シロアリ被害を受けた家でも売却は可能?被害を受けた不動産の売却方法と注意点を解説

シロアリ被害を受けた家でも売却は可能?被害を受けた不動産の売却方法と注意点を解説

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シロアリ被害を受けた不動産でも売却できます。

ただ、シロアリ被害は不動産の安全性を毀損する重大な瑕疵となるものです。「シロアリ被害にあった不動産を売却したい」「被害状況が深刻なままでは買主が見つからなさそう」など、今後の売却可能性について不安に感じるのは当然のこと。また、シロアリ被害を受けている不動産に対して、購入希望者層がネガティブな印象を抱くという実情も変えがたいものでしょう。

そこで、今回は、シロアリ被害を受けた不動産を売却する方法を5つ紹介します。あわせて、シロアリ被害のような深刻な瑕疵を有する物件を売却する際の注意点についても解説するので、最後までご一読ください。

シロアリ被害の不動産を売却する方法は5つ

シロアリ被害を受けたからといって売却を諦める必要はありません。

むしろ、通常の不動産を売却するときよりも与えられている選択肢は広いです。以下の5つの方法のなかから、自分の経済状況・売却手続きへの希望などに照らして適切な手続きを選択してください。

  1. シロアリ被害の不動産をそのままの状態で売却する
  2. シロアリを駆除した後に売却する
  3. シロアリ被害を受けた箇所を修繕してから売却する
  4. シロアリ被害を受けた不動産を解体して更地として売却する
  5. 訳あり物件買取業者に相談をする

それでは、シロアリ被害の不動産を売却する方法について、それぞれ具体的に見ていきましょう。

シロアリ被害の物件売却方法1:そのままの状態で売る

シロアリ被害を受けた不動産でも、そのままの状態で買主を探すことは可能です。「シロアリ被害の物件をそのままの状態で売却してはいけない」というルールは存在しません。したがって、何の欠陥も抱えていない普通の不動産と同じように、仲介業者に売却活動を依頼するか直接買主を見つけるという流れとなります。

ただし、シロアリ被害を受けた不動産は、不動産の査定額を左右する安全性・耐久性という面で問題を抱えているという点を忘れてはいけません。つまり、普通に買主を募集したところで、そう簡単に「シロアリ被害の不動産を購入したい」という人は見つからないでしょうし、大幅な減額交渉を求められる可能性も高いでしょう。

シロアリ被害の不動産をそのままの状態で売却するメリット
・手間暇をかけずにそのままの状態で売りに出せる。
・古家付き土地・大規模修繕可能物件として売却すれば、リフォーム前提で考えている購入者には魅力的に映る。
シロアリ被害の不動産をそのままの状態で売却するデメリット
・シロアリ被害が深刻だと買い手がつかない可能性が高い。
・大幅に値引きされた価格でしか売却できない。

シロアリ被害の物件売却方法2:駆除した後に売る

シロアリ被害を受けた物件について、シロアリを駆除した後に売却すれば普通の不動産として市場に出すことができます。

シロアリの駆除は所有者自身で行うことも可能ですが、素人だけでは物件全体のケア・今後の予防措置をとるのは難しいでしょう。そのため、専門の害虫駆除業者に依頼をして、抜本的なテコ入れをしてもらう必要があります。業者によって施工方法は異なりますが、専用薬剤を頒布・木材支柱にドリルで穴を開けて幼虫まで根絶するという手段がとられるのが一般的です。

現在、日本の居宅に悪影響を及ぼすシロアリは、主に、ヤマトシロアリ・イエシロアリ・アメリカカンザイシロアリの3種類。それぞれの特性に応じた処置を施す必要があるため、不動産の資産価値を安定的に回復するためにも、かならず害虫駆除業者に依頼をしてください。

ただし、業者ごとに駆除費用・施工方法などに違いがあるため、不安がある方は複数業者に査定依頼を出すか、公益社団法人日本しろあり対策協会まで事前に確認して疑問点を払拭しましょう。

シロアリ業者の種別 施工費用の目安(坪単価)
大手・JA(農協) 10,000円~
中規模事業者・地域密着系 5,000円~10,000円
ホームセンター系・フランチャイズ系 3,000円~5,000円
小規模・個人経営 2,000円~5,000円

※建物の構造・階数・被害レベル・その他手数料などに応じて施工範囲が異なる

シロアリ被害物件を害虫駆除業者に依頼するメリット
・シロアリ被害を根絶・予防することによって不動産としての資産価値を回復できる。
・そのままの状態で売却するよりも瑕疵の程度が軽減されているので売却可能性が高まる。
シロアリ被害を害虫駆除業者に依頼するデメリット
・シロアリ被害が再発することへの懸念から瑕疵を根絶しにくい。結果として、希望通りに売却できないリスクあり。
・害虫駆除業者への依頼料が発生する(悪質な業者、施工作業への保証をつけてくれない業者などが存在するので依頼先選びを慎重に)。
洸太郎
洸太郎

シロアリ被害を発見したときに自分で殺虫剤で駆除を試みるのは厳禁です。なぜなら、シロアリを見つけたときにはすでにかなり被害が甚大なものになっているのが通常ですし、殺虫剤によってシロアリが建物内部に逃げこんでしまうので、さらに状況が悪化することが想定されるからです。

シロアリ被害の物件売却方法3:不動産を修繕した後に売る

シロアリ被害が深刻な状態のままだと不動産の安全性・耐久性に支障が出た状態に。これでは、物件が売れるはずもありません。

そこで、シロアリ被害を受けた箇所を修繕して資産価値を回復してから売却するという方法が考えられます。これによって、普通の不動産として一般市場での売却を目指すことができるでしょう。

ただし、シロアリ被害は想像以上に物件内を蝕んでいる可能性が高いので、資産価値を回復するまでには以下のようなリフォーム工事費用が発生する点に注意が必要です。

修繕箇所 リフォーム工事費用の目安
洗面台 10~30万円
浴室 50~100万円
キッチン・水回り 80~160万円
柱(構造上の箇所による) 100~300万円
床下基礎 100~300万円

※さらに高額になるケースあり

ただし、シロアリ被害を受けた経緯次第では火災保険などを活用できるケースも(自然災害・耐風などが原因で水漏れが発生し、結果としてシロアリ被害を受けた場合など)。また、シロアリ駆除に拠出した費用は確定申告で雑損控除の対象になるので税制上の優遇を受けられる可能性もあります。

費用面についても心配は専門業者に相談すれば丁寧に対応してくれるはずなので、事前にお問い合わせください。

シロアリ被害箇所を改修後に売却するメリット
・資産価値を回復して一般の不動産として売却できる。
・告知義務が消滅する可能性が高い。
・シロアリ被害を受けた箇所以外も修繕することで物件の魅力を高められる。
シロアリ被害箇所を改修後に売却するデメリット
・リフォームには高額な費用が必要。
・リフォームを実施したからといって成約が約束されるわけではない。
・リフォーム代金分を売却価格で回収できずに損をするリスクあり。

シロアリ被害の物件売却方法4:解体して更地として売る

シロアリ被害が深刻で修繕工事に数百万円~1千万円を超える費用が発生するようなケースでは、改修工事を実施して売却するのが難しいという場合もあるでしょう。

その場合には、建物自体を売却することは諦めて、解体後に土地だけで売却するという選択肢が考えられます。立地条件・所在エリアなどの事情を考慮して、土地だけでも売却できる見込みがあるというパターンでおすすめの方法です。

ただし、建物を解体するには解体業者に依頼をしなければいけませんが、以下のように一定費用の発生(別途付帯工事費用も)は避けられません。土地の売却予定価額と見比べて利益が出るのか、損失がどこまで抑えられるのかを熟慮してから解体工事を実施してください。

構造 1坪あたりの解体費用単価
木造 3万円~5万円
鉄骨造 4万円~6万円
鉄筋コンクリート造 6万円~8万円
鉄骨鉄筋コンクリート造 6万円~8万円

引用元:ゴミ屋敷はそのままでも売却できる?少しでも高く売るためのコツを解説

なお、建物を解体した場合、土地だけの状態では住宅用地を対象とした固定資産税の減額特例措置を受けられなくなります。つまり、売却活動に時間がかかると従来よりも高い固定資産税の支払い義務が発生するため、土地の売却時期・売却可能性には注意が必要です。

シロアリ被害の物件を解体して売却するメリット
・土地だけで売却できる。
・告知義務等の面倒な注意事項から解放される。
シロアリ被害の物件を解体して売却するデメリット
・解体費用が発生する。
・固定資産税の減額措置の対象外になる。
・立地条件などに魅力がなければ売却しにくい。
・解体費用を差し引くと費用倒れになるリスクあり。

シロアリ被害の物件売却方法5:訳あり物件買取業者に依頼する

深刻なシロアリ被害を受けている物件を購入したいという人を一般不動産市場から見つけるのは困難です。また、購入希望者を探し出すために駆除・リフォーム・解体などを実施するにも一定の費用負担は避けられないため、「できるだけスムーズにシロアリ被害不動産を売却したい」という希望を実現するのも簡単ではないでしょう。

そこで、シロアリ被害を受けている不動産の売却を検討している人におすすめの方法が「訳あり物件買取業者への依頼」です。一般的な不動産の売却方法としては「不動産仲介業者への依頼」というものが挙げられますが、買取業者なら仲介業者に依頼をするよりもスムーズに売却活動を達成できます。

相違点 不動産仲介業者 訳あり物件買取業者
売却金額 市場価格通り 市場価格から減額
成約までのスピード 遅い(売却できない可能性もある) 速い(かならず売却できる)
仲介手数料 あり なし
得意ジャンル 瑕疵のない物件 シロアリ被害物件などのノウハウあり

不動産仲介業者とは、一般不動産市場から物件購入希望者を見つけてきて売主との間を取り持つ業者のこと。あくまでも役割は仲介(専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約)でしかないので、不動産を売却できるか否かは運に左右されることになります。

これに対して、訳あり物件買取業者は、どのような事情を抱える不動産でもそのままの状態で引き受けてくれる業者のこと。不動産業者自体が買主になって売買契約を締結してくれるので、最短即日で問題を抱える不動産を現金化することができます。

「仲介業者に依頼をした方が高値で売却できる」とはいっても、買主が見つからなければ意味がありません。売却活動を進めている間にもシロアリ被害は深刻になる一方ですし、手に入らない高値成約の可能性にこだわり過ぎるのは生産的ではないといえるでしょう。

したがって、リフォーム工事などの費用を拠出するのが難しいというシロアリ被害物件所有者の方は、訳あり物件買取業者にご相談ください。以下のリンク先でおすすめの会社を15社ピックアップしているので、複数社に査定依頼後、条件に合うところを選びましょう。

【全国対応】訳あり物件(事故物件)を高く売却したい人におすすめの不動産買取業者15選

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2021年8月1日

シロアリ被害の物件を売却するときの注意点は4つ

シロアリ被害の物件を売却するときには、次の4つの注意点を踏まえて手続きを進めなければいけません。

  1. シロアリ被害について告知義務を遵守する
  2. シロアリ被害の範囲を明確に調査する
  3. 不動産の売却コストにも留意する
  4. シロアリ被害を受けた物件の高値成約にこだわり過ぎない

シロアリ被害を受けた物件を一般の不動産と同じ感覚で売りに出してしまうと、なかなか買い手が見つからないだけではなく、買主サイドに与えた損害等を賠償しなければいけない可能性も出てきます。

以下で詳しく紹介するように、それぞれの注意点を踏まえたうえで、シロアリ被害を受けた物件に適した売却活動を進めましょう。

シロアリ被害の物件売却時の注意点1:告知義務を果たす

「シロアリ被害のことを隠した方が有利に売却手続きを進められそう」などと考えてはいけません。

なぜなら、売主がもっている正確な情報を買主側に提供しないで不動産の売買契約を締結した場合には、法的責任(契約不適合責任・瑕疵担保責任)を追及される危険性が高いからです。具体的には、シロアリ被害物件の引き渡しを受けた買主がシロアリ被害について知ったときから1年以内なら、履行の追完の請求・代金の減額の請求・損害賠償の請求・契約解除ができるとされているので、シロアリ物件を売りさばいた売主側はいつまでも法的追及を受け得る不安定な状況に置かれるということになります(民法第566条)。

確かに、シロアリ被害を受けていることは、売主側にとって不利な事情です。自らすすんで不利な情報を買主側に提供することに抵抗感を抱くのも当然でしょう。

しかし、そもそも不動産の取引は動くお金が大きいものですし、売買目的物である不動産の安全性は、その後の入居者の生活・生命の平穏にも直結する重要なものです。この点を揺るがすような性質について隠蔽することは、不動産取引の安全性自体を害するといっても過言ではありません。

したがって、シロアリ被害を受けていることを知っていたり、また、シロアリ被害の兆候が簡単に発見できるような状況であるのなら、かならず物件売却前に買主側にシロアリ被害について告知をして、購入者サイドが適切な情報に基づいて売買契約を締結するかを決せられるようにしてください

洸太郎
洸太郎

買主側だけではなく、売却依頼をする不動産仲介業者に対してもシロアリ被害について情報提供することは不可欠。なぜなら、不動産の売却活動を担当する仲介業者側も売主に対して告知義務・重要事項の説明義務を負っているからです(宅地建物取引業法第47条)。もし、売主がシロアリ被害に合っていることを隠蔽したままだと、不動産仲介業者が自ら課せられた告知義務等を遵守することができず、結果として、買主側から損害賠償請求等を求められかねません。その原因は売主側の隠蔽行為にあったと証明されてしまうと、不動産仲介業者から損害賠償請求等を求められることになるでしょう。

【注意!】現所有者自身が告知義務違反の被害者なら前所有者サイドに請求を

シロアリ被害を受けた物件の売却を検討している現所有者のなかには、前の所有者の告知義務違反が原因で当該物件を購入してしまったという人もいるはず。この場合には、前の売買契約について”買主”という立場から売主サイドに対して法的措置などを実施することが可能です。

たとえば、前の売買契約を解除して支払い済みの代金の返還を求める(当然ながらシロアリ被害を受けた物件は引き渡さなければいけないので居住先を見つけなければいけません)・損害賠償請求をする・リフォーム工事代金を請求して不動産の資産価値を回復する(その後不動産オーナーとして売却することも可能)などの選択肢が与えられることになります。

ただし、前の所有者や販売元への請求は無制限・無条件に行えるというものではありません。以下の条件を充たすケースについてのみ請求等の法的アプローチが可能だという点にご注意ください。

購入後10年以内の新築物件がシロアリ被害に合った場合
新築物件を購入して10年以内に深刻なシロアリ被害が発生した場合(「構造耐力上主要な部分」・「雨水の浸入を防ぐ部分」の欠陥)には、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づいて費用請求等が可能。特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律により供託金が付されているので、原則として適切な主張・立証を行えば費用補填を期待できる。
購入後2年以内の中古物件がシロアリ被害に合った場合
中古物件を購入して2年以内にシロアリ被害が発生した場合には、販売した不動産業者相手に瑕疵担保責任・契約不適合責任を追及できる(宅地建物取引業法)。元の所有者に対する1年の瑕疵担保責任よりも請求期間が長く設定されているため、シロアリ被害を受けた買主は救済されやすい

この2つのパターンに該当しない場合には、原則として購入者自身がリフォーム工事などの費用負担を全面的に引き受けなければいけません。

ただ、シロアリ被害を受けた物件を売却するとき、オーナーとして重い責任を負担するということは、買主側として販売元に対して厳しく責任追及できる可能性があるということ。今後の売却可能性を高めるためにも、前所有者・販売元に対する請求可能性についてはかならずチェックしておきましょう。

シロアリ被害の物件売却時の注意点2:範囲をしっかり把握する

シロアリ被害を受けている不動産を売却する際には、所有者・売主側仲介業者で被害範囲を明確にしなければいけません。なぜなら、被害範囲を明確にしておかなければ告知義務を果たすことができないからです。

つまり、シロアリ被害の物件売却時には、事前にシロアリ被害の有無・範囲について検査を尽くしておく必要があるということ。しかし、建物全体を隈なく調査して、外観だけでは判別できない箇所にまで調査を尽くすのは簡単ではありません。

その際に役立つのが、建物状況調査(ホームインスペクション)です。

建物状況調査(ホームインスペクション)とは、国土交通省の定める講習を修了した建築士が、建物の基礎、外壁など建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査のこと。シロアリ被害についても、「蟻害の有無」というチェック項目において確認されることになります。

ホームインスペクション実施済みの中古不動産に対する信頼性は厚いため、シロアリ被害の物件でも修繕箇所・改修状況などを丁寧に説明すれば、適正価格での売却を実現できるでしょう。

参照:既存住宅の購入を検討されるみなさまへ – 国土交通省HP
参照:既存住宅状況調査技術者講習制度について – 国土交通省HP
参照:インスペクション(既存住宅の点検・調査) – 国土交通省HP

洸太郎
洸太郎

2018年4月に改正宅地建物取引業法が施行され、中古住宅のホームインスペクション義務化が推進されています。これによって、不動産業者は、「ホームインスペクションについての説明義務・実施済みの場合には重要事項説明で告知すること・売主と買主双方に建物の現状について書面で確認すること」の義務を負うことに。ホームインスペクションを実施すること自体が義務になったわけではありませんが、中古住宅に対する事前調査の重要性が見てとれます。

シロアリ被害の兆候を見過ごして売却すると法的責任を追及され得る

ホームインスペクションを実施して専門機関に調査を尽くせば、少なくとも所有者自身が法的責任を追及されるリスクは大幅に軽減されます。

これに対して、シロアリ被害の兆候が存在するにもかかわらず、所有者側が充分な調査義務を尽くさないでそのままの状態で物件を売却してしまうと、契約不適合責任に基づく解除・損害賠償請求(場合によっては不法行為責任さえも)を問われかねません(参考裁判例:大阪地方裁判所判決平成20年5月20日)。

したがって、以下のようなシロアリ被害の兆候が存在する場合には、不動産仲介業者の担当者やホームインスペクション実施機関に相談をして、適切な現状把握・修繕等を実施すべきと考えられます。

シロアリ被害の兆候1:蟻道
床下の基礎・束、建物外周部の杭、外部基礎など、比較的湿度が高い場所に作られる。ただし、クロアリの蟻道や蜘蛛の巣と見間違えることもあるので注意が必要(触ってもすぐに崩れない頑丈なものがシロアリの蟻道)。
シロアリ被害の兆候2:蟻土
蟻土とは、シロアリが木を食べる場所を覆った土のこと。安全な環境を作り出すために円状・扇状の土が盛られる。蟻土を作るのはシロアリ特有で他の昆虫には見られない性質。
シロアリ被害の兆候3:木材の亀裂
柱などに亀裂が入っているとシロアリが発生している可能性が高い。ヒラタキクイムシなどの害虫も木材に損傷を与えるが円状の被害を受けるのが一般的。亀裂の痕跡がある場合にはシロアリ被害の可能性が高い。
シロアリ被害の兆候4:羽アリ
4月~5月に発生するのが羽アリ。建物内で羽アリを発見した場合、不動産のどこかでシロアリが発生していると見て間違いない。
シロアリ被害の兆候5:床鳴り・床の沈み
床下箇所がシロアリの被害を受けている場合、床鳴りや床の沈みという症状が現れる。経年劣化・接着剤の剥がれなどの可能性もあるが、大規模に支柱がシロアリ被害に合っている可能性も否定できないため、すみやかに駆除業者などにチェックしてもらう必要がある。
シロアリ被害の兆候6:空洞音
柱や壁から空洞音がする場合、シロアリに食われている可能性がある。玄関の巾木・框・ドア枠などを手で叩けばすぐに分かるので早期発見のためにセルフチェックしよう。

シロアリ被害の物件売却時の注意点3:不動産売却コストに留意する

シロアリ被害の物件を売却するときには、売却価額だけに注目するのではなく、他のコストにも留意しながら手続きを進めましょう。なぜなら、どれだけ高い価格での成約が実現したとしても、投下コストが大きくなるほど手元に残るお金が少なくなるからです。

たとえば、シロアリ被害を受けた不動産の資産価値を回復するために、大規模リフォーム工事を実施したとしましょう。建物の安全性を確保するために、数百万円を超える修繕工事が必要になることもあるはず。しかし、リフォーム工事実施によって回復される資産価値に修繕工事費用を補填できるだけの上げ幅が存在しない場合には、工事を実施した分だけ損をすることになってしまいます。

また、深刻なシロアリ被害が原因で建物自体を解体する場合、解体費用・付帯工事費用などをまとめると数百万円程度の負担は避けられません。しかも、売却するのは建物がなくなった土地のみ。物件が所在するエリア次第ですが、土地だけで数百万円の余剰を出すのは簡単なことではないでしょう。

このように、シロアリ被害を受けた物件を売却する際には、常に不動産市場に出すまでの準備コストにも注意が必要です。「できるだけ高値で売却したい」という希望ばかりに執着すると費用倒れになるリスクもあるので、営業担当者など丁寧に売却戦略を組み立ててください。

不動産は売るだけ・所有するだけでお金がかかるもの

シロアリ被害を受けているとはいえ、あくまでも不動産は不動産、売却するにも所有をつづけるのにも一定の費用が発生します。

つまり、シロアリ被害を受けた物件を売却する際にも、以下の諸経費に留意しながら手続きを進めなければいけないということです。

仲介手数料
不動産仲介業者に売却依頼をした場合には、次のように、成約価格に応じて仲介手数料が発生する(「不動産流通について」国土交通省HP)。ただし、訳あり物件買取業者に買取依頼をした場合には仲介手数料は発生しない。

  1. 200万円以下の部分:取引物件価格(税抜)× 5% + 消費税
  2. 200万円~400万円以下の部分:取引物件価格(税抜)× 4% + 消費税
  3. 400万円~の部分:取引物件価格(税抜)× 3% + 消費税
各種税金
譲渡所得税(5年以下の短期所有なら30%・5年を超える長期所有なら15%)・住民税(短期所有なら9%・長期所有なら5%)・印紙税・登録免許税など。
その他取引費用
住宅ローン残債の清算費用・ホームインスペクション費用・内覧時の準備費用など
住宅の管理コスト
不動産を所有しつづける以上、仮に居住していなくても管理コストが発生する。たとえば、固定資産税・毎月の光熱費の基本料金・火災保険・地震保険・住宅ローンの返済などが挙げられる。早期に売却を実現すれば、これらのコスト負担からも解放される。

引用元:欠陥住宅売却時のポイントとは?事例ごとの注意点や業者選びのコツを解説

シロアリ被害の物件売却時の注意点4:高値成約にこだわらない

忘れてはいけないのが、シロアリ被害を受けた不動産は売れにくいという実情について。どれだけ丁寧にシロアリを駆除したとしても被害が再発するリスクもあることから、敬遠する購入者層は少なくありません

すると、上述のような不動産管理コスト以外にも、シロアリ被害を受けた建物所有者としての法的責任(民事責任・刑事責任・行政責任)を負担しつづけなければいけないということ。特に、建物倒壊によって近隣住民などに被害が発生した場合には、数千万円~数億の損害賠償責任を追及されることにもなりかねません。

したがって、シロアリ被害を受けた物件を売却するときには、高値での売却にこだわり過ぎるのではなく、「比較的早いタイミングで不動産を手放すこと」にも重きを置いて売却活動を進めるのがおすすめです。以下のリンク先で、シロアリ被害を受けた不動産でもそのままの状態で買い取ってくれる業者15選を紹介しているので、あわせて参考にしてください。

【全国対応】訳あり物件(事故物件)を高く売却したい人におすすめの不動産買取業者15選

【全国対応】訳あり物件(事故物件)を高く売却したい人におすすめの不動産買取業者15選

2021年8月1日

シロアリ被害の物件は査定額が大幅に値下がりするリスクが高い

シロアリ被害は想像以上に深刻になるケースが少なくありません。となると、所有者が悠長に売却活動を進めている間にも、気付かないうちに査定額が大幅に下落するおそれがあります。

たとえば、シロアリ被害は戸建て住宅だけではなくマンションでも発生する可能性も。投資用物件として所有しているマンションが深刻なシロアリ被害を受けてしまうと、居住用物件がシロアリ被害にあった場合よりも値下がりのリスクが高まります。

また、所有している空き家がシロアリ被害を受けている場合には、知らない間に被害が深刻になることもあるでしょう。居住している物件であれば換気などで被害の進行を遅らせることができますが、空き家の場合には湿気対策などを実施することができません。いつの間にか物件の安全性にかかわる根幹基礎部分まで食われることになると、不動産市場における適正価格での売却は不可能に近いでしょう。

したがって、シロアリ被害を受けている物件を売却する際には、「いつ大幅に値下がりしてもおかしくない」という緊迫した状況であることを踏まえたうえで売却活動を展開してください

シロアリ被害の物件売却は訳あり物件買取業者への依頼がおすすめ

シロアリ被害を受けた物件を売却するときには、一般の不動産売却とは異なる注意点を踏まえる必要があります。

確かに、シロアリを駆除してから売却する・損傷箇所を修繕してから売却するなどの方法を選択すれば、比較的高値での成約を目指せるでしょう。

しかし、シロアリ被害は今現在も深刻になる一方ですし、いつ再発するか分からないもの。修繕等によって一時的に資産価値を回復したところで、売主側が満足できる価格で購入してくれる買主が現れるとは限りません

むしろ、シロアリ被害を受けた物件の所有者が最優先に考えるべきことは、できるだけ早期にトラブル原因の不動産を手放して、次の物件への住み替えなどの前向きなステップを歩み出すということ。いつまでもシロアリ被害の物件を所有しつづけるのはリスクでしかありません。

したがって、シロアリ被害の物件売却で困ったときには、訳あり物件買取業者に相談するのがおすすめです。所有者側でまったく手を加えずにそのままの状態で買取をしてくれるので、やり場のない負の遺産を今すぐにプラスの現金に変換することができます。複数社に査定依頼を出せば条件の合う業者がきっと見つかるので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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ABOUTこの記事をかいた人

30代、フリーランスライター・翻訳家。マイホーム購入のタイミングで不動産に興味をもつ。現在は関西の山奥で田舎暮らしを満喫しながら、めぼしい中古物件をリサーチする毎日。不動産関連の知識を深めながら、国内外問わず良い物件との出会いを待ち望んでいます。