別荘を売却するのは難しい?確実に売る為に抑えておきたいポイントと売却の流れを解説

別荘を売却するのは難しい?確実に売る為に抑えておきたいポイントと売却の流れを解説

※本ページにはプロモーションが含まれています。

「別荘を売却したい。でも、別荘の売却は難しいって聞いたことがある…」と不安を抱えている方は多いでしょう。別荘は、富裕層の象徴でもあり、一般住宅と比較すると需要が少なく、売却は非常に困難です。

しかし、別荘そのものに対する需要はかならずあるため、戦略をしっかり立てれば確実に別荘の売却を目指せるでしょう。

別荘は、所有しているだけでも高額なランニングコストが発生します。少しでも早く売却を目指したい。そう考えている方に向けて今回は、別荘を売却するための流れや抑えておきたいポイントについてお伝えします。

これから別荘の売却を検討している方、現在進行形で動き出している方、とにかく別荘を売却したい!と考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

別荘は売却が難しい!その理由とは?

人がその場所に住んで生活をする前提で建てられた一般住宅と、避暑や避寒の目的で建てられた別荘では、売却の難易度は圧倒的に別荘のほうが上です。その主な理由は下記の通りです。

  • 住宅と別荘を比較すると、購入希望者が圧倒的に少ない
  • ランニングコストがかかる
  • 立地が不便な物件が多い
  • 築年数が経過しているケースが多い

別荘はあくまでも別荘を用途として建築されているため、一般住宅とは異なる点が多いです。そのため、住宅を売却するときとまったく同じというわけにはいきません。まずは、別荘の売却が困難である理由についてお伝えします。

住宅と比較して別荘購入希望者が圧倒的に少ない

人が生活を送るための拠点として、「住」はかならずなければいけません。考え方によっては、マイホームを購入して「住」を確保される方は少なくないでしょう。

一方で、休暇を利用した避暑や避寒を目的とされるケースが多い別荘は、いわゆる贅沢であり、富裕層の象徴とも言えます。実際、平成30年に公表された国土交通省の資料によれば、二次的住宅・別荘用になっている建物はわずか38万戸。一方、持ち家戸数は約3280万戸です。

参考:国土交通省|平成30年住生活総合調査結果の概要(P4)
参考:総務省統計局|平成 30 年住宅・土地統計調査(P4)

居住を目的として持ち家を所有されている方と、別荘の所有者数は差は雲泥の差であり、別荘は住宅の約1/87しかありません。このことからもわかるように、別荘に対する需要が非常に少なく、売却はもちろん購入希望者を発見することも非常に難しいでしょう。

ただ、「別荘=売却不可能」ではありません。あくまでも、住宅と比較してしまうと需要が少なくて、売却が難しいという話です。別荘の購入を希望する富裕層もいるのは事実なので、少ない購入希望者を確実に捕まえられるよう工夫をしてください。

ランニングコスト(維持費)がかかる

別荘にかかる主なランニングコスト(維持費)は下記の通りです。

各種保険料・保証料
火災保険や地震保険料、ローンを利用しているときはローン保証料などの費用。
共益施設負担金
別荘地内の整備費用等に利用するための費用。
管理費
居住を目的としていない別荘は、長期間不在となるため、管理を第三者に委託するのが通常。
ライフライン基本料
電気・ガス・水道料金の基本料。利用がなくても基本料金のみ発生。

通常、別荘は住居とは別に所有するため、ランニングコストが倍かかります。また、別荘地だからこその費用として、高額な管理費も発生するでしょう。

別荘は休暇等を利用して短期間で利用するため、長期間を空けている場合がほとんどです。そのため、建物周辺の管理や清掃を管理会社に委託するのが一般的であり、費用も高額になりがちです。

別荘の売却を検討されている方なら、その別荘にいくらくらいのランニングコストが発生しているか把握しているはずです。その金額を支払えるだけの人は、おそらく富裕層と呼ばれる方達のみです。

日本に限定すると、いわゆる富裕層と呼べる世帯(総資産1億円以上)はわずか3%です。別荘の売却は、非常に狭いターゲットを狙っていると思って、覚悟しておいたほうが良いでしょう。

不便な立地の物件が多い

いわゆる別荘地と呼ばれる地域は、あくまでも別荘を建築するために開発をされているため、あまり利便性を考慮していません。人々が長くその地域に住み着くことを前提としていないため、居住用として売却するのも難しいでしょう。

また、別荘は人々がリフレッシュできる環境を前提としているため、栄えた街並みとは正反対な場所に位置しているケースがほとんどです。人々が生活をするために必要な、買い物や教育、その他サービス等が近くになくて当たり前です。

ほとんどの方が「自分ならここに住みたいとは思わない」ところに、別荘が建てられています。その結果、別荘の用途は別荘にしかならず、需要の薄い別荘地はなかなか買い手が見つからない、売却が困難な状況になり得るでしょう。

ただ、別荘を別荘として売り出すことを前提にし、その自然の豊かさ等をアピールしながら売却活動をするのは有効です。しっかりとターゲット層や売り出し方法を検討しながら、確実な売却を目指せば良いでしょう。

築年数が経過しているケースが多い

別荘の建築が盛んに行われ始めたのが1970年以降、その後1980年後半にバブルを迎えて別荘建築のピークを迎えました。ところが、1990年前半でバブルが崩壊し、別荘に対する需要も衰退していくこととなります。

その後も別荘に対する一定の需要はあるものの、新築で別荘を購入される方は少なく、築年数が経過した別荘が大半を占めています。

別荘で多く利用されている構造は木造であるため、築20年後半を迎えてくると著しい劣化が見えてしまうのも難点でしょう。とくに別荘は、頻繁に利用する場所ではないため、劣化に気付きにくかったり、管理が行き届かなかったり、一般住宅よりも劣化が早いです。

仮に、バブル前半に建築された別荘なら、もう耐用年数を迎え劣化の一途を辿ることになるでしょう。もちろん、リフォームをすれば長く住み続けられますが、なくても生活はできる別荘に、そこまでの手間暇をかける方は少数であり、売却は難しいと言えるでしょう。

別荘を売却するまでの3ステップと各ポイント・注意点を紹介

一般住宅と比較して需要が少ない別荘は、売却が非常に難しいです。そこで、別荘の売却検討から成約までの3ステップを下記の通りお伝えします。

  1. 不動産会社を決定・媒介契約締結
  2. 売り出し価格の決定・売却活動開始
  3. 成約・売買契約締結

各ステップで別荘を確実に売却するための注意点や、ポイントについてもお伝えしています。これから別荘の売却を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

ステップ1:不動産会社を決定・媒介契約締結

別荘の売却を検討し始めたらまずは、下記の流れで不動産会社を決定し、媒介契約を締結します。

  1. 不動産会社に査定を依頼
  2. 不動産会社を決定
  3. 媒介契約の締結

まずは売却を検討している別荘の査定を行ってもらいます。査定とは、その別荘の価格を調査することを言い、2ステップの「売り出し価格の決定」に影響をあたえるものです。

ただ、査定の金額で絶対に売却できるわけではないので注意してください。査定はあくまでも、売却できそうな価格です。不動産会社が周辺相場や実際の別荘を調査した結果、「この金額くらいなら売却できそう」という価格が査定価格になります。「売却価格は売り出し価格、売却できそうな金額の参考値」程度に思っておくようにしましょう。

そして、ステップ1「不動産会社を決定・媒介契約締結」では、下記のことに注意してください。

  • 物件の査定は複数の不動産会社に依頼すること
  • 別荘の売却に慣れた不動産会社に依頼すること
  • 不動産会社との媒介契約には要注意

不動産会社の選定や契約方法は、別荘を売却できるかどうか、高値で売却できるかどうかまで大きく影響します。可能な限り、これからお伝えする注意点・ポイントを参考にしてください。

物件の査定を複数社に依頼

物件の査定はかならず複数社に依頼してください。別荘の査定は周辺価格相場の調査や、別荘の現地調査をもとに出します。よって、「どの不動産会社に依頼しても同じではないか?」と思われる方が多いかもしれませんが、まったく異なります。

「査定価格=自信の現れ」と言っても過言ではありません。たとえば、A社が「この別荘は2,000万円の査定です」と言い、B社は「この別荘は2,500万円の査定です」と言われることも珍しくはありません。

なぜ、査定価格に差が発生するのか?その主な理由は2つです。

  • 不動産会社によって売り出し方が異なる
  • 参考にしている査定の根拠が異なる

まず、各不動産会社によって売り出しポイントが大きく異なるケースがあります。たとえば、別荘そのものを全面に売り出そうと考えていて、その物件の価値が2,000万円だと言う不動産会社がいたとしましょう。

一方で、物件もさることながら、別荘地ならではの自然やその他付加価値も含めて売り出そうとしている不動産会社は、その価値が2,500万円だと言います。このように、売り出しポイントや見どころ、売却活動に有効な手札を用意できるかどうかは不動産会社の腕次第です。

そして、参考にしている査定の根拠が各不動産会社によって異なります。たとえば、全国に展開している大手不動産会社なら、全国や広い範囲で見た周辺相場から査定を算出できます。

一方で、地域に根強い不動産会社なら、その土地周辺に特化した周辺相場を把握しています。ここでも、査定の価格に差が発生してしまうのです。よって、かならず複数社の不動産会社に査定依頼をしたほうが良いという結論になります。

また、複数社に査定を依頼することで、本当の査定額を知ることができます。たとえば、A社が2,000万円、B社が2,300万円、C社が2,500万円の査定なら、おおよそ2,300万円前後で別荘が売却可能だとわかります。少しでも高く、確実に別荘の売却を目指すならかならず複数社に依頼してください。

別荘売却に慣れた不動産会社を選択すること

不動産会社に査定依頼し、最終的に契約を締結するときは、かならず別荘の売却に強い不動産会社を選択してください。不動産会社をすべて一括りにしてしまうと、なかなか売却ができなかったり、売却価格が安くなったり売り主側が不利益を受ける結果になります。

そもそも不動産会社は大きく4つに分けられます。

不動産販売代理会社
不動産の販売を代理する会社。別荘の売却を検討されている方は、不動産販売代理会社へ相談します。
不動産仲介会社
不動産の賃貸借契約の仲介を担当します。部屋や事務所等を借りる際には、不動産仲介会社に相談をします。
不動産開発会社(デベロッパー)
不動産開発会社は街作りを目的として不動産を建築するための、開発業務を担当しています。
不動産管理会社
不動産を管理します。別荘の管理を不動産管理会社に相談するケースも珍しくはありません。

通常、別荘の売却を検討して相談をするときは、不動産販売代理会社へ相談します。街で見かける大手不動産会社の多くは、販売代理も行っている(部署が異なるため、紹介になるのが通常)ので「仲介でお世話になったから相談してみよう」と思っても問題ありません。

しかし、別荘の売却を検討している方なら、かならず別荘の売却実績が豊富な不動産会社に相談をしてください。

別荘は一般住宅とは異なり、流通量が少ないうえに別荘を探している方も少ないです。限られた購入希望者に対して確実な売却を目指すなら、別荘の売り方を知っている不動産会社に相談すべきです。

別荘地の不動産会社なら、別荘の売買を専門に扱っている不動産会社もあります。自分の知っている不動産会社の他に、別荘専門の会社にも査定依頼してみれば良いでしょう。

「媒介契約の種類」には要注意

無事に不動産会社決定したら、不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約とは、別荘の売買契約時のトラブルを防止するために、不動産会社と売り主の間で契約を交わしておきましょう。というものです。

媒介契約には下記3つの種類があり、どの方法で契約を締結するかによって、不動産会社の本気度や売主の自由度が変わります。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

参考:宅建協会|媒介制度

上記媒介契約の主な違いは下記の5つ

    • 1:同時に複数の不動産会社と媒介契約を締結できるかどうか
    • 2:自分発見した買い主との取引可否
    • 3:契約期間
    • 4:指定流通機構(レインズ)への登録義務
    • 5:販売状況の報告義務

媒介契約の種類
出典:全日本不動産協会|一般媒介契約について

売り主から見た自由度は専属専任媒介<専任媒介<一般媒介の順番です。ある程度自由に取引をしたい方、複数社に依頼したい方は一般媒介で契約を締結すれば良いでしょう。一方、不動産会社の本気度から見れば一般媒介<専任媒介<専属専任媒介という順番になります。

一社に絞って確実に売却を目指している方は、専属専任媒介契約で契約を締結したほうが良いです。とくに、専属専任媒介で契約を締結すると、1週間に1回以上の報告義務があります。

どのように売却活動をしたのか、どのような問い合わせがあったのかなどを、売り主に逐一報告しなければいけません。よって、かなり本腰を入れて売却活動を行ってくれるでしょう。

しかし、その不動産会社がなかなか売却できなくても、自分で買い主を発見したり他の不動産会社に依頼したりできません。お互いに縛られた状態であることを認識したうえで、媒介契約を検討してください。

不動産売却の媒介契約の3つの種類はどれを選ぶべき?「専属」「専任」「一般」それぞれの特徴を徹底解説

不動産売却の媒介契約の3つの種類はどれを選ぶべき?「専属」「専任」「一般」それぞれの特徴を徹底解説

2021年7月30日

ステップ2:売り出し価格の決定・売却活動開始

別荘を売却するまでの間を取り持ってもらう不動産会社が決まったら、売り出し価格の決定と売却活動が始まります。ここでは、実際にその別荘を売り出す価格を不動産会社と相談のうえで決定し、実際に売却活動を行って買い手を探します。

別荘の売却が完結するためには、買い手を見つけなければいけないため、別荘売却に際して非常に重要なステップになるでしょう。ここでのポイントとしては、適正な価格で売り出すこと、売却活動においてはホームステージングや周辺環境のアピールが挙げられます。

      • 適正な価格での売り出し
      • ホームステージングの活用
      • 周辺環境を全面にアピール

次にステップ2:売り出し価格の決定・売却活動開始について、上記のポイント・注意点を詳しくお伝えします。

周辺相場等を考慮しながら適正な価格で決定

複数の不動産会社からもらった査定をもとに、適正な売り出し価格を設定してください。とくに、高すぎず安すぎずのバランス良い価格設定が大きなポイントです。

別荘を早く手放したいと考えている方だと、「相場よりも安く売り出したほうが、早く売却できるのではないか?」と考える方も多いでしょう。確かに、買い手目線からすれば、少しでも安く購入できるのはありがたいと思うのは当然です。

しかし、「周辺相場よりも安い=曰く付き物件ではないか?」と思われてしまうのも事実です。リゾートマンションのように、同じ物件が複数販売されているときは注意しなければいけません。ただ、「経済的な理由から、早く売却したいのでこの価格設定にしています」など、真実を伝えられるのならとくに問題はありません。

ただとくに理由もないのに、あきらかに低価格の設定だと、購入者は何かしらを懸念します。もちろん逆も然りで、周辺相場よりも高い物件ならそれ相応の付加価値を求めます。

たとえば、周辺の別荘が3,000万円程度で売却されているのに、当該別荘だけ3,500万円だと、500万円分の価値を求めるでしょう。購入希望者が500万円の付加価値を見出せなければ、成約までには至りません。

何度もお伝えしていることですが、別荘は購入希望者が非常に少ないです。1人でも多くの購入者に興味を持ってもらうためには、価格がもっとも重要なポイントになり得るでしょう。不動産会社と相談のうえで、安すぎず高すぎずの価格で売り出せば、確実な売却を目指せます。

別荘売却にはホームステージングが効果的

物件を売却する際に広く利用されているホームステージングは、別荘にも有効です。とくに、別荘を買い求める顧客層は「普段とは違う生活」を求めてきます。良い意味で生活感のない雰囲気をホームステージングで演出できれば、購入希望者が自ずと訪れるでしょう。

また、別荘だからこそ、もともと家具家電等が設置してあるのも魅力的です。別荘購入後は、家具家電の搬入等をすることなく、その日から利用できるという点は非常に魅力的な部分になり得るでしょう。

もちろん、顧客ニーズに合わせて一切の設置をしないのも有効ですが、ひとつの戦略として検討してみる価値はあります。あくまでも、別荘の購入・売却であることを念頭に置きながら、顧客ニーズを探れば売却までの近道になるでしょう。

別荘売却は周辺環境を全面にアピール

別荘を購入される方は、別荘そのものもさることながら、リフレッシュ・リラックスできるその周辺環境に惚れて購入を決定します。そのため、建物そのもののみならず、周辺にある魅力的なスポットや自然、空気感を全面にアピールすべきです。

単にリフレッシュを求めているだけなら、ホテル等に宿泊したほうが、ランニングコストもかからなければ、充実したサービスも受けられます。ではなぜ、手間もお金もかかる別荘を購入したいと思うのか?この部分を考えてアピールできれば、かならず購入希望者は見つかるでしょう。

別荘はホテルにはない魅力的な自然や環境があります。そこでしか味わえないものがあるはずです。それを求めて購入を希望するわけです。売り主であるあなたは、一番その別荘のことを知っているはず。全面にアピールしなければ非常にもったいないでしょう。

ステップ3:成約・売買契約締結

購入希望者が現れたら内見の案内等をして、成約・売買契約の締結を行います。別荘の売買は数千万円単位の高額なお金が動くため、お互い納得した上で取引を行うようにしてください。

売買契約書は不動産会社で作成しますが、売り主・買い主双方でかならず確認のうえ、認識の相違がないようにしっかりすり合わせを行うようにしてください。また、どの範囲まで売り主が責任を負うのかなどもかならずチェックしておきましょう。

後々、トラブルに発展したり契約解除になったりしたら、結果的に別荘の売却が困難になる恐れがあります。別荘はそもそも需要が少ないので、改めて購入希望者を探すのも困難であるため、契約締結は慎重に行ってください。

売買契約が成立するまで不動産会社が完全サポート

売買契約に関しては、すべて不動産会社がサポートしてくれるので、売り主は不動産会社に問われたことに答えたり確認したりするだけでOKです。売買契約時に不動産会社が行う主なサポートは下記の通りです。

  • 買い主のローンサポート等
  • 売買契約書の作成
  • 重要事項説明書の交付・説明

まず、購入希望者が現れたときは買い主のローン契約サポートを行います。その後、売買契約を完了させるための契約書を不動産会社が作成します。契約書が完成したら、売り主・買い主・不動産会社が集まって、(場合によっては司法書士も集まる)契約の締結を行う流れです。無事にすべての手続きが終了したタイミングで、不動産会社へ仲介手数料の支払いが発生するので覚えておきましょう。

そして、契約締結時には不動産会社の担当者(宅地建物取引士いわゆる宅建士)が、売り主・買い主双方に対して重要事項証明書の説明と交付をしなければいけません。これは、宅建業法で定められていることであるため、かならず宅建士が行うことになっています。

参考:宅地建物取引業法|第35条(重要事項の説明等)

瑕疵担保責任に関する事項は理解しておくことが大切

また契約締結時には、瑕疵担保責任に関する説明もかならず行われるので、売り主はかならず確認して理解してください。

瑕疵担保責任とは、売却した別荘に「瑕疵(欠陥)」があったときに売り主が買い主に対して負う責任のことを言います。たとえば、別荘が雨漏りをしていた、シロアリに喰われていた等のことがあったときに、売り主が修繕の義務を負うことになります。

なお、瑕疵担保責任は民法改正によって大きく変わったので、前の知識を有している売り主の方は注意しなければいけません。


出典:住宅金融普及協会|瑕疵担保責任

中でも注意すべきは「隠れた瑕疵」の部分です。民法改正前までは、隠れた瑕疵に対して瑕疵担保責任が生じるとされていました。つまり、買い主が別荘の内見にきた際に発見できる瑕疵については、売り主の責任ではない。という認識でした。

しかし、民法改正によって「隠れた」は不要です。よって、別荘そのものに瑕疵がある場合は、売り主が責任を負うことになるので注意してください。

別荘の売却が完了したときは税金に要注意

売買契約時および別荘引き渡し時に、金銭の受け渡しが発生します。通常は、取引金額が高額であることから、買い主に銀行振り込みをしてもらい、売り主が確認をしてから契約・引き渡しを行います。

また、売買契約時に受け取る金銭は、一時金(手付金)として受け取る金額であり、売却価格の5%〜10%程度が相場と思っておいてください。その後、引き渡しと同時に残金の支払いが行われます。かならず、振り込みを確認してから物件の引き渡しを行うようにしてください。

そして、買い主が得た売却金額に対して譲渡差益が発生したときは、所得税および住民税が課税されます。譲渡差益の計算方法は下記の通りです。

【別荘の売却価格−別荘の購入価格(取得金額)−諸経費=譲渡損益】

たとえば、別荘の売却価格が2,500万円、購入時の価格(取得金額)が2,000万円、諸経費に100万円かかったときは下記のようになります。

【2,500万円(売却価格)−2,000万円(取得金額)−100万円(諸経費)=400万円】

上記のように、譲渡差益が発生したときは所得税及び住民税が発生します。よって、譲渡損が発生した際には、課税の対象になりません。

注意事項
別荘の売却によって得た所得は、譲渡所得による課税対象(譲渡所得税)です。不動産の売却ではありますが、不動産所得にはならないので注意してください。なお、別荘の売却時は、マイホームとは異なるため税法上の優遇措置を受けられません(セカンドハウスに認定されていれば優遇可能)。一般住宅等よりも高額な税金が発生する恐れもあるので注意してください。※相続によって別荘を手に入れた方は、不動産評価額に応じて相続税や不動産取得税等の各種税金も発生します。状況によっては、譲渡所得税以外の税金も発生する恐れがあるので注意してください。

売却困難な別荘を売却する5つの方法と売り出しタイミング

売却が難しいと言われる別荘を確実に売却するためには、いくつかのポイントとタイミングがとても大切です。とくに別荘は、トレンドや時代背景によっても売却のタイミングが大きく異なります。

たとえば、2020年以降に世界中で蔓延した新型コロナウイルス感染症によって、新しい生活様式が確立されました。このことによって、リモートワークやワーケーションに対する需要が高まり、別荘に対する意識関心も高まりつつあります。

また、別荘地は避暑や避寒を目的として購入される方が多いため、春や秋の購入需要が高まる傾向にあるでしょう。このように、時代背景や季節に大きく左右されるのが別荘です。

別荘の売却をするタイミングを検討しつつ、下記のポイントを意識しながら売却を目指してください。

  • 売却ターゲットを明確にすること
  • 管理が行き届いていることを全面にアピール
  • 必要に応じてリフォームやリノベーションの検討
  • 出口戦略として不動産買取を検討するのも有効
  • 「土地」に需要があるなら、更地売却も検討する価値あり

最後に、別荘を売却する際に抑えておきたいポイントについてお伝えします。

売却ポイント1:売却ターゲットを明確にする

「別荘」という概念に支配されすぎると、売却が困難になることも考えられます。幅広い可能性を考慮して、売却するターゲット層を明確にすることが大切です。

たとえば、最近では田舎暮らしや二拠点生活(デュアルライフ)に対する関心が高まっています。購入希望者が別荘ではなく「一般住宅」として探しているなら、住宅として売却活動を行わなければ意味がありません。

自分自身は「別荘」と思っていても、その物件を「住宅」として利用を検討している人がいることも理解してください。当然、別荘と住宅では売り出しポイントが異なるので、確実に売却を目指すなら明確なターゲットを設定されたほうが良いでしょう。

売却ポイント2:管理できていることをしっかりアピール

別荘地は休暇等を利用して足を運ぶ方が多いため、なかなか管理が行き届いていないケースが多いです。そこで、自分の別荘は隅々まで管理できていることを全面にアピールしたほうが、確実に売却を目指せます。

買い主の気持ちとしても、蔑ろにされている別荘を購入するよりも、大切にされていることが明らかである別荘を購入したいのは当然です。

また、その別荘に興味を持ってもらうことも大切であるため、そこに行ったことのある売り主だからこそ知っている魅力を発信するのも効果的です。あまり知られていないおすすめスポットや、独自の魅力を積極的に発信していきましょう。

売却ポイント3:必要に応じてリフォームリノベーションも有効

別荘の劣化が進んでいたり、設備不良があったりするならば、思い切ってリフォームやリノベーションをして売り出してみても良いでしょう。別荘は古風な建物でシンプルなデザインが好まれる傾向です。

また、別荘に訪れる購入希望者をリアルに想定したリフォーム、リノベーションを検討されることをおすすめします。たとえば、休暇を利用してリフレッシュの目的で別荘を利用される方なら、大きな冷蔵庫を置いたり洗濯機をおいたりするスペースはさほど必要ないでしょう。

一方、現在のニーズに合わせてデュアルライフやワーケーション、田舎暮らしなど「住宅」として想定されている方なら、生活必需品の設置場所は必要不可欠です。また、日常的な暮らしなのか、一時的な暮らしなのかによって間取りも大きく変わるでしょう。

とくに家族世帯で別荘を購入してデュアルライフを楽しむ方なのか、主に、友人知人を呼んで別荘を楽しむ方なのかによっても間取りや部屋の大きさが異なります。

単にリフォームやリノベーションをすれば良いのではなく、明確なターゲットを設定し、その特定の人に刺さるようなリフォーム等が必要です。

売却ポイント4:不動産に買取依頼をする

別荘の売却がうまくいかない方、別荘を早く売却して現金を確保したい方は、不動産会社の買取制度の利用を検討してください。通常の別荘売却における不動産会社の立ち位置は、あくまでも仲介です。売り主と一緒に売却活動をして、買い主の発見から契約までサポートするのが主な業務です。

一方、不動産会社の買取制度は、その別荘を不動産会社に買い取ってもらう仕組みです。


売り主は買い主を探す手間が省けるため、早く確実に別荘を売却して現金を入手できます。しかし、不動産の買取は、通常の売却相場の8割程度が相場です。つまり、売却を検討している別荘の価格相場が2,000万円程度なら、買取で1,600万円程度になるでしょう。

安くなるけど早く確実に別荘を売却できるのが買取制度。と思っておけば良いでしょう。早く現金を確保したい方、面倒な売却活動はなしにしたい方、出口戦略として泣く泣く買取を希望される方は不動産会社へ買取のご相談をしてください。

売却ポイント5:その土地に需要があるなら更地にして売却を目指す

別荘の売却が難しくても、その土地やその別荘地に需要があるなら、思い切って更地での売却を目指すのも有効です。とくに、その別荘が古くて劣化が著しいときや、時代ニーズに合わなくなったときは更地にすることを検討するサインになり得るでしょう。

なお、「更地にしてしまうと、固定資産税が高くなるのではないか?」と心配をされている方もいますが、別荘なら問題はありません。なぜなら、別荘は住宅ではないため、住宅用地の特例の対象外だからです。

セカンドハウス(住宅)として認められている場合は別ですが、あくまでも別荘として認定されている物件なら、そもそも軽減を受けられていないため何も変わりません。別荘、土地、それぞれのニーズを把握したうえでどうするべきか検討されてみてはどうでしょうか。

参考:軽井沢町|別荘を所有されている方へ

まとめ

今回は、別荘の売却が難しい理由や、売却するまでの流れやポイントについてお伝えしました。

別荘は多額のランニングコストがかかることや、立地的な部分から購入希望者がそもそも少ないとのことでした。そもそも少ない購入希望者をいかにして、買い主にできるか?が別荘売却の大きなポイントになり得るでしょう。

今回お伝えしたポイントや流れを参考にしていただき、確実な別荘売却を目指してください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

2018年よりWEBライター活動を開始。FP資格を活用して不動産やお金に関する記事を多く寄稿。不動産売却は一生に一度の経験だからこそ、責任感を持って記事執筆を行います。当サイトでは、読者の悩みをすべて解決する!という思いで、情報を発信。専門用語が羅列される不動産関連だからこそ、できるだけ噛み砕いてわかりやすく、正しい情報をお伝えします。ぜひ参考にしてください。