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近年、「タワーマンションの建設ラッシュが進んでいる」というニュース報道を耳にすることが多いのではないでしょうか。ただその一方で、「タワマン危機」と呼ばれるようなかたちで資産価値急落への警鐘も唱えられており、タワーマンション市場の動向については相反する見解が錯綜しているのが現状です。
現在タワーマンションを所有している人、そして、今後タワーマンションの購入を検討している人の多くは、その後タワーマンションの売却を検討しているのが一般的なはず。しかし、タワマンの中古価格の動向が安定せず見通しを立てられないとなると、売却を躊躇するのも当然でしょう。
そこで、今回は、タワーマンションの売却がなぜ難しいのか、その理由を5点紹介します。あわせて、タワマンを少しでも高く売却するためのポイントについても解説するので、最後までご一読ください。
タワーマンションの売却が難しい理由は5つ
どのような不動産を売却する場合でも、「①不動産業者との間で仲介契約(媒介契約)を締結→②購入希望者の選定・条件交渉→③売買契約の締結」というプロセスをたどるのが一般的です。
もちろん、不動産の一種であるタワーマンションの売却もこの経過をたどるのが通常ですが、タワマンが有する以下4点の特殊事情が原因で、いわゆる普通の不動産を売却するよりもハードルが高くなってしまいます。
- タワーマンションのネガティブ要素が有名になってしまった
- タワーマンションは高額なので購入希望者層が絞られる
- タワーマンションは投資対象としての側面を有する
- タワーマンションは大規模修繕などのコスト負担が重い
- タワーマンション数が増加して競合物件が多いのでその他条件も見比べられる
それでは、タワーマンションの売却が難しい5つの理由について、それぞれ具体的に見ていきましょう。
タワーマンションの売却が難しい理由2:タワマンの欠点が世に知られている
タワーマンションの売却が難しいとされる1つ目の理由は、タワマンの欠点が世に知られているという点が挙げられます。
タワマンに限らず、不動産の買い物は大きな経済負担を強いるものです。つまり、購入希望者は当該物件の特徴を事前にしっかりと精査したうえで実際の購入に踏み切るかを判断するため、物件が備えているメリットだけではなく、デメリットに対しても入念な調査が行われます。
特に、タワーマンションは流行にのって市場が拡大しているという側面があるため、テレビメディアやネットなどでも多数の情報が扱われているのが現状です。したがって、タワマンが以下のようなデメリットを備えていることは、もはや周知の事実だといえるでしょう。
- タワーマンションのデメリット1:自分の居室まで移動するのが大変
- タワーマンションは敷地が広く、また、高層階になるほどエントランスまでの距離が遠くなります。通勤・通学のタイミングではエレベータが混むのでスムーズな移動を妨げられるリスクも。
- タワーマンションのデメリット2:地震の影響を受けやすい
- 高層マンションであるが故に、免震装置・制振装置を完備していたとしても、地震が発生すると揺れが大きくなります。また、タワーマンション自体は地盤改良工事が施行されているので直接の地盤沈下・液状化現象等の危険性は低いですが、周辺土壌に欠陥がある場合にいは大きな被害を受ける可能性も。さらに、地震が発生すると防犯対策としてエレベーターが停止するため、円滑な避難経路確保に支障が出るおそれがあります。
- タワーマンションのデメリット3:洗濯物を外に干せない物件もある
- 景観維持や落下時の事故防止の目的から、洗濯物や布団を外干しできないタワマンがあります。高層階ほど風が強いため仕方のないことですが、カーペットや布団などを直接日光に当てられないのは健康上の問題を生じるリスクも。また、そもそも各部屋にベランダ自体を設置していないことも少なくありません。
- タワーマンションのデメリット4:携帯電話・スマホの電波を受信しにくい
- 基地局のアンテナは地上約40m(約13階~14階相当)から下向きに発せられるもの。したがって、タワーマンションの高層階になるほど、携帯電話・スマートフォンの通信回線が使いにくくなることがあります(Wi-Fi設置で対応可能)。
特に、武蔵小杉のタワーマンションで発生した台風による浸水被害などの事案が発生すると、センセーショナルな話題として世間の注目を浴びることに。このようなことがつづくと、タワーマンション自体が有する脆弱性に対して危機意識が働き、タワーマンションの買い手が見つかりにくくなってしまいます。
参照:台風19号被災原因調査及び再発防止策検討状況の報告 – パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー

「タワーマンションが災害に弱い」という指摘に対しては、各デベロッパーだけではなく、行政側が防災対策の手引き等を随時更新しながら状況改善を進めているのが実情です(たとえば、「高層マンション防災対策の手引き(品川区)」)。災害の多い日本ではこの種の対策はどんどん深まっていくことが期待できるので、年々不安要素は解消されていくでしょう。
タワーマンションの売却が難しい理由2:売価が高額なのでターゲット層が絞られる
タワーマンションの売却が難しいとされる2つ目の理由は、中古のタワマンもかなり高額なので購入希望者層が限定的にならざるを得ないという点が挙げられます。
立地・間取り・築年数・ブランド力などの諸条件によって左右されますが、タワーマンションは中古市場でも数千万円~数億円の売却価格が設定されることが少なくありません。
つまり、タワーマンションは誰でも購入できる不動産ではなく、一定の安定的な高収入を得ている世帯でなければ入居できない物件だということ。必然的に、市場におけるターゲット層が狭くなるため、成約までの障害となるでしょう。
タワーマンションの売却が難しい理由3:投資対象としての不安定さ
タワーマンションの売却が難しいとされる3つ目の理由は、投資対象として取引されるというものです。
通常の不動産であれば、純粋な居住用物件として市場で流通するのが一般的。しかし、タワーマンションは居住用住宅として扱われるだけではなく、投機対象としても捉えられるものです。つまり、不動産取引市場だけではなく、数々の経済事情の影響を受けることになるため、値下げ率や資産価値の維持目標を設定しにくいという課題から目を背けることができません。
たとえば、東京オリンピックのような世界的イベントが開催されるとなると、都市部に所在するタワーマンションの価格は急騰するでしょう。その一方で、オリンピックが閉幕し、一定の開発なども終了すると、その後次第に市場価格が下降をたどることが想定されます。値上げ・値下げが短期間で起こり得るため、購入・売却のタイミングを判断するのは簡単ではありません。
また、現在日本は超低金利時代なので住宅ローンを組みやすい状況にありますが、この低金利時代がいつまでつづくかは分かりません。もしタワーマンションを購入して数年後に金利が上昇すると、住宅ローンの金利利回り条件の契約内容次第では、購入者側に重い利息負担が発生することになるでしょう。これを懸念して、タワマンを購入できないという人も一定数は存在するはずです。
さらに注意を要するのは、オリンピック・万博・カジノなどの世界的な注目を浴びるような事情だけではなく、地域性などのミクロ的な要素さえもタワーマンションに対する投資家の判断に影響を与える可能性が高いということ。いっけん些細とも思える出来事が発生しただけで、価格が変動するおそれがあります。
このように、タワーマンションの資産価値は安定的なものではありません。したがって、投資対象としての危うさから購入を躊躇する人が多くなるのも当然でしょう。
タワーマンションの売却が難しい理由4:大規模修繕のコストが高い
タワーマンションの売却が難しいとされる4つ目の理由として、大規模修繕や管理費などのコスト負担が重いという点が挙げられます。
一般的なマンションと同じように、タワーマンションも修繕計画を実施するために入居者が修繕積立金を支払う義務が発生するもの。しかも、タワーマンションのブランド価値を毀損しないようにお金をかけて工事が実施されるため、購入代金以外にも経済的な負担を強いられることになるでしょう。
たとえば、タイルの貼り替え・外壁補修・シーリング工事・屋上修繕・配管交換・床面工事などの入居者の生活便維持・向上のために実施される工事から、エレベーター交換・鉄筋爆裂補修・防水工事・耐震補強などの法規制上の要請から実施されるものまで多岐にわたります。
さらに、タワーマンションの大規模修繕工事では、足場を組んでの作業ができないことが多いため、工期が伸びる可能性も。修繕長期化によって修繕計画の変更が余儀なくされると、それだけ人件費などの負担もふくらむことになるはずです。
このような出費はタワーマンションの購買意欲を削ぐもの。これらのデメリットポイントをカバーできるだけの魅力をアピールして販売活動を行う必要があります。

その他、固定資産税・管理費・防犯費用・駐車場代など、毎月所定の経費が発生します。物件の維持費も一般的な居住用不動産とは比べられないほどの金額になる点も購入者側が敬遠する要素となるものです。
タワーマンションの売却が難しい理由5:タワマンの数が増えているので立地条件が重視される
タワーマンションの売却が難しいとされる5つ目の理由として、タワーマンションの数が急増しているため競合物件が多いという点が挙げられます。
2021年以降全国で建設・計画されている20階立て以上の超高層マンションは280棟・10万9.908戸で、2020年3月時点よりも77棟・2万5,306戸増加しているのが実情(「超高層マンション動向2021年」日本不動産研究所)。今現在もタワーマンションは増えつづけているということです。
つまり、今後タワーマンションを売却する際には、多数の新築タワマン・中古タワマンが不動産市場において競合相手になることを意味します。「タワーマンションは人気だから高値で交渉できるだろう」「中古で割安のタワーマンションならすぐに買い手が見つかる」などというように油断していては、購入希望者が見つからないということにもなりかねません。
たとえば、何階の物件なのか(低層階は人気が低い傾向にある)・管理体制・所在エリアの立地条件(交通便・最寄り駅までの距離・小学校などの施設の有無等)・築年数・間取りなど、一般的な不動産売却でも重要視されるポイントが売れ行きを左右することになるでしょう。
タワーマンションを高く売却するポイントは6つ
それでは、中古のタワーマンションを少しでも高く売却するためのコツを紹介します。
代表的なポイントとして挙げられるのは次の6点です。
- タワーマンション売却に強い不動産業者に依頼をする
- ブランド力のあるデベロッパーを選んで信頼性をアピールする
- 不動産会社と締結する媒介契約の内容に留意する
- タワーマンションの売り時を逃さない
- 投資対象ではなく居住用物件として売却する
- タワマン売却で発生するコストに注意する
それでは、タワーマンションを高値で売却するためのポイントについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。
タワーマンションを高値で売却するコツ1:タワマン売却に強い不動産業者に依頼する
大前提として押さえておくべきポイントは、不動産会社ごとに得意の取り扱い物件に違いがあるため、「どこの業者に物件売却を依頼しても同じ」というわけではないということ。所有している不動産の売却を検討する際には、自分の物件を強みとしている不動産業者を選べるかがポイントになります。
つまり、タワーマンションの売却を企図するなら、タワマン売却を得意とする業者を選ぶのがおすすめです。多数の購入希望者を囲っているだけではなく、タワーマンション売却に必要なノウハウを備えているため、効果的な売却活動を期待できるでしょう。たとえば、インターネットなどで「タワマン売却に強い不動産業者」などと検索すると候補がいくつも出てくるので、複数社にひとおおり査定依頼を出すことをおすすめします。
もし、「ネットなどで調べた不動産業者に依頼をするのには抵抗がある」という場合には、タワーマンション購入時に関係した不動産業者や分譲主に相談してみましょう。当該物件についてリアルタイムな情報に精通しているだけではなく、グループ会社の仲介業者などを紹介してもらえる可能性が高いため、売却活動をスムーズに進められるはずです。

一般の物件売却とは異なり、タワーマンションの売却を検討する際には銀行に相談するのも有効な手段。なぜなら、高い資産価値を有するタワーマンションは相続税対策としても活用できる財産だからです。たとえば、タワーマンションは市場価格よりも相続税評価額が大幅に低く算定される傾向があるため、現金をそのまま相続するよりもタワマンに換えて相続した方が節税を期待できるという効果が認められます。普段取引している銀行に相談すれば、相続税対策や資産運用を検討している資産家などに話を通してくれる場合があるので、銀行の担当者に話を投げてみましょう。
タワーマンションを高値で売却するコツ2:デベロッパー選びで信頼性を確保
タワーマンションの売却時に忘れてはいけない視点が、「購入希望者が何を見て物件を選んでいるのか」というもの。具体的には、一般の不動産とは異なり、タワマンの場合には「どの販売元が売り出しているのか」というポイントが重視される傾向が強いため、購入者層からの信頼を得るためにデベロッパー選びに注意してください。
確かに、一般向けマンションなら大手不動産業者と中小の街の不動産業者それぞれにメリット・デメリットがあるので、所有物件の売却に適した業者を選ぶべきでしょう。地域の販売事情に精通した会社が良いなら中小の、多様な付帯サービスに魅力を感じるのなら大手というイメージです。
しかし、高価不動産であるタワーマンションの売却の場合には、デベロッパーの信頼度・評判は不可欠要因と言っても過言ではありません。「〇〇が販売元なら企業ブランドがしっかりしていて信頼できる」「大手デベロッパーから購入すればアフターサービスや管理体制など、何かあったときにも安心できる」という心理が働くからです。
したがって、タワーマンションを売却するときには、かならず仲介契約(媒介契約)を締結する候補先のなかにブランド力のある大手不動産会社を入れておきましょう。訪問査定などのタイミングで、大手企業営業担当者の雰囲気や実力について判断できるはずです。

タワーマンション売却のノウハウのない中小不動産業者に依頼をすると、タワマンのメリットをしっかりとアピールしてもらえないおそれがあります。たとえば、タワマンのメリットとしては、①眺望が良い、②虫に悩まされにくい、③万全のセキュリティ体制、④充実のコンシェルジュサービス、⑤自由なゴミ出し、⑥ステータス感などが挙げられるもの。特に、利便性だけではなく心理的優位性に働きかける要因も含まれているため、一般マンション売却時とは工夫を凝らした営業活動が必要です。タワマン売却実績豊富な大手デベロッパーなら顧客のニーズを汲み取って売却を進めてくれるでしょう。
タワーマンションを高値で売却するコツ3:不動産業者と締結する契約内容に留意する
タワーマンションを売却するときには、不動産業者との間で締結する仲介契約(媒介契約)の種類について注意を払いましょう。
実は、タワーマンション売却を不動産仲介業者に依頼する際には、専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3種類の契約方法が存在します。どの方式で売却を依頼するかによってその後の手続きの進め方・売却可能性が変わってくるので注意が必要です。
違いがあるポイント | 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 |
---|---|---|---|
取引できる会社数 | 1社のみ | 1社のみ | 複数社可能 |
直接取引の可否 | ✕ | 〇 | 〇 |
販売状況の報告義務 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | なし |
たとえば、専属専任媒介契約・専任媒介契約を締結した場合、営業活動を任せられるのは1社だけ。他の業者にも依頼をして幅広く購入希望者を募ることができません。これに対して、一般媒介契約であれば複数業者との契約が可能なので、広い購買層から購入希望者を集めることができます。
その一方で、それぞれの不動産業者は専属専任媒介契約・専任媒介契約を締結している不動産を多数抱えているという前提を考慮すると、複数業者に依頼ができる一般媒介契約しか締結していない物件に対して熱心な営業活動を期待しにくいのは明らかでしょう。自社利益(仲介手数料)に直結しにくい物件にコストを割くのなら、自社が専属で扱っている物件を売りたいと考えるのは当然だからです。
このように、どの媒介契約を締結するかによってその後の売却活動の流れが大きく変わってくるおそれがあります。不動産市場における魅力をアピールしやすい物件なら一般媒介契約でも問題ありませんが、競合物件が多数存在し、特筆すべきアピールポイントの少ないタワマン物件の売却を検討しているのなら、専属専任媒介契約・専任媒介契約が適していると考えられるでしょう。
なお、媒介契約の種類の詳細や、各媒介契約がどのような物件に適しているのかなどについては、以下のリンク先でも詳しく解説しています。不動産業者との契約内容を決する際にお役立てください。
タワーマンションの売却活動に行き詰ったときは買取業者への依頼も視野に入れよう
不動産の売却活動は購入希望者が見つかるまでは進展しないため、どうしても売却期間は流動的になってしまいますが、おおよそ3カ月媒介契約を締結した不動産業者の営業活動が一切の進展を見せない場合には、「買取業者への依頼」という選択肢も視野に入れるのがおすすめです。
そもそも、仲介契約(媒介契約)とは、「購入希望者を見つけてもらうこと」を不動産業者に依頼するというもの。不動産業者はあくまでも仲介者であって、不動産の売買契約の当事者にはなりません。
つまり、不動産業者がどれだけ努力をしたとしても、購入希望者が見つからない限りはいつまでもタワーマンションは手元に残ったまま。引越しや別物件の購入などにも支障が生じるでしょう。
そこで、タワーマンションなどの所有物件を早期に売却したいと希望するのなら買取業者への依頼がおすすめ。なぜなら、不動産業者が売買契約の当事者として直接物件を買い取ってくれるので、「いつまでもタワマンを手放せない」という不条理から解放されるからです。
したがって、不動産仲介業者への依頼が成約にまで至らない場合・早期に売却活動を終了させたいと希望する場合などには、不動産買取業者にそのままの状態で買い取ってもらいましょう。

不動産買取業者に依頼をすれば、タワーマンションの売却は数日~1カ月程度で終了することになります。ただし、すぐに現金化できるというメリットの代償として、「仲介業者に売却依頼をするケースよりも買取価格が低額になる」というデメリットを甘受しなければいけません。買取相場は物件によって異なりますが、市場価格から3割程度値引きされた価格になるイメージです。もっとも、仲介業者に依頼をした場合には「仲介手数料」が発生するため、市場価額そのままが手に入るわけではないという点にも留意しましょう。
タワーマンションを高値で売却するコツ4:売り時を逃さない
タワーマンションを売却するときには、売り時を逃さないのがポイント。なぜなら、上述のように投資対象として市場から捉えられる傾向が強いタワーマンションにはいつ外部的要因によって値下がりするか分からないという危険性が存在するため、適切な市場価値を有するうちに売却してしまうのが理にかなっていると考えられるからです。
考え方は、株式取引・為替取引などと同じ。値上がり要因・値下がり要因を適切に評価して、売却時期を決するべきでしょう。
- タワーマンションの値上がり要因
- 東京オリンピックなどの国際イベント・大規模都市開発・政治的要因(金融緩和政策・選挙など)・人口増加・買占めの発生・地価の値上がり・不動産業界の繁忙期(転勤の時期等)など
- タワーマンションの値下がり要因
- 地盤や地質への懸念や悪評・大規模イベントの終了・政治的要因(緊縮政策・選挙など)・人口減少・地価の値下がりなど
※これらはあくまでも参考例です。実際の相場動向に反映されない可能性があるのでご注意ください。
投資対象商品は、外部的要因によって価格が大幅に値動きするおそれがあるものです。特に、タワーマンションは額面が大きいものであり、かつ、物件自体の特性以外の外部的要因(経済事情など)からの影響も受け得るため、高値売却を狙うのなら常に世界視点でニュースなどに目を通しておく必要があるでしょう。
もちろん、個人だけで値動きを予想するのは簡単ではないので、不動産仲介業者に直接相談したり、銀行・証券会社の担当者などと常に情報をやり取りしておくことをおすすめします。
タワーマンションを高値で売却するコツ5:居住用物件として売却する
タワーマンションを売却するときには、居住用物件として売却するのがおすすめ。なぜなら、純粋な投資対象として売却活動を進めてしまうと、必然的に市場におけるターゲット層が限定されてしまうからです。
たとえば、現在タワーマンションを賃貸として提供している場合には、入居者が退去した空室のタイミングで売却手続きを進めましょう。なぜなら、入居者がいない状態であれば、内覧などの手続きも進めやすいですし、オーナーチェンジ物件としての煩雑な手続き承継事務も省略できるからです。

投資用物件と居住用物件とでは、売却価格に違いが出る点も忘れてはいけないポイントです。なぜなら、投資用物件としての査定額は利回りなどの条件で価格が設定されますが、居住用物件なら類似物件や築年数などの諸条件で値段が決まるので、居住用物件として売りに出した方が高値での売却が期待できるからです。
タワーマンションを高値で売却するコツ6:取引時のコストにも留意する
タワーマンションを売却する際には、取引時に発生する諸コスト・税金面についても注意しましょう。なぜなら、どれだけ高値での成約に至ったとしても、高額な取引コストの負担を強いられると手元に入ってくるお金が少なくなるからです。
タワーマンション売却時に発生するコストとしては、以下のものが挙げられます。
- 仲介手数料
- 不動産仲介業者にタワマン売却を依頼した場合には、成約価額に応じた仲介手数料が発生する。各社仲介手数料の算定基準割合は異なるが、高額なタワーマンション売却時の仲介手数料の上限額は【(売却価格 × 3% + 6万円) × 消費税】の計算式による(参照:「宅地建物取引業法関係」国土交通省HP)。
- 売却手続き費用
- 印紙税・登録免許税・抵当権抹消費用・住宅ローン返済手数料などの諸経費が必要。
- 譲渡所得税・住民税
- 不動産売却によって売却益が発生した場合には、譲渡所得税・住民税が発生する。タワマンの所有期間によって税率は異なり、5年以下の短期所有であれば所得税率30%・住民税率9%(短期譲渡所得)・5年を超える長期所有であれば所得税率15%・住民税率5%の算定基準による
- リフォーム・修繕費用等
- タワマンを売却する場合でも、物件内に汚損・要補修箇所等があるのならリフォーム工事などを実施しておく方が望ましい。水回りや壁紙など、購入者側が気にするポイントは事前にチェックしておこう。また、内覧のタイミングなどでハウスクリーニング・ホームステージングをすれば、購入希望者からの好印象に繋がりやすい。ただし、どこまでのリフォーム・修繕を施すべきかは不動産業者と相談して決めること。
参照:No.3211 短期譲渡所得の税額の計算 – 国税庁HP
参照:No.3208 長期譲渡所得の税額の計算 – 国税庁HP
ここから分かるように、所有期間が5年に満たないタワーマンションを売却する場合には、高額な譲渡所得税・住民税を支払う必要があります。コスト面を気にするのなら、所有期間が5年を超えたタイミングで売りに出すのがおすすめです。ただし、築年数等の関係で資産価値が下落することも想定されるため、どこに妥協点を見出すかは慎重な判断が求められるでしょう。
また、タワーマンション売却時に忘れてはいけないのが、軽減税率の特例について。以下の要件を充たす所有物件を売却した場合には、譲渡所得税・住民税について大幅な減額制度が用意されています。
- 売却した年の1月1日において売却したタワーマンションの所有期間が10年を超えていること
- 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までにタワーマンションを売却していること
- 親子・夫婦などの「特別の関係がある人」に対する売却ではないこと
- 売却したタワーマンションについてマイホームの買換えや交換の特例など他の特例を受けていないこと
- 売却した年の前年及び前々年にこの特例を受けていないこと。
参照:No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例 – 国税庁HP
これらの要件を充たす場合には、6000万円以下なら10%、6000万円を超えるなら【(売価 – 6,000万円) × 15% + 600万円】によって譲渡所得税が計算されるのでかなりお得です。
ただし、タワーマンションを投資用物件として所有していた場合には適用除外になるのでご注意ください。
タワーマンションの売却相談は信頼できる不動産業者への依頼がおすすめ
タワーマンションの売却は、一般向け不動産とは異なり、“タワーマンション”という不動産の特性に応じた売却活動を進めなければいけません。居住用物件としてだけではなく投資対象としても扱われる財産であるため、常に社会情勢からの影響を考慮する必要があるといえるでしょう。
そこで重要になるのが、信頼できる不動産業者を選べるかどうかというポイント。ブランド力・タワマン売却ノウハウを有した業者に依頼をして、大切な資産の適正価格での成約を目指してください。
そして、信頼できる不動産業者を見つけるときには、購入時の業者・銀行などの個人的な縁故を頼るほかに、不動産一括査定サイトの活用がおすすめ。複数の不動産業者からの見積もり内容・各社のサービスをネットで簡単に見比べられるので苦労せずに情報を手に入れられるからです。
高額な売買になるので、税金面などの注意点も少なくありません。かならず専門の不動産業者などのアドバイスを参考にして、安心できる環境で取引を進めましょう。
念のために押さえておくべきポイントは、「タワーマンションについて正確な定義は存在しない」ということ。不動産業界の共通認識として、「高さ60メートル以上(20階相当程度)」(建築基準法第20条1項1号)の住居用超高層建築物のことを指す用語とされますが、必要不可欠の要素ではありません。したがって、「タワーマンションという定義に該当するから〇〇というポイントを押さえて売却しなければいけない」という形式的な考え方は適切ではなく、「資産価値の高さ、投機対象の可能性、物件の性質などを総合的に考慮して独自性のある売却活動をする必要がある」という実質的な捉え方をするのがおすすめです。