税制上の特例優遇措置の対象になるので、制度を上手に活用すれば節税の余地は残されています。

    節税を受けるための要件については、「No.3302 マイホームを売ったときの特例(国税庁HP)」をご参照ください。

    洸太郎
    洸太郎

    他にも、遺言書で不動産を取得するなど、相続によって取得したボロボロの不動産を売却するときに利用できる「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例なども制度化されています。物件を取得した状況に応じて上手に制度を使い分けましょう。なお、相続によって取得した親名義の不動産の売却方法については以下のリンク先にて詳しく解説しているのであわせてご参照ください。

    親名義の不動産を売却する方法はある?状況別に必要な手続きや売却の流れを解説します

    親名義の不動産を売却する方法はある?状況別に必要な手続きや売却の流れを解説します

    2021年9月1日

    事前に家財道具の処分方法を考えておく

    古い不動産を売却する際には、事前に家財道具などの残置物についての扱いを決めておく必要があります。

    たとえば、仲介業者に依頼するときには、内覧に備えて中身を片付けておかなければいけません。見栄えが悪い状態では、購入希望者のイメージが悪くなり、成約に繋がりにくいからです。

    したがって、内見までに清掃したり、遺品整理業者・中古品買取業者などに依頼をしたりして、物件内の整理整頓を行いましょう。

    なお、仲介業者によっては、不動産物件内の物を預かってくれるサービスを提供しているところも。残置物等の処分が間に合わない場合には、このような付帯サービスを活用するのも賢い方法です。

    洸太郎
    洸太郎

    買取業者のなかには、物件の残置物についてもそのまま引き取ってくれるところがあります。「まとめて査定してもらいたい」「片付けに時間を取られるのは嫌だ」と希望する売主におすすめです。

    自治体によっては補助金が出る場合もある

    古い家を売却するときに押さえておくべきポイントは、各自治体が提供している補助金制度について。空き家の数を減らすことを目的として、居住者が集まりやすくなるように、各種助成制度を用意しています。

    老朽危険空家除却費用の助成制度(東京都杉並区)
    老朽化が激しい物件につき、150万円までを上限に解体除去工事費用の80%を助成。
    空き家リフォーム補助金(土岐市)
    空き家入居者が所定のリフォーム工事等に要した費用につき、5万円~100万円の範囲で助成。
    空き家リフォーム助成金(総社市)
    空き家のリフォーム工事につき30万円(平成30年7月豪雨の被災世帯については上限50万円)を助成。

    引用元:【空き家の5つの処分方法】いらなくなった空き家を放置するデメリットと売れない時の対処法も解説

    自治体からの補助金制度が用意されていることは、買主へのアピールポイントとして利用できます。

    たとえば、購入後にリフォーム・解体するときに補助金を活用すればコスト負担を抑えられるなら、売主側の売却希望価格での成約につながりやすいでしょう。

    洸太郎
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    他にも、”空き家バンク“による不動産のマッチングサービスなど(空き家・空き地バンク総合情報ページ)、各自治体ごとに不動産の売却・賃貸活動に対してサポート体制を整えています。業者への相談だけでは不安な場合には、物件が所在する地域の役所相談窓口までお問い合わせください。

    境界が曖昧な不動産は売却前に専門家に相談しよう

    たとえば、親からの遺言書で今まで知らなかった田舎の土地が相続財産に含まれていることが判明するようなケースもあるはず。承継した荒れ放題の土地を実際に見てみたところ、どこまでが自分の土地かが明確ではないという場合も少なくありません。

    ただ、どれだけ土地がボロボロの状態でも、売却する以上は「どこまでが所有権の及ぶ範囲か」を明確にする必要があります。隣人の土地・道路との境界が曖昧な状態で売却をしてしまうと、買主が不測のトラブルに巻き込まれるリスクが生まれるからです。

    そこで、不動産の境界線が曖昧な場合には、次の3つの方法を利用して境界確定を行いましょう。

    1. 法務局で調べる(登記記録・地図・地積測量図などを参照)
    2. 測量士に計測してもらう
    3. 土地家屋調査士に依頼する

    費用はかかりますが、手間なく確実に土地の境界確定を行えるという意味において専門家への依頼がおすすめです。不動産に対する所有権の範囲が明確にならないうちは本腰を入れて売却活動に力を注ぐこともできないので、できるだけすみやかに境界確定に着手しましょう。

    ボロボロの不動産を売却するなら不動産業者にすみやかに相談しよう

    古い家の売却でかならず押さえておかなければいけないのが、所有者自らが物件に手を加える前に専門の不動産業者に今後の展望についてアドバイスを求めるということです。

    たとえば、「綺麗な状態の方が買主が見つかるだろう」という安易な考えから大規模なリフォームを行ったとしましょう。もし、不動産の立地条件が悪く築浅物件でも買主を見つけるのが難しい状況だとすると、リフォームに投じた費用が無駄になりかねません。また、リフォームに投じた費用を全額売価に上乗せすると市場価格を大幅に上回ってしまう状況なら、そもそも買い手が見つからないリスクも発生します。

    不動産売却で大切なのは、「諸般の事情を総合的に考慮して、どのような方向性で効果的に売却活動を行うかを適切に見定めること」です。しかも、売主側も希望内容・リアルタイムの市場動向などはケースバイケース。物件ごとに最適な選択肢は異なることからも、素人考えで安直に不動産に手を加えるのは避けるべきです。

    したがって、ボロボロの不動産の売却を考えているのなら、まずは専門の不動産業者への相談からはじめてみましょう。インターネットの不動産一括サイトなどを利用すればいくつか候補が見つかるはずなので、気になる業者にお問い合わせください。

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ABOUTこの記事をかいた人

30代、フリーランスライター・翻訳家。マイホーム購入のタイミングで不動産に興味をもつ。現在は関西の山奥で田舎暮らしを満喫しながら、めぼしい中古物件をリサーチする毎日。不動産関連の知識を深めながら、国内外問わず良い物件との出会いを待ち望んでいます。